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#5 チェーンブロックの魅力

前回は緊急事態で猫の里親募集をしましたが、今回は本題?にもどってエモい工具の話をします。個人的に好きな工具は多々あるのですが、文字数の観点から今回はひとつに絞りたいと思います
 
 

 

チェーンブロックとは

仮想通貨のご案内ではありません。世間ではブロックチェーンという言葉が急速に市民権を得てしまいましたが、我々ガテン系からすると「ブロックチェーン?なんだそれは?男はだまってチェーンブロックだろ!」という話になります。
 
チェーンブロックは「人力で重量物のつり上げ・つり下げ」をおこなうための機器です。言葉の通り、チェーン(鎖)とブロック(滑車)で構成されており、滑車とテコの原理を利用して、鎖で重量物を上げ下げします。
 
まずチェーンブロック自体を重量に耐えられるところに引っ掛けます。つぎに重量物持ち上げ用鎖に重量物を釣るし、操作用鎖をカラカラと引くと、滑車には増力機構がついており少ない力が大きな力に変わって重量物をゆっくりと上げ下げできる仕組みです。ブレーキ装置もついているので、操作用鎖を放しても重量物は落下することなくその位置でキープすることができます。


チェーンブロックの活躍場 

こんなもんどこで使うんだ?という声が聞こえてきます。
 
工場など日常的に重量物を移動させる場所では、天井などに電動クレーンが設置されていてそれを使いますが、いわゆる「現場」にはそんな都合よくクレーンが設置されているわけではありません。そのような環境下で活躍するのがこのチェーンブロックなのです。
 
ガテン系は力持ちなのである程度の重さまでは人力で重量物を持ち上げます。だいたい10キログラムくらい、怪力だと20キログラム以上でも人力でいくかもしれません。しかし、調子にのって人力で作業をしていると腰を痛めますし、そもそも重量物(製品・部品)や現場を傷つけたり、作業者自身が怪我をするリスクもあります。よって、特殊環境下で持続可能な現場作業をするうえでは、チェーンブロックはマストアイテムになってきます。


どこがエモいの?チェーンブロック

チェーンブロックそのものと利用シーンの説明が終わったので、続いてエモさについて説明していきたいと思います。

まず見た目がカッコイイ
思春期にはチェーン付きの財布を持ちたくなる等、チェーン(鎖)には中二病をくすぐる不思議な魅力があります。そんなチェーンが主な構成部品となっているチェーンブロックには、まずビジュアル的にこちらをくすぐってくるものがあります。

手軽な超人体験
滑車とテコの原理は素晴らしいもので、素手ではびくともしなかった重量物が、チェーンブロックを使うと数百キログラム、数トンあるものでも簡単に持ち上がります。操作用鎖を片手でカラカラと引くだけでゆっくりと持ち上がる重量物を見ると、何か自分が超人になったような気分を味わうことができます。

奥義複数使い
チェーンブロックは、チェーンブロック自体をどこかに取り付けて重量物を上げ下げするものなので、吊り上げた重量物を横回転以外で回転させたり、横に移動させることはできません。比較的軽いものの場合は、吊り上げた状態で人の力で回転や横移動は可能ですが、ある程度以上の重さになるとできるのは上げ下げだけになります。
 
そんな時に発動するのが「奥義複数使い」です。例えば吊り上げた重量物を2m横に移動させたい場合、移動地点にもうひとつのチェーンブロックを取り付けます。次にひとつ目のチェーンブロックが吊り上げた重量物にふたつ目のチェーンブロックの持ち上げ用鎖を繋ぎます。そして、ふたつ目のチェーンブロックを巻き上げながら、ひとつ目のチェーンブロックを巻き下げていくと、じわりじわりと2つ目のチェーンブロック設置位置に重量物が移動していくというわけです。
 
簡単に説明すると以上ですが、ふたつ目の持ち上げ用鎖のつけ方が変だと、重量物は移動してきたもののどうしようもない向きになっている、両方のチェーンブロック持ち上げ用鎖にバランス良く負荷がかかった状態を維持しないと危険、きちんとした予測ができないと移動ルートが想定外になって移動不能になったり他と干渉(ぶつかる)してしまう等、このチェーンブロックを使った重量物の移動・回転は地味に難易度の高い作業になります。


※新人のダビデが描いたイメージ図です


 このチェーンブロックを使った重量物の移動・回転は、知識と知能を問われるものであり、これを最小道具数、最小手で、安全かつ迅速に実行できるか否か、ここにチェーンブロック最大のエモさがあります。
 
よく大卒の現場配属者や研修者が現場たたき上げの職人に「難しい勉強してきてこれもできんのか?」と言われたり、ある程度のベテランでもにっちもさっちもいかない状況に陥るのがこの作業です。当社では時折現場での技能を競う大会を社内で開催しますが、このチェーンブロックによる重量物運搬はマスト競技として絶対に組み込みますし、ギャラリーが一番盛り上がるのもこの競技になります。
 
そんなチェーンブロックの世界、皆さんも体験してみてはいかがでしょうか(笑)


チェンブロック大会の様子


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