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歯3本の治療を一気にやってしまうカンボジアの歯医者さん、天晴れ!
3年に一度くらいの割合でやってくる恒例の食いしばりによるセラミックの歯が壊れる問題。今年もそれがやってきてしまいました。歯というよりは財布の方がかなり痛いやつです。
悪夢をとるか治療をとるか
わたしが口の中にお金をかけている事情は、これまでも恥を曝け出しいろいろ書いてまいりました。
「食いしばって候」
「大口あけて笑うまでの長い道のり」
「歯科検診と悪魔のワード「C」」
そんなもんだから、まだ歯のことでうだうだしてんのかい? という感じなのですが、割れるんですよ、セラミックが。これがまた高いのに限ってやってしまうんです。じゃあ割らないような工夫をすればいいということになりますが、わたしもマウスピースなるものを持っていて、寝るときに装着することで食いしばりを阻止し、ひいてはセラミック割れを防げるという話になっています。しかし、このマウスピースというものをはめて寝ると、必ず悪夢を見る特異体質があり、どちらかをとるかで、悩んできたのです。しかし、この度は、左奥歯上下で3本も割ってしまいました。やれ旅だ、やれ出張だと理由をつけて先延ばしにしていた治療、本日意を決して行ってきました。
え? 一気にやるんですか?
ちゃんと予約を取って向かった先は、プノンペンの近所の歯医者さん。日本人の歯科医の方がいらっしゃいます。2年ごとくらいに先生が変わるので、わたしはここでもう4人くらいにお世話になっています。だいたいがセラミック割れで。カルテを見るたびに「またかよ! 」と影で言われているだろうことは容易に想像できます。さて、今日の奥歯上下3本の治療ですが、状態を確認した先生はおっしゃるのです、「3本全部削って、型までとってしまいましょう!」と。爽やかに、にっこりと。そういえば、4年ほど前、銀歯6本を全部セラミックにする作戦を開始したときも、あのときの先生も3本ずつ突貫工事をなさいました。でもあれは先生の日本への帰任前だったので、「それまでに終わらせる! 」という意気込みが見えていたのを覚えています。今回の先生は先月赴任されてきたばかりだというのに、一気にやってしまうんですね。これはもうカンボジアスタンダードなの?
1時間半の大工事
日本では歯列矯正もしたので、カンボジアにくる前の数年間歯医者さんに通っていました。たとえば3本治療する歯があっても、1本を2回に分けてって感じで、6回や7回は通った記憶があります。ちょびりちょびりとしかやらないから治療時間も30分かかるかかからないか。歯医者ってそういうものだと思っていました。でも今日は、3本同時治療。上下にがっつり麻酔して、歯茎どころか喉のあたりまで感覚がなくなり、あとはもう口を開けっ放しで歯医者さんと衛生士さんにすべてを委ねて何かをされているだけ。結局1時間半、ほぼ口をあけていた感じです。
歯医者の椅子の上で医龍を妄想
治療薬のすっぱにがい味がつらくて、ぐええええ〜って変な声を出したり、型とりの長時間に耐えられず衛生士さんの手を噛んだりして、お行儀のいい患者ではなかったけれど、脳内で別のことに考えを巡らせて耐えました。奇しくも昨日、医龍4の最終回の心臓と脳の前代未聞の同時手術のシーンを見たりしたので、わたしの脳内では、「心臓と脳を同時に手術されることもあるんだから、歯3本同時くらいなんてことないじゃないか」と自分を励ます妄想が充満していたのです。おかげをもちまして、次の予約では、もう3本の新しいセラミックが入るという早技になったわけです。つらかったけど、早いなら同時手術のこっちの方がいいですよね。
つかれ切ったわたしは、もうセラミック割れに気力もお金も使いたくない、と思い、次回は新しいマウスピース作成もお願いしたのでした。「先生、悪夢を見ないタイプでお願いします」そうお願いしたことに、「なるべくがんばります」そう真面目にお答えくださった先生は、とてもやさしい歯医者さんですね。カルテの隅っこには”悪夢オンナ”と書かれているかもしれないけれど。