TAVI施行中の経口抗凝固療法の継続と中断

研究目的:
経カテーテル大動脈弁植込み術(TAVI)を受ける患者における、周術期の経口抗凝固薬の継続と中断の効果を比較。

方法:
• 国際的なオープンラベル無作為化非劣性試験
• 対象: 経口抗凝固薬を服用中でTAVIを予定している患者
• 2群に無作為に割り当て:
  - 継続群: 周術期に経口抗凝固薬を継続
  - 中断群: 周術期に経口抗凝固薬を中断
• 主要評価項目: TAVI後30日以内の複合エンドポイント
  (心血管死、脳卒中、心筋梗塞、大血管合併症、大出血)

主な結果:
• 主要評価項目の発生率:
  - 継続群: 16.5% (71/431例)
  - 中断群: 14.8% (63/427例)
• リスク差: 1.7パーセントポイント (95%信頼区間: -3.1〜6.6)
• 非劣性は示されず (P = 0.18)

副次的結果:
• 血栓塞栓イベント:
  - 継続群: 8.8% (38例)
  - 中断群: 8.2% (35例)
• 出血:
  - 継続群: 31.1% (134例)
  - 中断群: 21.3% (91例)

背景:
• TAVIを受ける患者の約3分の1は、併存疾患のため経口抗凝固薬の適応がある。
• 抗凝固薬の中断は出血リスクを減少させる可能性。
• 抗凝固薬の継続は血栓塞栓症リスクを減少させる可能性。

研究の意義:
TAVI患者における周術期の抗凝固療法管理の最適な戦略を明らかにすることを目指した。

結果の解釈:
• 主要評価項目において、抗凝固薬継続の非劣性は示されず。
• 血栓塞栓イベントの発生率は両群で類似。
• 出血の発生率は継続群で有意に高い。
  (リスク差: 9.8パーセントポイント; 95%信頼区間: 3.9〜15.6)

臨床的意義:
• TAVI患者における周術期の抗凝固薬継続は、中断と比較して有益性が示されず。
• 出血リスクの増加が認められたことから、中断を検討する根拠となる可能性。

結論:
TAVI患者において、周術期の経口抗凝固薬継続は中断と比較して非劣性を示さず。
出血リスクの増加が認められたことから、個々の患者のリスク評価に基づいた慎重な判断が必要。

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