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読書感想文

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読書感想文をまとめています。
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記事一覧

【ネタバレ有】西村賢太『雨滴は続く』感想(その2/完結)

 ふたりの女性に失恋した貫多は、新川の古書店を訪れる。そして「葛山久子戦、川本那緒子戦の…

岡村直
10か月前
15

【ネタバレ有】西村賢太『雨滴は続く』感想(その1)

 先日、西村賢太の遺作『雨滴は続く』が文庫化すると聞いて、発売後すぐに書店へ行った。  …

岡村直
10か月前
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西村賢太に憧れて

 2022年2月5日、土曜日の午後に、西村賢太の訃報をネットで見た。
  それから翌日日曜日…

岡村直
2年前
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偉大なる『不良少年』への憧憬。(坂口安吾『不良少年とキリスト』感想)

 坂口安吾は「太宰治氏の小説を待ちかまえていて読んだ。彼は太宰氏の小説を、何という文章の…

岡村直
3年前
6

デイトンに乗った王子様。(志賀直哉『自転車』感想)

 『ちくま日本文学021 志賀直哉』に収録されている『自転車』を読んだ。  志賀直哉といえば…

岡村直
3年前
13

「幽明の境」を見た人。(川端康成『掌の小説』感想)

 『掌の小説』を読むとき、私は森敦の言葉を思い出す。森敦が、文学の弟子であり、のちに養女…

岡村直
3年前
20

宮沢賢治の物語が嫌い。(宮沢賢治『詩ノート』感想)

 子供のころ、初めて手に取った宮沢賢治の本(たしか『セロ弾きのゴーシュ』)の表紙には「教科書にのっているお話」と書かれた金色のシールが貼られていた。  その後、読み聞かせや国語の教科書で賢治の作品にふれる機会はたしかに多かった。中学校の英語の教科書には『注文の多い料理店』が載っていた。  しかし宮沢賢治の物語は、ときどき妙に過激で攻撃的だ。いま思うことだが、賢治自身のなかに、じつはそういう気質があったのかもしれない。  いくつか思い出すままにあげれば『オツベルと象』『猫の

坂口安吾「堕落論」「続堕落論」

  だらく[堕落](名・自サ)①〔仏〕道心を失うこと。②(身をもちくずして)品・おこないが悪く…

岡村直
3年前
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