続・「行って欲しくない方に動く」相場の原理@2024 ー 株もタワマンも買いそびれ「円安」で物価は上がる一方...
「行って欲しくない方に動く」相場の原理@2024 ー 一体誰が困るのか?|損切丸 (note.com) の続編
さあ、いよいよFRBの「年内利下げ」の雲行きが怪しくなってきた。2月までは16カ月連続で50を下回っていたがISM製造業指数が "水面下" に浮上。生産指数が54.6と2022年6月以来の高水準で前月比+6.2ポイントは2020年6月以来の大幅な伸び。2月に縮小圏となっていた新規受注も50を上回った
燻る「インフレ」の ”種火” 。|損切丸 (note.com) の兆しはチョコチョコ出ていたが、この回復基調が本物だとするとFRBの「利下げ」を正当化する理由がなくなる。仮に政治的な理由 ≓大統領選対策 ≓ 株価上昇のために恣意的に政策変更を行えばマーケットからとんでもないしっぺ返しを喰う。これは ”もしトラ” とて同じ(いや、もっと危ない)
6月「利下げ」どころか9月もどうかという水準まで米国債金利は上昇
さてすっかり目論見が外れたのがFRBの「利下げ」を心待ちにしていた財務省と日銀。ドル円が@152円近辺まで突っかけたのはショック。こういう「ドル買い」だと「投機」とは決め付けられず、「ドル売り介入」による米国債売り(金利は上昇)を嫌う米国側は「介入」にGOサインを出さない
残るは日銀の「利上げ」になるが、あれだけ「金融緩和環境は維持される」と言い続けた後だけに「円安」に追い込まれての「追加利上げ」はいかにもバツが悪い。もっともそんな悠長な事を言っている場合ではない
かつて「マーフィーの法則」というのが流行ったが、相場はいつも「行って欲しくない方に動く」。東京オリンピック後の ”暴落” を期待してマンション購入を待ったがその後も価格はうなぎ登り、日経平均もまさか年初から+6,000円以上も上昇して4万円を突破するとは思わなかっただろう。「バブル!」と歯ぎしりしても結果的に買い場を逃してしまった
マーケットの世界では20~30年周期で大きな経済循環が起こると考えられているが、それは丁度「世代交代」にあたるから。「失われた30年」≓「デフレ」の後には逆の流れが来る
世界的に見ればいわゆる「ベビーブーマー」引退による労働力不足が噴出、中国から安い製品が大量に供給された「ディスインフレ」から「インフレ」への大転換が起きている。日本とて例外ではない。これに「米中対立」≓ ブロック経済と「コロナ危機」≓ パンデミックと「歴史の必然」が重なり「供給力不足」に拍車。 ”コストプッシュ” ? -「インフレ」に「減税」は御法度|損切丸 (note.com) なんてそんな単純な現象ではない
筆者が まだまだもの凄い「金融緩和」-まるで昭和の ”牛歩戦術” 的「利上げ」|損切丸 (note.com) の日銀と共に心配しているのは「利下げ」に前のめりのECB。*タカ派で名を馳せたかつてのブンデスバンク(ドイツ中央銀行)ならこんな事にはならないが、今やフランス、スペイン、イタリア等、かつての「高金利ラテン国家」のメンバーがずらり。当然「インフレ」に対しての対応は緩い。FRBの動向を無視して「利下げ」に突っ走れば、かえって「インフレ」悪化=金利急騰を招く怖れもある
こうなるとイースター休暇明けの欧州国債市場が要注意。こんな状況でもECBメンバーが6月「利下げ」発言を繰り返すようなら、金利市場は凄まじい「スティープニング」(傾斜化)=長期金利が短期金利を上回る現象で応えるだろう。「インフレ」への警鐘である
一方 "横並びの国" 日本では、財務省・日銀・銀行・証券の "鉄の結束" でJGBの「売り」を抑制するだろう。だがこれこそ「無理は通っても無理」。毎月毎月供給される膨大な量の国債入札をこなすのは容易ではなく、日銀も邦銀もJGBの "器" は既に一杯。そもそも円金利を低く抑え込めば「円安」が止まらなくなる。それでは同じ事の繰り返し
筆者は出来るだけ早く年内に+1%「利上げ」をお勧めするが、そこは 政策金利は中央銀行が決める - 市場参加者や銀行の "思い込み" は危険|損切丸 (note.com) 「利上げ」を躊躇するようなら生活民としては「株」なり「外貨」なり「不動産」なりを買って「インフレ」ヘッジするだけ
最終的に+3%以上の「利上げ」をする事態に追い込まれるようなら、「日本売り」が始まる前にどこかの時点で「インフレ」資産は売却。「預金」やJGBの「金利資産」に乗り換えなければならない。だがそのタイミングの見極めは極めて難しい。あぁ「利上げ」は疲れるなぁ~(苦笑)