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誘拐犯からのお手紙

警部「山田さん、ゆうた君のことは我々警察に任せてください」

部下「警部!誘拐犯から手紙が届きました!」

警部「なに!?誘拐犯から?」

部下「ハイ!封筒の表に刑事課御中と書いてあります」

警部「いや、丁寧だな。なんだその犯人、まぁいい貸してみろ。なになに…」


拝啓

空の青さが夏らしく、心晴れやかな季節となってまいりました。誘拐犯です。

田中様におかれましては、お変わりなくお過ごしのことと、心よりお慶び申し上げます。
そして無能な警察官共は、お元気でいらっしゃいますか?私は、元気です。


さて、本日はお宅のゆうた君を、夏のあたたかな日差しと気持ちのいいそよ風が吹く中誘拐しました。

ゆうた君におかれましては、さすが5歳の男の子、大変無邪気で可愛らしく、手を焼くこともしばしばありましたのでロープで縛りました。

お話もさせて頂きました。ゆうた君は5歳とは思えないしっかりとした口調でハキハキとお喋りになるので、よくできた子だなと大変感激し口をガムテープで塞ぎました。


田中様におかれましては、お仕事が慌ただしい時期で睡眠時間が短いと伺っております。お体の状態はいかがでしょうか、大変ご多忙の中だとは思いますが身代金を用意してください。

私は、ゆうた君を奪還された時の保険として、昨日田中様のご自宅のどこかにささやかではございますが心を込めて作った爆弾を仕掛けました。

身代金を用意できなかった時は、大変恐縮ではございますが爆破します。


では、くれぐれもお体に気をつけてお過ごしください。


敬具


警部「爆弾か、厄介だな。くそ!犯人の居場所さえ分かれば」

部下「あ、警部!」

警部「なんだ」

部下「封筒の裏に犯人の本名と住所が書いてあります」

警部「いや、丁寧だな」




*この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません


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