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まだまだ燻る「インフレ」の ”種火”

 燻る「インフレ」の ”種火” 。|損切丸 (note.com) のシリーズ
 (参照) やっぱりアメリカで燻る「インフレ」の ”種火” 。|損切丸 (note.com)
 やっぱりアメリカで燻る「インフレ」の ”種火” Ⅱ。|損切丸 (note.com)

 9月米CPI +2.4% 予想 +2.7% 前月 +2.5%
 コア +3.3% 予想 +3.1% 前月 +3.2%

 これも ”流れ” なのだろう。米国債が売り基調の中、注目の9月米CPIは総合指数は年率で小幅低下(+2.4%)したものの食品・エネルギーを除くコアが反転上昇FRBの連続「利下げ」路線に暗い影を落とした

 これでターミナルレートは最悪@4%に留まるリスクも出てきた

 ここで注目すべきは @4%に接近する過程で買いが入った2~5年債とは対照的に10年超が売られイールドカーブは典型的な「スティープニング」

 本当に「インフレ」は収まったのか?|損切丸 (note.com) というマーケットの不安を揺り起こした恰好。みんな想い出したのは、2021年に「インフレは一時的」と言い放って「利上げ」対応が遅れ、挙げ句に パウエル議長の "心変わり" 。|損切丸 (note.com) で突如「利上げ」路線に転換したものの ”バイデンフレーション” の衝撃。|損切丸 (note.com) を引き起こした "大失敗" 。結局3回連続×+0.75%「利上げ」にまで追い込まれた

 7月の▼0.50%「利下げ」は拙速に過ぎたのではないか?

 実際FRB内でも意見が割れたようだし、どうもこの辺りパウエル議長の ”政治的配慮” ≓ 大統領選対策が滲む。だからいつも 続・「インフレ」は死んではいない ー 「国債市場の逆襲」が始まる|損切丸 (note.com)

 TIPS(物価連動債)を見ると、一時@2%を下回っていたBEI(Break Even Interest rate、予想物価率)がじわじわ上昇し、気が付けば10、30年はもう+2.3%台。つまり「インフレ」反騰を市場は予想し始めている

 もう一つ大きな ”変化”これまでほぼ自動的に動いてきた米国債売り(金利上昇)→ ドル円買いというパターンが崩れた

 例えば「円高」リスクをしょって米国債を買っている日本の個人投資家「高金利」目指しなら名目金利がへこんでいる2~5年よりも10年超の長期債を買う確率が高い金利が上がれば国債価格が下がって損が出る「ドル高」になれば「損切り」せずに済む場合もある(これは米株投資でも同じ)

 これが今回のように米国債売り→ドル売りになるとダブルで "大やられ" 。ちなみに1990年代までは「ドル安・株安・債券安」の「トリプル安」が当たり前で、米国債の「スティープニング」→「ドル安」が常識だった。「インフレ」になれば「実質金利」が下がるので「ドル安」は合理的でもある

 日中米欧でドバドバ「お金」を供給していたマーケットでは気付きにくかったが、「利上げ」「QT」(量的引締)で「正常化」が進む中、当たり前の金融理論に回帰しつつあるように映る。「量」が制限されればクロスボーダー+市場間のキャッシュフロー(お金の流れ)が決定的意味を持つ

 ちなみにPKO(株価維持策、Price Keeping Operation)で急騰した中国株だが、これも見方を変えれば「インフレ」現象と捉える事も出来る。株を買うにせよ、不動産を買い支えるにせよ、銀行に公的資金を注入するにせよ、*経済活動の裏付けのない「お金」を供給しなければいけないからだ

 *「中国はデフレ」。こういう言説を目にするが筆者の意見はちょっと違う。世界的「インフレ」に突入している今、豊富な資源を持たない中国だけ例外にはなり得ない。現状は過剰人員、過剰生産で人もモノも溢れかえっており、失業者が多く購買力が落ちている中、企業側が売り急いで「値段」が下がっているだけ破綻・倒産で淘汰が進めば突如「物価高騰」が表面化するはずで「デフレ」というより「スタグフレーション」に近い。いくら世界2位の大国とは言え、対応を誤れば最悪「アルゼンチン」パターンもある

 もっとも日本も他国の事を言っている場合ではない。きちんと「利上げ」せずに「円安」を放置すれば "危機" に直面する事になる。幸い中国から移ってきた仕事が増えて「人手不足」なので、この間にきちんと「正常化」しておきたい。"Rising Sun" (日出ずる国)復活の最後のチャンスになろう

 こうなるとやはり 悪い ”胸騒ぎ” |損切丸 (note.com) が収まらない。「通貨安」と「金利上昇」は最悪の組み合わせ「インフレ」も悪化すれば「スタグフレーション」、更には「ハイパーインフレ」に転化するのは歴史が証明している。これはアメリカも中国も日本も例外ではない

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