#9 シナイ山で死にかけた話④
私たちの旅のテーマは現地レベルで「暮らす(≒生きる)」ということ。
いつかこのnoteでも書くと思いますが、無人島生活しかり、バックパッカーしかり、日本男児たるもの如何なる環境でも褌(ふんどし)一丁で生き延びれる「漢(おとこ)」たるが本懐、すべて修行なのであります。
折角なので各国の名所や観光地も行きますが、なんとなくの行く先の方角決め指針でしかありません。
現地の生活に溶け込み暮らす、「やることなくて暇じゃない?」と思われるかもしれませんが、これが案外そうでもない。
なぜならば、途上国で外にいると現地の人に超絶濃厚に絡まれるからです。そう、「もう、ええて!!」と思うくらい。
良い奴?悪い奴?
途上国は特に人見知りの概念が無い位にコミュ力おばけが多く、好奇心、親切心、商売、金銭目的、様々な角度から人びとは濃厚に接触してきます。
善悪双方の絡みがあり、どちらの方が多いのかが気になると思いますが、私の答えは「善1割、悪1割、結局善人だったのか悪人だったのかわからなかった人8割」です。
親切だったけどあそこはやられたよな、やられたけどあそこは親切だったよな、結果なんとも言えない人がほとんどでした。
そもそも人間ってそんなものかもしれませんね。
とはいえ、9割が完全な「悪」ではないことからすると、積極的に絡んで絡まれてした方が人生は豊かな気がします(責任は全く負いかねます)。
やっぱコシャリしか勝たん!!
生きていくうえで一番重要なのはやはり食べ物。
お金が無い&現地に溶け込むホールディングスの私たちは、現地の人が日常的に使う半露店のような店で食事をとるのが基本です。
色々な国に行っているので、どこで何を食べていたか記憶が曖昧になっていますが、エジプトの記憶をたどると「コシャリ」というワードがフラッシュバックしてきました。
ググってみると、そうそうこれこれ。
コシャリ
https://magazine.hitosara.com/article/1138/
https://ogugourmet.com/what-is-egyptian-national-food-kushari-kinshicho/
半露店的なお店で現地の人が食べていたものを指差して頼んだのが、このコシャリ。
一食日本円にして20円程度(うろ覚え)。今のマッチョを目指す私にとってはタンパク質が足りませんが、当時は味も全然ありだったし値段も安いので、エジプトでは基本的にコシャってコシャってコシャり倒していました。
調べると東京などにはコシャリ専門店はあるみたいなので、興味がある方は是非トライしてください。
道路横断は、命くれない瀬川瑛子
次に途上国の道路事情について。
日本では余程の事がない限りクラクションを鳴らすとひんしゅくを買いますが、途上国のドライバーはとりあえずクラクションを鳴らします。
特に「危ない」とか「邪魔」というわけでなくても、少し道が混んでいるだけで「どうなってんだ」的な意味合いでもクラクションを鳴らし続けます。
デフォルトでクラクションが鳴っているのでみんなクラクションにあまり反応もしません。
メキシコに行った時には、前方があいたのに進まない車に対し、後の車が軽くアクセルを踏んでぶつけることにより発進を促しているのにはさすがに笑いました。
少し傷がついたり凹んだりしただけで修理するのも日本ならではですね。
幹線道路的な道路以外は車、人、馬、その他荷運びをする動物が混在、明確なルールは存在せずとりあえずお互いが行きたい方に行くといった様相。
それでもそこまでのトラブルが起きずに流れていくので不思議なものです。
個人的な印象ですが、途上国になればなるほど人間優先ではなく、車優先になるイメージです。
そもそも信号を守る人が少ないからなのか、予算の問題なのかは知りませんが、幹線道路であっても信号の数はミニマム、左右見ても信号は当分見当たらず車はビュンビュン走っていて終わりがありません。
そんな道路をどうやって渡るのか?
