スタートアップで評価される・評価されない戦略コンサルのスキル
新卒で戦略コンサルを4年弱経験し、そこからスタートアップに転職したものです。
新卒から戦略コンサルに入社した方の卒業のオプションとして、スタートアップの割合が高まってきているのではないかと思います。
むろん、スタートアップのステージ、事業領域、そして入社するポジションによって、タイトルの評価されるポイント、あるいは評価されないポイントは変わると思いますが、あえて今回は最大公約数的なものを、身近にいる方の話も踏まえて、整理しようと思います。
評価されるポイント
1. 早くタスクをこなせること
戦略コンサルにいる間は、常にクライアントの資料のタイムラインが厳密に決まっていました。
かつタスクが膨大になるため、効率的にどうこなしていくかということを処理する能力は戦略コンサルの経験の中で培う方は多いと思います。
当然、スタートアップにおいては、ビジネスを進めるスピードが重要であるため、例えば、マーケ方針の検討やBizdevにおける資料作成等をスピード感をもってこなせるのは評価されます。
2. トップダウンで考えること
事業側に立っているとよく分かるのですが、日々巡る状況に対応しているだけでどんどん時間が過ぎていきます。(特にスタートアップは、その傾向が強そう)
ともなると、ボトムアップ的に課題に向き合う思考様式が支配的になりやすい状況にあります。
結果、俯瞰的に課題やターゲット顧客等、会社全体を眺めた上で、どこに力点を置くのかということを考えるスキルがあるのは、ある程度の規模のスタートアップになってくると評価されると思います。
このようなスキルは、一般的な事業会社ではなかなか獲得しがたいスキルでもあるので、希少性の部分でもより重宝されるポイントかもしれません。
3. よくわからないこともある程度調査した上で、資料等で分かりやすく整理すること
戦略コンサルは、毎回プロジェクトが変わるたびに、業界や関わる経営アジェンダが変化しますが、それに対応したうえで、クライアントに対して価値を提供しなければなりません。
このXX部品の市場規模とKSFって何?
といった「そんなん知るかー」みたいな情報を、デスクトップ調査やインタビューを通じて、的確に調査し、それを分かりやすい形でまとめる能力は、日々新しいことにチャレンジしているスタートアップにおいては評価されるスキルだと思います。
4. 定量分析した上で示唆を出せること
顧客調査、財務分析等、定量的に分析した上で、示唆を抽出するスキルというのは意外と評価されます。
そもそもハードスキル的にエクセル等をいじって定量分析ができる人材というのは、スタートアップにおいてもそうたくさんはいらっしゃいません。
また、示唆を抽出するところまでになると、そもそもの設計の仕方や分析に仕方によって左右されてしまいますので、仮説思考であったり、ロジカルシンキング的なスキルが不可欠になります。
このようなスキルも一般的な事業会社ではなかなか培われないスキルですので、定量分析が必要なステージにあるような一定規模のスタートアップであれば、評価してもらえると思います。
評価されないポイント
1. 徹底したクオリティを追及する/考えすぎる
この点は、戦略コンサルとは大きく違う部分かと思います。
徹底的に考え抜いて、徹底的に分かりやすい資料を作る。
このように戦略コンサルで常日頃から言われていたことは、基本スタートアップでは求められていません。
ある程度考えたら、手を動かして検証してみる。このサイクルが早いことが要求されます。
ですから、私が転職した当初も、え~そんなんでやるの?と思ったケースもポロポロありましたが、成熟していない事業においては特に、検証してみる、実際に顧客に当ててみないと良くわかりませんというケースが多々あるのです。
とはいえ、上記に記載したようにトップダウンで思考できる部分は強味ではありますので、ここらへんのバランスを取っていくことが重要なんだろうと思います。
2. 大手企業的な戦略策定スキル
基本的に戦略コンサルが相対するクライアントというのは、大企業のケースがほとんどです。
当然、新規事業開発のテーマがあったとしても、大企業とスタートアップでは持っている資本が非常に異なるため、戦い方の前提が大きく違います。
ですから、コンサル時代に暗黙的に培ってきた思考様式が必ずしもスタートアップでは正しいとは限らないということはあるかもしれません。
左脳だけでなく、いわゆる右脳というかアートの部分も、スタートアップの事業ではあるのかなと最近は感じますので、ここらへんのアンラーニングは重要だと思います。
まとめ
以上、まとめてみると戦略コンサルのスキルを活かしたいということであれば、一定規模のスタートアップでないと難しいかもしれません。
ですが、戦略コンサルで培った経験を、アンラーニングもしながらアジャストしていけば、一定規模のスタートアップではそのスキルが高く評価されることは間違いないと思います。
であるからこそ、現状多くのスタートアップでは、コンサル出身者を歓迎しています。
スタートアップ転職や新卒で悩んでいる方の参考になれば幸いです。