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ロスト&ロスト 一筋縄じゃいかない旅

クメール正月の1週間の休暇を利用して、日本に弾丸旅に出た、ということはこの前書きましたけど、たった1週間なのにまぁいろいろありました。真ん中は楽しかったんだけど最初と最後が…。キセルのような最初と最後の出来事を残しておこうと思います。

洗面台の前で立ちすくむ

羽田空港に到着したのは月曜の夜遅くだったので、新橋のホテルに素泊まり。翌朝、よし! 短い日本滞在を楽しむぞ〜、と気合を入れて顔を洗って気合を入れてコンタクトレンズを洗って(わたしハードレンズなのです)、そのまま気合いで洗面台に流してしまいました、コンタクトレンズを。あ・・・。10代のころにコンタクトレンズを使いはじめたのでもう30年近く、こんなミスをしたことがなかったのに、なぜ、今、する? しかも日本で? わたしのバカ〜ん。こうしてレンズ片方とサヨナラをする羽目になった日本滞在2日目。コンタクトレンズというものは、まったく片方では役立たないシロモノで。
今回の旅の目的は、オンラインでしか会ったことない、けどもう3年も友情を育んできたLAの友だちとご対面できるということだったのに、普段そうじゃないのにこんなときにメガネかよ! ちなみにいつかやるんじゃないかという予防線を張っていたわたしは、スペアのレンズ1セットを購入していたのですが、それはまんまとプノンペンに置いて来ていたのでした。

真ん中に楽しさを詰め込んで

こうしてメガネ女となったおかっぱは、まず都内に住む妹に会いに行き、妹の愛猫と戯れ、ぷにぷにの肉球のにおいに癒され、妹に焼肉をおごらされ(追加のおかずも注文され)、その足で新潟の両親に会いに行くという、家族との時間を楽しみました。新潟の片田舎に着くと、奇しくも裏日本(の北の方)では桜が満開。まさかもう無理かと思っていた花見ができちゃったのです。後ろ髪を引かれながら故郷には24時間も滞在せずに東京に戻り立川に宿泊。木曜日朝には、9時半ちょうどの〜、あずさ9号で〜♪松本に移動して、松本城を攻めました。なんと松本攻めでは、わたくし足軽、21000歩という数字を万歩計が叩き出しまして、これはプノンペン生活の20日分に相当します。ヨゥ歩いた。松本攻め翌日は東京ドームホテルのトリプルルームに友だちと3人で泊まるという、まるでアーバンな修学旅行。仲間11人の宴会に参加してご満悦な感じで、自分がメガネであることはすっかり忘れておりました。というか気づけばメガネが快適すぎて、あれ、もうメガネでいいんじゃないか状態になったのは金曜のお話し。土曜の昼は、わたしが”日本でいちばんおいしいと思っている”カレーを友だち5人で食べに行き、夜は、黒川村時代からの幼馴染4人で、豪勢に(40代の胃袋にはきついかもしれない)”串揚げ祭り”とまぁ、貪欲に休暇を貪ったのでした。
と、ここまでは、楽しいとおいしいしかない日々。

まさかの猛ダッシュ

日曜の朝、7時25分の成田エクスプレスで、成田から空の旅がスタート。短かった日本滞在の楽しかった余韻に浸りながら飛行機が飛ぶのを待っていると、なかなか飛ばない。どうもまだ乗っていない乗客を待っているのだとか。中国人と思われる親子連れが息も切れ切れに乗り込み、これにて出発! この時、客室乗務員の方々が親子に「お水をお持ちしましょうか」ととても親切だったのが印象的でした。わたしときたら香港での乗り継ぎ時間が1時間しかないので、早くしてくれよい! とちょっとイライラしていたのですが、この親切にちょっと気持ちが安らいだりして。この安らぎが後から自分にアダとなって降りかかってくることを、この時は想像もしていなかったのですが。
遅れて成田を飛び立った飛行機が香港に到着したのは、次のプノンペン行きの搭乗時間の10分前。え・・・、と思ったけど何も言われないので、トランスファーに急ぎました。急いだんだけど、トランスファーカウンターがまぁ遠いのなんのって。歩いて走って息切れて、トランスファーカウンターに着いたら、長蛇の列。係員に「あのぅわたしの次の飛行機の搭乗時間をとっくに過ぎているので急ぎたいのですが」と言ったものの、フンって鼻で笑われて普通に並ばされ。さらに、前にいた神経質系中国人女性に「ちょっと、もっと離れて並んでくれる? 」と怒られ。って、わたしだけじゃなくみんなぎゅぎゅっと並んでるじゃんかよ〜!

女神のお出迎え

なんとか荷物を赤外線に通し終えて時計を見ると、出発の(搭乗のではない)12分前…。掲示板を見ると、もはや赤文字のFinal Callすら消えている。嗚呼、これ、絶対もう搭乗締め切られてるじゃん。と半ばあきらめながらゼーゼー言いながら走る、走る。も、34番搭乗口が、ひじょうに遠い。すると、前方から看板を持ったお姉さんが走って向かってきているのが見えて、看板の文字には想像通りわたしの名前が。このとき、お姉さんが女神に見えました。あ、わたし、もしかして、まだ乗れるの? わたしと並走しながら小走りのお姉さん、「あなたのせいじゃないから安心して。前の飛行機が遅れたんだから。」とやさしい言葉。そうして無事に、わたしは、最後の搭乗者として、香港発プノンペン行きの便に乗れたのでした。
ビジネスクラスの入り口から入ったボロボロのおかっぱは息が切れて喋れないところを頑張ってひとこと「お、お、お水をください」。ウェルカムドリンクを配っていた客室乗務員が、そこで、ガチャガチャーンとお盆のグラスをひっくり返して大惨事。これって、わたしのせいかしら? 怖かった?笑 ごめんなさい、ビジネスクラスの方々。

因果応報

成田から遅れて搭乗した親子のおかげをもちまして、わたしも香港で同じ行動をとるに至ったこの一連の騒動は、まさに因果応報じゃないか、と思ったのであります。さて、ゼーゼーのボロボロが落ち着いたところで、ビールをグビグビいただき、映画を見たりしてプノンペンまでの3時間余りの旅は無事に終了〜。と言いたいところですが、プノンペン空港では、やっぱりな〜、が待っていたのです。
荷物が香港に置き去りだがな・・・。なんとなく予想していたので、ベルトに流れてくるスーツケースを最後まで見送らず、Lost Baggageの窓口に行って確認してもらうと、「はい、あなたのカバンは香港にあります」というご返答。ですよねぇ、だって人間があんだけダッシュしたんだから荷物を載せ替える時間なんてないですよねぇ。

リュックひとつで家路に着き。翌日、空港から洗濯物満載のキャリーケースがアパートに届けられたところで、わたしの今回の弾丸日本旅は終了したのでした。はぁ、疲れた。

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