2024年買ってよかったもの
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寝具にはこだわるべき……なぜなら人間は人生の3分の1を寝て過ごすのだから。
よき睡眠はよき人生の基礎。良質な睡眠なきものにハッピーエンドは訪れない。そこまではいいでしょう。
ではどんな寝具を使うべきか。おれは枕から始めた。しかし世の中にはさまざまや枕があり、どれがいいのかさっぱりわからない。試してみても確信が持てない。なぜなら今日の枕とひと月後の枕は違う。買ったときよさげだった枕がひと月後にはしっくりこなくなってることもあるだろう。
結論から言えば、おれは高いまくらを買った。当時話題になっていたトゥルースリーパーだ。友人のM出も買ったという話を聞き、じゃあ自分も……と買ってみた。しめて13000円。安くない値段だが、よき睡眠のためには惜しくない出費だ。ためらう理由が値段なら買え。そう思ってえいや!とレジに枕を持っていった。それがおおきな悲劇を産むことになろうとは、当時のおれは夢にも思わなかった(枕だけに)
ひと月ほど経って気づいた。おれ、高くて硬い枕合ってないわ……。トゥルースリーパーは低反発の、人工工学に基づいてなんやかんや計算された結果肩甲骨ぜんたいをカバーできる大きさの枕だ。この性質により、寝返りがクソうちづらいことに買ってから気づいた。おれは多動なので寝ているときもゴロゴロゴロゴロ縦横無尽に動きまわる。寝返りを封じられたおれはさながらカゴの中の小鳥だった。さらに仰向けを強要される。トゥルースリーパーは直方体にひらべったい形をしているので、うつぶせや横向きでは腕の持っていき場がない。おれは枕の下に手を突っ込んで、アゴを枕に乗せながらタブレットで本を読むのが好きだった。それも封じられてしまった。おれは泣く泣く仰向けで空に手を伸ばす形でタブレットを読み、何度も手を滑らせて鼻を打った……。
だが当時のおれは失敗を認めようとしなかった。15000円もしたのだからいい枕に決まっている。そう思って、かたくなにトゥルースリーパーを使い続けた。それに、使っているうちに馴染んでくるかも……。
一年がたち、肩や腰の痛みが目立つようになった。そのころになると、トゥルースリーパーのいちばん高い部分ではなく、肩甲骨をカバーするための薄めの部分に頭を置いて寝ていた。薄めの部分を折り曲げて二重にするとちょうどいい高さになることに気づいたのだ。だがこれではトゥルースリーパーを使う意味はまったくなかった。そう気づいたのが、ついひと月ほど前だった。
トゥルースリーパーの購入から二年半が経ち、おれはついに枕を買いに出かけた。本当に必要だったのは高い枕ではなく、おれの頭と首に合う枕だったのだ。失敗を経て、おれは自分の頭の性質を把握していた。低めで、やわらかいもの。トゥルースリーパーの真反対だ。これを知るために、おれは18000円を払う羽目になった。安くない勉強代だ。できるやつらはもっとうまく失敗するのだろう。おれは無印良品でちょうどいい枕を発見した……。大切なものは最初からすべて無印にあったのだ。
ひとつきほど使用して、肩こりや腰の痛みがマシになった気がする。睡眠の質も良くなった……気がする。首と頭だけをカバーするのではなく、肩甲骨が枕の下の部分にすこしだけあたるように体重をかけるとちょうどいい。
2025年のテーマは自分を偽らないことだ。冷笑から誠実へ……まっさきにアップデートするべき目線は自分自身に対するものなのだ。
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