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ベストファーザーを祝う

夫が、ベストファーザー賞を受賞した。
家庭内受賞だが、めでたいことに変わりはない。

夫は骨の髄まで真面目で、家庭のことも当たり前に分担する。家族だから優しいのではない。人類全般に優しい。

管理職なのに、未だに飲み会の幹事をすることもあるし、お花見で出た大量の燃えるごみを笑顔で持ち帰ってきたこともある。もはや怖い。地域の行事すら、嫌がらずに参加する。

そんなことある?
と毎回思う。

夫自慢なら永遠にできるが、話がズレていきそうなので割愛。とにかく、夫として、人として、私にはベストオブベストな人だ。

が。
父親としては、不器用全開なのである。
子ども向けに言い換えたり、一回共感を挟んで伝えたりということができない。

ただ真っ直ぐに、全力で口煩い。
最近子ども達も知恵がついてきたから、夫が怒っている姿もよく見かける。子ども達はパパがこわいと泣き、そうなると夫も更にイライラしている。ついでに私もイライラしてきて、このやろう何年父親やってんだ!と頑固おやじのように怒ってしまう。

ざんねん。
夫は本来ものすごく優しい人だ。
子ども達も本当は分かっているんだろうけど。

前置きが長くなったが、そんなふうに思っていたから、父の日には夫にベストファーザー賞を贈ろうと思いついた。

もちろんまだ改善すべきこともあるし、子ども達にとってベストではないかもしれない。でもうちに父親はひとりしかいないから。彼をベストファーザーにするのだ。

さっそくアイデアを娘に伝えてみると、
「いいね!わたしひょうしょうじょうつくる!」と大賛成してくれた。息子とは、てんやわんやしながら前日にペットボトルでトロフィーを作った。

計画はこうだ。
まず、夫にフリータイムをプレゼントする。
映画でも銭湯でも行って、夕方に帰ってきてね!と送り出す。

そうして、私からメールを送る。

https://twitter.com/twokari/status/1139736639654117376

そのあと、プレゼントを買いにいき、ふたりとも自由に選んでいいよ!と伝えた。

娘セット:靴下・柿の種・ジャガビー
息子セット:コロコロコミック・そのまんまゆず・グッピーラムネ

思ったより自由が過ぎるな…
でも時間がないのでオッケー!

帰宅するとすぐ、娘は式の司会原稿をつくり、生春巻を巻き、私はそれ以外の料理をつくる。
息子も…ひとりで遊んでくれている。

娘の台本は、なかなか様になっていた。一同、礼!とか、ご着席くださいとか、きちんとしている。小学校ってすごいなぁ、と感心する。

ハキハキと司会の練習をして、「あれ?じゅそうしゃ?なんだっけ?じゅそ…じゅそうしゃ?」と受賞者が言えなくなるハプニングも発生。油断ができない。

最後に、フィンガーフードとしていろんな具をピックで刺して完成。そう、授賞式だから立食パーティ風にしたかったのだ。これは息子にもできるので、うきうきしながら手伝ってくれた。

(メニューは息子担当。おかわりがおかゆりになっていることを指摘したらガチギレ、もうわが家では「ゆ」も「わ」と読むことにする)

・生春巻
・胡瓜とスモークサーモンのくるくる巻き
・ミニトマト・モッツァレラ・マッシュルーム・スパニッシュオムレツ・うずら卵のピンチョス的なもの
・ツナ豆腐ディップとコーンチップ
・ソーセージ
・手作りポテトチップス

開式の時間になり、夫の車がガレージに停まる音がする。皆でそわそわしながら、最後の確認。

「ママ!司会の台本がない!」
さっきまであれほど練習してたのに、無いんかい!パニックになりながらも、探すより書いたほうが早いと判断し、急かしながらもう一度書く。

ちょうど宅急便が来て、夫は玄関前で足止めを食らう。クロネコ、ナイス…!

最後に、携帯で表彰式の曲を流し、何食わぬ顔で呼吸を整える。今度こそ準備完了。夫を見て安心し、私はそのままソファに崩れ落ちるように着席。

「れいわ1年6月15日、土曜日。ベストファーザーしょうのじゅしょうしきをはじめます」
娘がハキハキと読み上げる。謎の緊張感で、息子もピシッと気をつけをしている。

「ベストファーザーしょう 〇〇〇〇どの
あなたは世界一やさしいおとうさんなので、ここにしょうします。」

にこにこと娘が表彰状を渡し、息子がだいすき!とトロフィーを押し付ける。
夫は少し涙ぐんでいた。よしよし。

「え〜このような賞をいただき、ありがとうございます。令和元年ですけれども、2年、3年と受賞できるよう、優しいお父さんでいたいと思います。本日は、ありがとうございました。」

そうそう、その気持ちね。
毎日色々あるけど、頑張ろうぜ。

(疲れたから、来年はもういいかな…)

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