横断できずに途方に暮れる私たちの横で現地の方が横断していきます。
その手法は以下の通り。
その道路は片道2車線の4車線道路。
まず歩道側の第1車線に車がいない瞬間を突き、第1車線と第2車線の間まで進行、そこでしばし後続の車をやり過ごします。
第1車線と第2車線同時に車が来た場合の空間は50センチから1メートル程度、間に人がいれば人と車の間はわずかに数十センチ、キワキワで凌ぎます。
次に第2車線の車が途切れた瞬間に第2車線と逆走車が通る第3車線の間まで進行して凌ぐ。
ここは車同士が正面衝突を避けるために第1車線・第2車線間よりは気持ち隙間は広いですが、時速80キロで走っている車同士だと計160キロのスピードですれ違うので心理的圧迫は同等かそれ以上です。
だいたい中央分離帯などはありません。
そして同じように、今度は第3車線と第4車線の間まで進んで凌ぎ、第4車線の隙間をついてこれを渡り、横断完了となります。
現地の人はこれを当たり前のようにおこない、案外これでいけるもんなんだなと思うとそうでもない。
ちょいちょい歩行者が車に削られたり削られそうになっています。
致命傷だと話は変わってくるのかもしれませんが、削るくらいだとだいたい車の運転手の方が歩行者に悪態をついて終了、車は走り去っていきます。
車が停止して悪態をつく場合は、歩行者も応戦して悪態をつくたくましさ。
それで渋滞が起きると後からは鬼のようにクラクションが鳴り、野次馬が群がってきます。あたり屋稼業は成立しません。
法などあっても機能しない、人の命は極めて軽い、すべては自己責任、そんな世界で自分を磨いてみてはいかがでしょうか。
男ってダメだよね
途上国では、女性はだいたいせっせと働いていますが、男性に関しては「こいつ何してるんだ?」という人が多々います。
多々というか、通りではそんな人が8割です。
そもそも働いている感じが全くない、働いていても何か興味があることがあると仕事そっちのけになるような男性ばかりです。
今回はエジプト人ダメダメオジサンの日常ルーティーンを紹介したいと思います。
オジサンはだいたい日が昇ると馴染みの喫茶店的なお店に行きます。お店に入ると水タバコ(シーシャ)と紅茶を頼みます。
シーシャはもう最近日本でもお店がたくさんあるので説明不要かと思いますが、70センチくらいの高さの器具の先端に果物や香料の香りがついたリキッドをしみ込ませた煙草の葉っぱを詰め、その上にアルミホイルを敷き、その上に火のついた炭を置きます。
器具は中空になっており、最下部には水が溜まっています。原発で言うとサプレッションチェンバー(通称:サプチャン)みたいな感じです(誰がわかるねん)。
溜まっている水の少し上には穴が開いていてチューブと繋がっておりその先端は吸い口になっています。
その吸い口から吸うと、炭の熱で加熱されたフレーバー付き煙草が煙を発し、中空の器具を通って最下部の水をくぐってチューブを通り、肺の中に入って来るという仕組みです。
水をくぐることによって不純物が落ちて普通のタバコより健康に害が無いという説がありますが、そんな香料浸しになったものを燃やしたタバコが少し水をくぐったくらいで浄化されるとは思えません。
吸うコツは、着火点から肺までの距離が長いことから、腹式呼吸で太くしっかり吸うことです。
そうすると野太い煙を吸えて「もは~~」っと吐き出すことができ、水タバコの醍醐味を堪能することができます。
私のおすすめのフレーバーは「ダブルアップル」です。普通のタバコとは異なり、水タバコは1~3時間くらい吸うことができます。
エジプトはイスラム圏なので、いくらダメダメオジサンでもお酒は飲まず、ここは小粋にティーを飲みます。
余談ですが、エジプトはイスラム圏の割にはアルコールに寛容で、外国人は比較的簡単にアルコールにありつくことができます。
水タバコとティーがきたら、それを楽しみながらもう一人のオジサンを待ちます。もう一人のオジサンが来たらバックギャモンをプレイします。
私は幼少期になぜかバックギャモンが家にあったので存在を知っていましたが、あまり知名度は高くないと思います。
改めて調べると、バックギャモンは今もプレイされる世界最古のボードゲームの一つらしいです。
原型は紀元前3500年の古代エジプトで誕生し、そこから微妙に変化しながら世界中に伝播し、日本にはなんと飛鳥時代に到来したらしいです。
バックギャモンという名前になったのは17世紀イギリスのようです。
盤面に配置された双方15個のコマを、相手の邪魔に使いながらどちらが先にすべてゴールさせるかを競うゲーです。詳しく知りたい人はセルフで調べてください(雑)。
オジサンたちは水タバコを吸いティーを飲みながらバックギャモンをプレイし続けます。
お腹が空いたらコシャリ休憩はするのでしょう(知らんけど)。そして、夕暮れと共に家に帰っていきます。
そして、家に帰って飯食って寝て起きたら、また同じルーティーンを繰り返します。
これはエジプトのトラディショナル(伝統的)ダメダメオジサンの話ですが、エジプトに留まらず途上国には色んなタイプのダメダメオジサンがいます。
そんなオジサンがのびのびと暮らせる途上国はある意味豊かなのかもしれません。
よく考えると、ユウキの親父も朝起きると住んでいる持ちビルの1階で、趣味レベルでやっている文房具屋を開け、国道沿いの排気ガスだらけの店前にテーブルとイスを出し、スポーツ新聞を拡げ競馬の予想を始めます。
午前10時を過ぎるとソワソワし始め、隙を見て近所のパチンコ屋にしけこみます。
適当に文房具屋に戻って店を閉めると、雀荘に行ったり飲み屋に行ったりして遊び散らかし、帰って寝ます。口癖は「違うか~」です。
ダメダメオジサンは白い鳩の如く平和の象徴であり、それを支える女性や社会に最大のリスペクトをすべきなのかもしれません(何の話?)。
いつシナイに行くねん
どうでしょうか?エジプトの雰囲気は理解できたでしょうか?
今回は物理的には全くシナイに進めませんでした。
このしょうもない私のnoteも読んでくれている人がある程度いるようで、最近は「いつシナイにいくねん!」というツッコミを多々頂戴しております。
レイザーラモンRGのあるあるバリに引っ張り続けるのも気が引けるので、折角エジプトなのでピラミッドに行った話を次回して、第6話からはちゃんとシナイに向かおうと思います。