9/15 天罰とビール
深夜3時に吐いても、うちの夫は優しい。
昨日は11時頃に飲み会から帰宅して、シャワーを浴びた。ぼんやりシャワーを浴びていたら、「大丈夫?」と夫が呼びに来てくれた。
酔っぱらっていると、心地よい眠気が訪れて、シャワーが途中から滝行みたいになっちゃう。いかんいかん…また呆れられてしまう…と慌ててお風呂から出て、テレビで映画を見ていた夫に合流。半分寝ながらぐいぐい絡んでいたら嫌がられたので、おとなしく布団へ行った。
定刻3時、喉の渇きで目が覚める。最近はいつもこう。年を取ると、酔っ払い方も規則正しい。キッチンで水道水をくいっと飲み、ふらふらとトイレに向かったら、リビングの扉が閉まっていて激突してしまった。どすっと倒れる音がしたため、夫が起きてくる。「大丈夫?」
「ああ~だいじょうぶ、だいじょうぶだよ。だいじょうぶなんだけどね、ちょっとドアーをあけてくれる?このドアと、トイレのドア」大丈夫なフリをしようとすると、饒舌になってしまう。
夫は2つのドアを開け、水を持ってきてくれた。水を飲み、用を足す。「ほんとうに、だいじょうぶだから、ねててー」とドアの隙間から声を掛け、そのまま吐く。私は吐くの上手だから、この時間にこの量の水を飲んで少し吐けば、あすは普通に動けるな、と冷静に考えたりする。
ふぅーっとトイレから出ると、「大丈夫?」と布団ではなくソファから夫の声がする。私の泥酔が最終形態だったので心配して待ってくれていたよう。ぜんぶバレている。申し訳ない。
「ありがとうございます、やさしいですね…」とお礼を言い、そのまま無事に朝まで眠った。うちの夫は、神様なのだ。
朝、息子が「ままーおきてー」と起こしに来て、薄目を開けるや否や手作り紙芝居がはじまった。「ぼくとままがでーとのおはなしだよ」と言っていたが、かくれんぼをする話だった。いつものことだけど途方も無く可愛い。
せっかく息子が可愛いので、食欲ゼロだが布団から這い出し、なんとか水餃子にモーリョをかけてさっぱりと胃に流し込む。洗濯をしようと洗濯機のドアを開けたらそのまま気持ち悪くなってしまったので、しばし洗濯機の前で瞑想する。うん、けっこう二日酔い。
しかし家族は待ってくれない。掃除をし、洗濯をし、適当に着替えて用事を済ませに外出。ハッピーセットが食べたいと子ども達は譲らないので、マクドナルドで私はチキンナゲットだけ食べる。二日酔いにナゲット、意外といけることを発見。これは復活の兆しかもしれない。
ところが、夫が私のことをじっと見て、「ねえ、Tシャツ、前と後ろ反対だよ」と言うではないか。36歳の前後ろ反対を見て、姉弟は歓喜。私は顔を覆う。
午後はすっかり省エネモードで、みんなが庭で遊んだりしている間に私はぐうぐう寝て完全復活を目指す。
夕方、かねてより楽しみにしていた「ドイツパーティ」を開催した。
(ドイツっぽいものを食べながらドイツビールを飲む、つまりただの晩ごはん)
献立は、
・ドイツっぽいソーセージ3種
・コールスローサラダ(ザワークラフトの代わり)
・マッシュポテト
・チーズトースト&ブルスケッタ
・ドイツビール
すぐ出来るものばかりだけど、ソーセージがいつもよりちょっと良いものなので、テンションがあがる。
マッシュポテトもしっかりザルで漉して、とってもなめらか。味見に来た娘が、神妙な顔つきでOKサインを作りモリモリにお皿へ盛っていた。万事、予定通り。ただ、いちばん大切なものを私は失ってしまっていた。
そう、
ビールを飲みたいという気持ち
だ。
いつもは溢れているあの気持ちが、一切湧いてこない。むしろジンジャーエールとか飲みたい。でも夫の手前もあるし、小さなグラスに半量だけ飲んでみる。迎え酒、という言葉もあるし。もしかして飲み始めたらいけるかも。
…
うん、ぜんぜんむり。美味しくない。体が求めていない。私は麦茶をぐいぐい飲み、ソーセージを齧る。これはこれで、美味しいけど。なんだかな。寂しいなぁ。
美味しいものを食べ、美味しくビールを飲む。それって、本当に幸せなことなんだ。失って初めてわかる。
酒は飲んでも、飲まれるな。(人生100回目の反省)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?