死亡率とCOVID-19関連死に対するセマグルチドの効果: SELECT試験の解析

研究目的:
肥満患者におけるセマグルチド2.4mgの全死因死亡、心血管死、非心血管死に対する効果を評価。

方法:
• SELECT試験: 多施設無作為化二重盲検プラセボ対照試験
• 対象: 45歳以上、BMI≥27kg/m2、心血管疾患既往あり、糖尿病なし
• 介入: セマグルチド2.4mg週1回皮下注射 vs プラセボ
• 参加者数: 17,604名
• 平均試験期間: 3.3年

主な結果:
• 全死亡833例中:
  - 心血管死: 485例 (58%)
  - 非心血管死: 348例 (42%)
• セマグルチド群 vs プラセボ群のハザード比:
  - 全死因死亡: 0.81 (95%信頼区間: 0.71-0.93)
  - 心血管死: 0.85 (95%信頼区間: 0.71-1.01)
  - 非心血管死: 0.77 (95%信頼区間: 0.62-0.95)
• 心血管死の主な原因:
  - 突然死: セマグルチド98 vs プラセボ109 (HR: 0.89; 95%CI: 0.68-1.17)
  - 原因不明: セマグルチド77 vs プラセボ90 (HR: 0.85; 95%CI: 0.63-1.15)
• 非心血管死の主な原因:
  - 感染症: セマグルチド62 vs プラセボ87 (HR: 0.71; 95%CI: 0.51-0.98)
• COVID-19関連:
  - 発症率に差なし
  - 重篤な有害事象: セマグルチド232 vs プラセボ277 (P = 0.04)
  - COVID-19死亡: セマグルチド43 vs プラセボ65 (HR: 0.66; 95%CI: 0.44-0.96)

背景:
• 肥満患者は多様な原因による死亡リスクが高い。
• 特に心血管死のリスクが高いが、有効な治療法は限られている。

結果の解釈:
• セマグルチドは全死因死亡リスクを19%低減。
• 心血管死と非心血管死の両方に対して効果を示唆。
• 非心血管死の低減は主に感染症死亡の減少によるもの。
• COVID-19パンデミック下での感染症死亡減少が顕著。

結論:
セマグルチド2.4mgは、心血管疾患と肥満を有する患者の広範な集団において、全死因死亡、心血管死、非心血管死のリスクを低減する可能性が示された。
特に感染症死亡の減少が顕著であり、包括的な死亡リスク管理に有用な可能性がある。

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