血液悪性腫瘍患者における制限的vs自由的輸血戦略:システマティックレビュー
背景:
・血液悪性腫瘍患者の25-50%が貧血を経験
・制限的戦略:低いHb値を許容
・自由的戦略:高いHb値を維持
・最適な戦略は不明
目的:
集中的化学療法/放射線治療±造血幹細胞移植(HSCT)を受ける血液悪性腫瘍患者における制限的vs自由的輸血戦略の有効性と安全性を評価
方法:
・RCTと前向きNRSを対象
・複数のデータベースを2023年3月21日まで検索
・主要アウトカム:31-100日全死因死亡率、QOL、出血、重篤な感染症、入院期間、再入院率
・GRADE法でエビデンスの確実性を評価
結果:
・9試験が適格(RCT 8件、NRS 1件)
・完了済み試験:644名(RCT 560名、NRS 84名)
・進行中のRCT:294名
・制限的戦略:Hb 70-80 g/L、自由的戦略:Hb 80-120 g/L
主な結果(RCTのみ):
・ 31-100日死亡率:差なし(RR 1.00、95%CI 0.27-3.70、非常に低い確実性)
・QOL:差なし(非常に低い確実性)
・出血:差なし(RR 0.91、95%CI 0.78-1.06、低い確実性)
・重篤な感染症:差なし(RR 1.20、95%CI 0.93-1.55、低い確実性)
・入院期間:差なし(中程度の確実性)
・再入院率:差なし(RR 0.89、95%CI 0.52-1.50、低い確実性)
結論:
・確定的結論は困難
・エビデンスは主に成人急性白血病患者とHSCT患者に基づく
・より大規模で厳密な研究が必要
・特に小児での研究が不足
研究の重要性:
・血液悪性腫瘍患者の貧血管理戦略の評価
・輸血閾値の最適化に向けた evidence base の構築
・患者アウトカムへの影響を包括的に評価
結果の意義:
・制限的vs自由的戦略間で主要アウトカムに明確な差なし
・エビデンスの確実性は全体的に低い〜中程度
・小児データの不足が顕著
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