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続・ ”バイデンフレーション” の衝撃。ー 意外な「日経平均」の健闘振り。

 ”バイデンフレーション” の衝撃。|損切丸|note の続編。

 6月米CPI(年率)+9.1% 予想+8.8% 前月+8.1%
 除.食品・エネルギー +5.9% *家賃指数 +5.8%

  ”バイデンフレーション” という言葉が出始めたのが2022年初だったが、その時点でCPIが+9%台まで上がると予想できた人はいただろうか毎月「今度こそ下がるのでは?」と妙な期待を醸成して、業界の「都合」で ”リセッション運動”  ”逆イールド” と仕掛けてきたウォール街だが、その都度裏切られてきた。余程「利上げ」がお嫌いらしい。今度も同じ様な運動を繰り広げているが、雲行きは怪しいと言わざるを得ない。

 遂に煙を黙々と上げて燃え広がっている「インフレ」だが、@3%程度の金利で消せるというのは楽観的過ぎるろくに火も消えてないのに ”逆イールド” など論じる段階ではなかろう。現時点の「利上げ」予報がこれ  。カナダが先行して+1%「利上げ」に踏み切ったため、7/27 FOMCで+1%の話も出てきているが、現状は11月まで3回連続+0.75%が有力

 TIPS(米物価連動債)を見ても、一時@3%に乗せていた5年BEI(予想物価上昇率)が@2.58%まで低下 ↓ 。随分「都合」のいい予測だ。 ”逆イールド” 同様、とにかく「金利が下がる」という「予報」が欲しくてたまらないのだろう。まあこれだけ株や暗号資産が売られ、 ”頼みの綱” 金属・エネルギー等の「インフレ資産」まで値崩れすれば嘆きたくもなろう。

 バイデン大統領:「CPIは過去の数字。ガソリンは下がってきている」

 はぁ~(ため息)。やはり 値上がりの時代。|損切丸|note の "正体" が判っていない(あるいは "FACT" を無視)。原油価格が下がれば「インフレ」が終わるというのは、とんだ「事実誤認」である。実際除.食品・エネルギーで+5.9%も物価が上がっており、家賃も+5.8%も上がって加速

 今の「インフレ」のコアはエネルギー価格の上昇ではない

 「インフレ」の正体。ー 「平均時給」上昇の衝撃。|損切丸|note は「ベビーブーマー」引退に伴う「人手不足」だ。

 「損切丸」では何度か解説してきたが、「インフレ」の芽は「コロナ前」の2018年あたりから既に出だしている1946~1950年生まれのアメリカの「ベビーブーマー」は人口の40%弱に当たる約7,800万人もおり、その人達が現場から続々と引退している。

 標題添付はアメリカの出生率の推移を示しているが、日本 ↓ 同様、「人口動態」は逆ピラミッドを形成。今後10年以上「人手不足」が続くAIDX(デジタル・トランスフォーメーション)の活用で補われる部分もあるが、とても賄いきれないほど ”巨大な穴” だ。

 "Forward Looking" (先見性)の視点から見れば、2019年から「利上げ」に着手してもおかしくない状況だったが、あろうことか「コロナ危機」で真逆の政策を打ってしまった。これが今の「大火事」の正体である。

 今言ってもどうしようもないが、せめて2021年前半に「利上げ」を開始していれば政策金利@3%程度で済んだかもしれない。だがこうなっては*最低@4%、場合によっては@5%ぐらいが必要になる

 確かに住宅ローンの金利が@6%を超えたところで住宅市場には急ブレーキがかかっているようだが、それだけで「インフレ」を抑え込めない家賃もサービス価格も、全ての「値段」が上がっているのは一にも二にも「人件費」「人手不足」の穴が埋まるまで「通常運転」に戻るのは難しい

 加えて9月から「QT」で「量」の減少が倍増(▼950億ドル ≓ ▼13兆円)する。消火活動に例えれば、放水や消化剤投下でも火が消えないから延焼しないように周りの建物を壊して燃える材料を減らす行為だ。そうなると必ず ”被害” が拡大する。壊れるのは株か、暗号資産か、エネルギーか、はたまた米国債や「ドル」自身にまで波及するのか。心配の種は尽きない。

 そんな中見逃せないのが昨日に続き今日(7/14)も "逆行高" の日経平均の健闘振り。確かに通貨として「円」は▼20%近く減価してしまったが、裏を返せば「交易条件」は劇的に改善している。「人件費」の高騰で頭の痛い海外の企業にとっても「日本」は相当安いいつもは批判の対象となる「漸進主義」もこと「インフレ」に関しては好材料これまで海外に流出していた「労働力」の逆輸入が起れば日本経済にはプラスだ。いつも「黒船」頼みは頂けないが、これでやっと「お給料」の底上げが進むだろう。

 ”強気相場は「悲観」の中に生まれ「懐疑」の中で育ち「楽観」と共に成熟し「幸福」のうちに消えて行く”

 「円安」騒ぎになっている日本はまさに今「悲観」の状況で、これから「懐疑」に向かう途中なのかもしれない。いずれにしろピンチはチャンス。少なくとも眠っていた変革意識が目覚めたのは前向きな変化だ。「Z世代」の台頭も歴史の必然なのだろう。ここまで追い詰められてやっと開き直れるか。日本人として期待も込めて見守っていこう。


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