自然ドラゴンが得たもの、失ったもの〜UCL.RAGE編
「自然ドラゴンは弱くなった!!」
これがアルティメットコロシアムが発売して2週ほどたった時の私の認識だ。
ローテーションルールにより、環境が変化して主要デッキが入れ替わった。
自然ドラゴンも煽りを受けたデッキタイプだろう。
まず、環境初期に2つのデッキが台頭した。
クオンウィッチ
妖怪ネクロマンサー
クオンウィッチは、
スペルブーストの優良カードで構成され、いわゆる「6クオン」で盤面を制圧する。
これまでのスペルブースト系のウィッチと異なる点は1度クオンが対処されてしまっても、式神によるラストワードでリカバリーでき、さらにマナリアの偉大なる研究で次のクオンをスペルブーストがかかった状態で、再展開出来る対応力だろう。
また、クオンが引かない時でも「真実の狂信者」を絡めた、鬼呼びの導師、クラシカルソーサラーを同じターンに複数展開して無理矢理押し込むパターンも存在する。
妖怪ネクロマンサーは
アルティメットコロシアムで誕生し、前環境で人気の自然ネクロマンサーを、直ぐに押しのけて環境トップに君臨した。
新カードである、妖怪カードは勿論、ミヤコ、シノブのユニオンバースト、レジェンダリースケルトン、ソーラ、雪女などの優秀な2コスト等、ミッドレンジ域のカードは他のリーダーと比べて一歩抜きん出ている。
その中でも、このデッキをTier1に確立させたカードは
永遠の花嫁セレスである。
盤面の制圧力、ライフゲインによる延命力、永遠の誓いによる「7ギンセツ」に加えソーラ、レジェンダリースケルトンの一斉展開はクオンウィッチの盤面を返すほどの強さを持つ。
取り分け環境初期はこの2つをどう対応する、もしくはミラーマッチを制するかが課題だった。
しばらくすると、環境に新デッキが誕生する。
コントロールエルフ
初期こそ様々なカードが採用されていたが、最近は「豪風のリノセウス」をフィニッシュ手段にしたコントロール型が主流になっている。
今までのシャドウバースには無かった、2パス、3パスを平然と行う動きは異彩を放つ。
環境トップの妖怪ネクロマンサーに強力なアンチテーゼとなり、クオンウィッチにも少し分が悪いとはいえ勝てないわけでは無い為このデッキもTier1に台頭した。
RAGE前の環境トップ(Tier1)は
クオンウィッチ
妖怪ネクロマンサー
コントロールエルフ
の3つが支配した。その後を
アマツエルフ、リオードロイヤルなどが追いかける格好だ。
自然ドラゴンの立ち位置
さてここで自然ドラゴンの登場だ。
森羅咆哮環境のドラゴンは、初期は自然ビショップ、自然ネクロマンサーなどに遅れをとっていたが、中期後期はTier1になったと言っても差し支えないだろう。いわゆる対策する側ではなく
対策される側(メタゲームの標的)
しかしアルティメットコロシアム環境の自然ドラゴンは、
対策する側(メタゲームを読んで持ち込む)
となる。
理由は単純に
「周りのデッキが強くなった」
「自然ドラゴンが相対的に弱体化した」
為である。自然ドラゴンの要である「暴竜・伊達政宗」が退場した影響は大きく、シナジーを形成するカードも相対的に弱くなった。また、「侮蔑の炎爪」もさりげなく退場しているが、ブレイジングブレスがあるとはいえ、小回りが効かなくなってしまった。
つまり
「デッキパワー」が下がってしまったゆえ、ドラゴンを使うには「工夫や明確な理由」が必要になったのだ。
新しい自然ドラゴンの形
ここで環境をおさらいすると、
クオンウィッチ、妖怪ネクロマンサー、コントロールエルフの3つが存在する。
私の予想使用率は
1クオン
2ネクロ
3コントロールエルフ
だった。クオンに関しては大多数のプレイヤーが持ち込むと想定し、相方をどちらかにするかと言ったところか。
私自身、何も無ければクオンウィッチと妖怪ネクロマンサーでRAGEに出場するつもりだった。
では、この状態で自然ドラゴンを使う為の理由は何だろう?と考えて見ると
わかりやすいところでは
「コントロールエルフ」を対策する
事が挙げられる。
リノセウスがあるものの性質上「受けデッキ」の為、影の浸食の継続ダメージで有利に立つ事ができる。
だが、コントロールエルフだけの為にドラゴンを持ち込むのはリスキーだろう。使用率が3番目であり、2番手であるネクロマンサーには不利を強いられている。せめてクオンに5分もしくは、微有利が欲しい。そう、クオンウィッチコントロールエルフの対面に有利が取りやすくなれば使う理由になる。どうすれば良いのか、、、
そしてRAGE1週間程前に、ふと「あるカード」が頭に浮かび自然ドラゴンは新しい形となって再臨する。
オサレの翼をあげちゃうわぁ〜〜
新しい形の自然ドラゴン
以下のデッキリストは私がRAGEで使用したデッキを数枚差し替えたものである。
新しい自然ドラゴンは、従来のコントロールプランを残しつつも
「アグロプラン」を取り入れたハイブリッド型に変化した。
何故アグロプランを取り入れたのか?
