まだまだ燻る「インフレ」の ”種火”
燻る「インフレ」の ”種火” 。|損切丸 (note.com) のシリーズ
(参照) やっぱりアメリカで燻る「インフレ」の ”種火” 。|損切丸 (note.com)
やっぱりアメリカで燻る「インフレ」の ”種火” Ⅱ。|損切丸 (note.com)
これも ”流れ” なのだろう。米国債が売り基調の中、注目の9月米CPIは総合指数は年率で小幅低下(+2.4%)したものの食品・エネルギーを除くコアが反転上昇。FRBの連続「利下げ」路線に暗い影を落とした
これでターミナルレートは最悪@4%に留まるリスクも出てきた
ここで注目すべきは @4%に接近する過程で買いが入った2~5年債とは対照的に10年超が売られイールドカーブは典型的な「スティープニング」
本当に「インフレ」は収まったのか?|損切丸 (note.com) というマーケットの不安を揺り起こした恰好。みんな想い出したのは、2021年に「インフレは一時的」と言い放って「利上げ」対応が遅れ、挙げ句に パウエル議長の "心変わり" 。|損切丸 (note.com) で突如「利上げ」路線に転換したものの ”バイデンフレーション” の衝撃。|損切丸 (note.com) を引き起こした "大失敗" 。結局3回連続×+0.75%「利上げ」にまで追い込まれた
実際FRB内でも意見が割れたようだし、どうもこの辺りパウエル議長の ”政治的配慮” ≓ 大統領選対策が滲む。だからいつも 続・「インフレ」は死んではいない ー 「国債市場の逆襲」が始まる|損切丸 (note.com)
TIPS(物価連動債)を見ると、一時@2%を下回っていたBEI(Break Even Interest rate、予想物価率)がじわじわ上昇し、気が付けば10、30年はもう+2.3%台。つまり「インフレ」反騰を市場は予想し始めている
もう一つ大きな ”変化” 。これまでほぼ自動的に動いてきた米国債売り(金利上昇)→ ドル円買いというパターンが崩れた
例えば「円高」リスクをしょって米国債を買っている日本の個人投資家。「高金利」目指しなら名目金利がへこんでいる2~5年よりも10年超の長期債を買う確率が高い。金利が上がれば国債価格が下がって損が出るが「ドル高」になれば「損切り」せずに済む場合もある(これは米株投資でも同じ)
これが今回のように米国債売り→ドル売りになるとダブルで "大やられ" 。ちなみに1990年代までは「ドル安・株安・債券安」の「トリプル安」が当たり前で、米国債の「スティープニング」→「ドル安」が常識だった。「インフレ」になれば「実質金利」が下がるので「ドル安」は合理的でもある
日中米欧でドバドバ「お金」を供給していたマーケットでは気付きにくかったが、「利上げ」「QT」(量的引締)で「正常化」が進む中、当たり前の金融理論に回帰しつつあるように映る。「量」が制限されればクロスボーダー+市場間のキャッシュフロー(お金の流れ)が決定的意味を持つ
ちなみにPKO(株価維持策、Price Keeping Operation)で急騰した中国株だが、これも見方を変えれば「インフレ」現象と捉える事も出来る。株を買うにせよ、不動産を買い支えるにせよ、銀行に公的資金を注入するにせよ、*経済活動の裏付けのない「お金」を供給しなければいけないからだ
もっとも日本も他国の事を言っている場合ではない。きちんと「利上げ」せずに「円安」を放置すれば "危機" に直面する事になる。幸い中国から移ってきた仕事が増えて「人手不足」なので、この間にきちんと「正常化」しておきたい。"Rising Sun" (日出ずる国)復活の最後のチャンスになろう
こうなるとやはり 悪い ”胸騒ぎ” |損切丸 (note.com) が収まらない。「通貨安」と「金利上昇」は最悪の組み合わせ。「インフレ」も悪化すれば「スタグフレーション」、更には「ハイパーインフレ」に転化するのは歴史が証明している。これはアメリカも中国も日本も例外ではない