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3.11東日本大震災に思う(1)

 東日本大震災から13年。自分に何ができるか問い続けた13年だった。震災直後に何度か東北を訪問し,2年間は年収の1割を寄付にあてた。聖教新聞に載った被災者の方々の名前を毎日ノートに書きだして題目を送った。それぐらいしか,私にできることはなかった。ほどなくして東北文化会館の建設が発表になり,本当にうれしかった。祈った。

 2016年11月仙台出張の前日,会館落成を新聞で知った。出張の合間に一目会館を見たいと思い,住所を頼りに探したところ,なんと見事な世界一の会館が建っているではないか!
 広大な駐車場に大型バスが20台ぐらい止まっていたので,近くに観光地でもあるのかと思いつつ,外観を写真に撮って良いか創価班に聞いたら,快く敷地内に入れてくれた。しかし,いくら何でも内部の撮影はダメだろうと思っていたのだが,何やら幹部らしき人たちに「もう勤行が始まります。早く入ってください!早く!」と急かされた。

 ちょうど落成記念勤行会が開始するところだったのだ。
「いや,私,全然関係ないんです。入場券もないし。あの,出張のついで….」「いいから,早く,もう始まるから」ということで,入ってしまった…ちょうど,勤行開始の御鈴が鳴るところだった。

 あの大型バスは東北全土から集まった代表2000名の同志が乗っていたのだ。正装した参加者の中で,私だけが念珠も経本も持っておらず,えらく気楽なファッション(普段はTPOを考えるのですよ)だった。
 なぜ,私は今ここにいるのだろう。涙が溢れた。今,こうして東北の皆様とともに新会館の落成を祝っている。ああ,そうか,もしかしたら,あの人もこの人もお題目を送った人たちかもしれない。
 今まで心から新会館の建設を祈ってきたが,御本尊は今日ここに,私を連れてきてくれたのだ。本と末とは究竟するのだ。涙はとめどなく溢れた。

 東北の同志の喜びは爆発していた。山形の副県長は背広のポケットから笛を出し「さあ,皆さん,一緒に花笠音頭を歌いましょう♪🎶 他県の方もどうぞご一緒に!」。
 歌の後,挨拶か何かあるのかと思っていたら,歌だけだった。指導めいた話はない。東京の幹部と全然違う。
 終了後,会館の見学までさせて頂いたが,ここは花園かと思うほど,ロビーは祝いの花々で埋め尽くされ,良い香りに誘われてか蝶が入り込んできた。
 あちこちで対話が始まっていたが,まだまだ苦境の中にいる会員を,全魂で励ます地域幹部の姿があった。御自身もまだ大変だろうに,その声には力がこもっていた。本物の創価学会がそこにはあった。