それは、
クオンウィッチが環境のトップに君臨するからであり、
自然ドラゴンがアグロプランをデッキに採用しても「ギリギリ成り立つレベルで弱くならない」と考えた為だ。
自然ドラゴンは従来のヴァイディは勿論、新カード「イノリ」が追加された為、最後の押し込みが通るようになったのが大きい。
妖怪ネクロマンサーとのアグロプランの違いは
「守護を無視してダメージを与える」手段が無理なく採用されている所だろう。
とは言え「ギリギリ成り立つレベル」のさじ加減が難しく、いくらメタデッキとして機能していても、余りに他の対面に弱くなったり負け出したりすると意味が無い。
例えば「アグロヴァンパイア」は同じようにクオンには強そうにみえても
デッキパワーが明確に低い為、bo3においては使うには値しないと考えている。
デッキパワーを落とさずに(他の対面にもある程度戦える)環境に沿ってチューニングしていくのが、プレイヤーとしての「理解度」「技量」が試される所だろう。
こうして、自然ドラゴンは
クオンウィッチの影響により
「環境のゲームスピード」が速くなった為、デッキのキルターンの高速化を測り
「1ターン差」で差し込むデッキに変貌した。
各カード解説
クオンウィッチに対して勝率を上げる為に投入されている。主な役目はゴブリン。クオンウィッチの性質上、先手1にこいつを出すと確定で「3点以上」ダメージを与える事が出来る。
また、覚醒状態なら最低限1枚はカードを引ける為、中盤に置いても強くは無いが使用に耐えうる。
RAGEはデッキリスト非公開であり、対クオンに置いて相手がアグロプランのドラゴンを知らなかった場合のリターンは大きい。(相手のマリガンが適正では無い可能性が上がる)
逆に、元々苦手なネクロマンサーに対してはデッキが痩せてしまっている為、さらに不利になるデメリットも抱えている為、環境をみて採用するかもしくは割り切る必要がある。
通称「サカナ」(私がよんでるだけ)
この令和のサカナは、覚醒さえクリア出来れば2コス2点と最大効率の打点を生み出すことが出来る。たかが2点と思うかもしれないが、環境が基本的にロングゲームの勝利を許容しない為、キルターンを早める可能性があるこのカードは採用されるスペックを充分に持つ。
但し、基本的にカードパワーが高いとは言えず、自然ドラゴンの性質上リソースにならない2コストを複数枚採用する為(極光の天使、イノリ)枚数配分には注意したい。
ちなみに平成のサカナは
環境により相対的に弱体化したカード。
理由はラストワードが起動しにくくなった為だ。
クオンウィッチ相手には、式神の使役が1/3で相討ちをとることが出来ず、
妖怪ネクロマンサーは雪女で案内人プテラのテンポを阻止してくる。
コントロールエルフは2ターン目に2/2が出てくる事が殆どない。(たまにスケアトリートレント)
とは言え、自然ドラゴンの2コスト域に置いて息切れを防ぐリソースを生み出す可能性のある、このカードは常に検討すべきで、採用枚数は0〜3まであり得るカード。
自然ドラゴンにおいて今期1番収穫になったカード
序盤のマナカーブの保険にもなりつつ、最後にはバーストダメージで押し込みにも使える万能カード。
クオンウィッチ対面は勿論、対妖怪ネクロマンサーに置いての勝ちパターンにも貢献する。
極光の天使でターンを上手くずらして、展開してきた相手に差し込む展開で使用する。
託宣→ヴァイディ→ガリュウ
は1つの勝ちパターンを生み出した。
また、チョイスの付いているカードは
最低でも70点くらいの仕事はするので凡庸性は高い。
デッキに明確な意思があり尖らせたい、使わない対面が多い、3は要らないと感じたら少しづつ枚数を調整する枠。
ミラーマッチは、伊達政宗が消えた為9ガリュウが返せない。
ネクロマンサー対面に置いては、後手4酒呑童子に対して5ガリュウ突進で進化権を使わずに対処して、次のセレスはヴァイディ進化で対処して進化権を節約するパターンを頭に入れておく(2/2を踏まえていた時)
その他
相対的に弱くなったカード
ドラゴンバスターイアン
母なる君
相対的に強くなったカード
