#11 シナイ山で死にかけた話⑥
さてエジプト生活も慣れてきたのでそろそろカイロを発つ頃合いです。
なんとなくアスワンに行ってみたいとは思っていました。
アスワンはカイロからナイル川沿い850km南下したところにある街です。
あらかじめ言っておきますが、このくらいの距離の陸路移動はバックパッカーにとって当たり前です。きついけど。
なぜアスワンに行きたかったのかというと、なんとなく名前がオシャンなのと、アスワンにはあのMen’s egg専属モデルとしても名をはせ、エジプトで一番のギャルであるパトラ(クレオパトラ)も抱かれたいファラ男ナンバー1にあげたという(流れるような嘘)イケてるファラ男、ラムセス2世が築いたアブ・シンベル宮殿という石窟遺跡があるからです(これはホント)。
ナイル川の源流に近づいていくのも素敵。
余談ですが、当社岡野バルブにはスーダン人の社員がいますが、彼の実家は黒ナイルと白ナイルの合流点至近距離にあります。
黒い川(実際は黒く見えるだけ)とミルクティーのような白い川が交わるその風景を見に、いつか彼の実家にも行ってみたいものです。
黒ナイルと白ナイル、ナイル川って、ギャルみたいですよね。
旅の手引き 宿ノート
日本人バックパッカーの心強い旅のお供と言えば、「地球の歩き方」という本。
よくこんなに細かいことまで調べたなというくらい、現地の情報が細かくかなり正確に書いてあります。
最近はジョジョの奇妙な冒険コラボ版も出たみたいなので、買ってみようかなと思案橋(ユウキの親父の口癖2 ※思案橋とは長崎の歓楽街である。博多でいう中洲、小倉でいう堺町(さかいまち)である。)。
※画像が表示されない場合があります。
とはいえ、流石の「地球の歩き方」も情報は出版(改版)時で止まっています(最近は電子版とかもあるのかな?)。
やはり大事なのは現地現在の生の情報。
そんな時に役に立つのがバックパッカー宿の宿ノートです。
バックパッカー宿は共用部が多く、共用リビングなどでは宿泊客同士が情報を交換したり、そこにはノートが置いてあって「あそこは良かった」「あそこは危険だった」「あそこに行くならこの移動方法が良い」といった情報が英語を中心に宿泊客の母国語で色々記してあります。
昔のラブホテルにも類似のノートがあったような記憶があります。
「ずっと一緒だよ。」そういうのを書くカップルに限ってすぐ別れがち説を提唱するのは私だけでしょうか。
危ない。また脱線するところでした。
そんな宿のノートをパラパラみていると、「シナイいいやん」「シナイ素敵やん」という書き込みが目に付く。
あまりここで書くとネタばれになるので詳しくは書きませんが、どうも標高2285メートルのシナイ山山頂でご来光を拝むのが超クールらしい。
そんな書き込みと、「シナイ山で死にかけた話①」で書いたような我々非キリスト教徒系クリスチャン学校出身者の思ひ出が交わり、我々は満場一致で行く先を決めました。
「そうだ、シナイに行こう。」
行き方調査
行くとなったらまずは行き方調査です。
地球の歩き方や宿ノートには行き方の情報はある程度書いていますが、途上国は色々と変化があるので長距離移動は流石にある程度調べてからでないと怖い。
途上国は鉄道はあまり無く、あっても路線はかなり限定的だったり、便数も少なくダイヤもあってないようなもの。
インドなどでは乗り換えの電車が24時間待ちのうえに、時間になっても来ない!などは良い思い出です。
途上国鉄道ネタもかなりありますが、ここでは割愛します。
鉄道の乱れや停電は海外では先進国でも普通、よく言われることですが、秒単位でしっかりと鉄道のダイヤが守られる日本が異常なだけなので、この感覚を基準にしないように注意しましょう。
シナイ山までもどうやら鉄道ではなく、バスで行くしかない模様。
カイロ市内の長距離バスターミナルに向かい、ヒアリング。
