調達、購買部門向け生成AI、Python活用(取引先の財務諸表分析)
GPT-4の頃は、読み取りや計算の精度にばらつきがありましたが、GPT-4oでは財務諸表の読み取り精度が格段に向上しています。人間でも分かりにくい財務諸表は、GPT-4oも時々間違えることがありますが、誤りを指摘すれば修正してくれます。機械の良いところは、遠慮なくやり直しを指示できる点です。
調達部門でよく行うのは取引先の財務諸表分析です。特に上場していない企業の財務諸表は紙をスキャンしたもので、文字が埋め込まれていないことが多いです。GPT-4oになり、それも難なく分析できるようになりました。
今回は、液晶事業で苦戦しているS社の財務諸表を分析してみます。紙をスキャンした良い例が見つからなかったため、他の方法を試しましたが、多少不鮮明な紙スキャンPDFでも同様の結果が得られました。読み取り場所を間違えている場合は、指摘してあげてください。
実際にやってみます。
Webサイトから、スクリーンショットでChatGPT 4o(4oにしてください)に貼り付けます。
プロンプトも簡単に書きます。安全性を見たいので、自己資本比率と流動比率を確認を指示しています。
「この財務諸表を分析して。自己資本比率と流動比率は必ず計算して。」
その結果がこれです。テキストで貼ると計算式が表示されないのでスクショです。
さらに質問を追加。
「流動比率について、棚卸し資産を除いて計算して」
もちろん内容はチェックして、間違っていたら、指摘して修正させることが必要ですが、1から作ることを考えるとこの時短力はスゴい。
ちなみに、PDFに文字が埋め込まれていて、PDF自体を読み込みできる場合は、以下の感じになります。
(PDF自体が機能制限で読み込めないことがあります)
※2024年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)のPDFを読み込み
以下はGPT4oの回答
S株式会社の2024年3月期決算短信の分析を以下にまとめます。
連結経営成績
売上高: 前年同期比8.9%減の2,321,921百万円
営業損失: 20,343百万円(前年は25,719百万円の営業損失)
経常損失: 7,084百万円(前年は30,487百万円の経常損失)
親会社株主に帰属する当期純損失: 149,980百万円(前年は260,840百万円の損失)
連結財政状態
総資産: 前期比182,928百万円減少の1,590,032百万円
負債合計: 前期比117,990百万円減少の1,432,607百万円
純資産合計: 前期比64,937百万円減少の157,424百万円
キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フロー: 124,495百万円(前年は14,746百万円)
投資活動によるキャッシュ・フロー: 10,875百万円(前年は△40,967百万円)
財務活動によるキャッシュ・フロー: △149,668百万円(前年は△18,483百万円)
現金及び現金同等物の期末残高: 前期比12,515百万円増加の219,128百万円
セグメント別業績
スマートライフ&エナジー: 売上高441,315百万円(前年同期比7.4%減)
スマートオフィス: 売上高582,003百万円(前年同期比3.6%増)
ユニバーサルネットワーク: 売上高311,891百万円(前年同期比6.7%減)
ディスプレイデバイス: 売上高614,950百万円(前年同期比19.1%減)
エレクトロニックデバイス: 売上高416,981百万円(前年同期比12.3%減)
重要な注記
ディスプレイデバイス事業の不振により、減損損失122,332百万円を計上。
ブランド事業の特長製品や新規カテゴリー商材の創出、海外事業の強化、低収益事業の改善などを進め、収益力の向上に取り組む予定。
堺ディスプレイプロダクト㈱の堺工場の生産停止を決定。
まとめ
S株式会社は、2024年3月期において売上高、営業損益、経常損益、純利益すべてで前年同期を下回る結果となりましたが、営業損失と経常損失の赤字幅は縮小しています。特にディスプレイデバイス事業の需要悪化が大きく影響しています。今後はディスプレイデバイス事業の赤字幅縮小とブランド事業の収益力向上に注力していく方針です。
この分析が役に立つことを願っています。他に知りたいことがあれば教えてください。
上のセグメント別業績は、以下の表を読み取っているのですが、ちゃんと読み取れていて、前年比計算できているのは素晴らしいと思います。
ということで、GPT4oの財務諸表分析でした。
以上