極光の天使
ティラノサウルス
※特に極光の天使は対クオンに置いてベストターンを考えて置くこと。
対面によって意識するワンポイント
対クオンウィッチ(5分から微有利)
尚、5分から微有利は私自身の体感であり、RAGE期間中までの評価とする。
実際に6クオンされると簡単に負けてしまうし、逆に先1マリオンから繋げていって簡単に勝てる事もある。
これはクオンというデッキの性質上
「上ブレと下ブレの差が他デッキよりも大きく、1枚スペルブーストを引いてるか引いてないかで展開が大きく変わる為である」
狙うプランはアグロプラン。
1マリオンから繋げて展開を狙っていきたい。
又、託宣からヴァイディの流れをクオン側はウインドブラストを採用してない限り、綺麗に返せない。
今までの自然ドラゴンの感覚を捨てて、進化フェイスを最も行うマッチアップ
と言うことを意識する。
対コントロールエルフ(微有利)
基本的に有利と認識としても構わないが、リノセウスで簡単に負ける時もあるので、出来るだけキルターンを早める必要がある。
マリガンはヴァイディを探すのを優先。
荒野の案内人はいつもの自然ドラゴンの感覚でキープせずに流して、ヴァイディやプテラを探す。
妖怪ネクロマンサー(微不利〜不利)
相手が序盤につまづかない限りは基本的には不利。マリガンはアグロプランは狙わずに、マリオンは返す。
8雪女に対して、極光で打点4に下がってギリギリ勝つプランや、ギンセツに対してイノリ2枚で勝つプランなど特殊なプランが結構存在するが相手が上手いと普通に厳しいので割り切りも大事。
逆に、ネクロマンサー側で勝てないプレイヤーは1.2.3.4展開を意識しつつ、積極的にフェイスを狙っていきましょう。そして
ヘリオをデッキに入れましょう。
私がドラゴンを選択した理由の1つに「ヘリオの枚数が1以下」になっていると思ったのも追記。
目標意識
私は今回、上記の自然ドラゴン(数枚違い)とクオンウィッチを持ち込んだ。
理由を改めて説明すると、
環境トップの組み合わせ
ネクロマンサー、クオンウィッチ
コントロールエルフ、クオンウィッチ
私は使用率こそ「ネクロマンサーウィッチ」の方が多いと考えたが、最終的に上位層に残るのが多そうなのは「コントロールエルフクオンウィッチ」と考えた。
そして、目標はday2進出では無くプレーオフ以上なので、プレーオフ以上になった時に勝利しやすい組み合わせと考えて採用するに至った。
勿論、「ドラゴンを使用することにより苦手なマッチアップ」が、「コントロールエルフや妖怪ネクロマンサー」を「自身が使用する」より対面する事態が多いだろうと言う「リスク」を承知の上だ。
結果的に良い成績は残せなかったが、
王道でない選び方、メタゲームを狙った選び方
を今回経験したので、次に生かしたいと思う。
終わりに
今回はアルティメットコロシアム環境に置いての自然ドラゴンについての認識を記事にした。
ここだけの話、現環境の自然ドラゴンは上3つのデッキパワーに純粋に劣ると感じており、「明確な理由や思惑」がない限りオススメ出来るデッキとは思っていない。
それでも、持ち込んだのは
「メタデッキ」としての選び方や
デッキパワーが劣っていても、対面がゲーム展開を理解してなかったら「拾えるゲーム展開」があると感じた為です。
今回のアグロプランを取り入れた自然ドラゴンや、ファイナリストの後ろ寄せ自然ドラゴンなど異なるアプローチによって「意識している事の違い」や採用カードによって変わる局面の違いを、楽しめたら貴方は立派な自然ドラゴンマスターです!(嬉しくないかな?)
そして、私事ですがRAGEなどで初対面の人に
自然ドラゴン
トリケラトプスの人
って言われる事が多く、有難い反面、このイメージがもし、ずっと続くとなると
最近勝ってない
という事になるので、今年は
脱トリケラトプス
を目指して行こうと思います。
長い文章を読んで頂き有難うございました!!
どこかの会場でお会いしたら宜しくお願いします。
最後に今回のRAGEで使った自然ドラゴンを公開して筆を置かせて頂きます。
Okanishi Tatsuya