記憶が定かではないのですが、どうもスエズ運河のあるスエズか、シナイ半島に入ったボチボチの規模の街まで長距離大型バスで移動し、そこからは乗り合いのワゴン車や観光バスに乗り換えて移動とのこと。
今ネットで調べると、シナイ半島東側、アカバ湾内にあるダハブという街で乗り換えと出てくるので、そこまでは長距離バスで移動したのかもしれません。
カイロからダハブまではバスで8時間から10時間。まあマシな移動時間です。
スエズ運河とパナマ運河
スエズの地名が出てきたので、世界2大運河のスエズ運河とパナマ運河についてご説明。
両運河共、人類の海運を劇的に効率化した運河です。
スエズ運河は1869年開通、エジプトに位置し、地中海と紅海を結ぶ運河、現在の全長は193km(深さ24m幅205m)。
ヨーロッパから中東、インド、アジアへは従来アフリカ大陸をぐるっと回って移動しなければならなかったところ、このスエズ運河の登場によりその必要がなくなりました。
従来ロンドン・シンガポール間は、喜望峰(ケープタウン)回りで航路2万4500km、100日以上かかっていたところ、スエズ運河の開通によって航路は1万5000km、所要時間40日にまで短縮されました。
一方のパナマ運河は1914年開通、名前の通り中米パナマに位置し、太平洋と大西洋を結ぶ運河、全長は80km(深さ12m最小幅91m)。
アジアとアメリカ東海岸を往来する船が主で、従来南アメリカ大陸をぐるっと回って移動しなければならなかったところ、このパナマ運河によりその必要がなくなりました。
余談ですが、双方の運河を通れる船のサイズはそれぞれ、スエズマックス、パナマックスと呼ばれ、船舶設計上のひとつの基準になっています。
スエズマックスを超えるサイズの船は、喜望峰(ケープタウン)を回らざるを得ないことから、ケープサイズと呼ばれるそうです。
両運河の大きな違いは、その構造にあり、スエズ運河は水平式、パナマ運河はロック(閘門)式となっています。
水平式のスエズ運河は、その名の通りフラットな運河なので船はそのまま通ることができます。
一方のパナマ運河は、運河の途中に海抜26mのガトゥン湖などがあり、水位が違うので船はそのまま通ることができない。
そのため、ドックのような閘門(こうもん)に入り、高い水位にいた船は閘門の中で水位を下げてもらい低い水位に合わせる、逆も同じくで、低い水位にいた船は閘門の中で水位を上げてもらい高い水位に合わせる、これを数度繰り返して運河を通っていく構造になっています。
男たるものこの規模の土木工事に従事してみたいものです。
情報は適当に調べた内容なので、保証はしませんので悪しからず。
スエズ運河、パナマ運河共に年間1万5000隻程の船が往来するそうです。
年間でみると大きな数字に見えますが、1日で言うと50隻未満の数、多いのか少ないのか微妙なところ。
通行料も高いしそこまでの長距離船も数は限定的でしょうから十分凄いのだろうと思います。
尚、これも余談ですが、当社岡野バルブ製造株式会社本社がある、北九州市、門司区、関門海峡を年間往来する船の数は、500総トン以上の大型の船舶に限定しても、なんと5万隻!
船の数だけで言うと、世界のスエズ、パナマを凌駕しています。
実際に関門海峡をボケーっと見ていると、漁船、客船からタンカー、軍艦、サルベージ船まで、多様な船が常時ひっきりなしに往来していて見て飽きません。
小舟で関門海峡をウロチョロしていると大型船の引き波でしょっちゅう転覆しそうになります。(タコってどうやって釣るの?)
世の中に鉄オタはいるものの、船オタがいるのかは知りませんが、船オタでなくても是非一度関門海峡を見て欲しいと思います。
さて、途中から謎の運河話からのコジツケご当地PRをしてしまいました。
移動方法はわかったので、次回はシナイ山に向けて移動です。
記憶がフラッシュバックしてきました。
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