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平均身長と椅子の話

クイズです!
日本人の平均身長は、21世紀に入ってから、

 A 高くなっている
 B 変わっていない
 C 低くなっている

どれでしょう?

今日の部室ノートは、「人の体格」と「椅子のサイズ・調整機能」にまつわるお話です。

日本人の平均身長と、世界の人々の体格差

冒頭のクイズの正解は・・・「C」「低くなっている」でした。

日本人の平均身長は、戦後から1980年頃にかけて栄養改善に伴って急激に伸びましたが、1980年頃からは伸び方が緩やかになり、1990年代後半にピークを迎えた後、実はここ20年間では微減の傾向で、ピーク時よりも0.2~0.3cmほど小さくなっているのはご存知でしょうか?

現代の日本人の平均身長は、年代ごとに多少の差はありますが、成人男性では約171~173㎝成人女性では約157~159㎝です。男性と女性の平均身長には14~16㎝くらいの差があります。座高や股下高さについても、男女で身長差の約半分(約6~7cm)くらいの差があります。

続いて、世界の人々についてみてみましょう。世界中の国や地域を対象にした調査研究によると、"人類の平均身長" は、男性が172.9㎝(調査対象152の国と地域の平均)、女性は160.4cm(調査対象149の国と地域の平均)。

ちなみに、最も平均身長が高い国は、男性がオランダで183.8cm、女性もオランダで170.5cmでした。最も平均身長が低い国は、男性が東ティモールで160.0cm、女性がグアテマラで148.7cmです。グアテマラの女性の平均身長と、オランダの男性の平均身長の差は「35.1cm」あります。

どんな体格の人にもぴったり合う椅子?

メーカーが椅子をつくるとき、椅子自体のサイズや調整できる箇所の幅は、当然ながらさまざまな体格の方が座ることを想定して設定します。バリエーションや調整機能をできるだけ広くご用意したいのはやまやまなんですが・・・とはいえ、工業製品として実際にご提供できるものには限界があります。

最初にご紹介したように、日本人の平均値での差だけで考えても身長で14㎝、座高で6~7cmの差がありますので、「平均よりも大柄な方」と「平均よりも小柄な方」での差を考えると、
・身長差では30㎝以上
・座高差では15㎝以上
の差となることもあります。世界の人々を対象として考えたら、その差はさらにもっと大きくなります。

これだけ大きな差を、すべてカバーできる「どんな身長・体格の方にもぴったり合わせられる椅子」をつくるのは残念ながら難しいことです。

日本人の体格を意識してつくられた椅子と、オランダ人の体格を意識してつくられた椅子とではそもそものサイズ感が異なってきますし、調整機能の幅も変わってきます。

だからこそ、ご自身の体格に合った椅子を選ぶときには、価格や見た目だけでなく、座り心地はもちろんのこと、ちょっと調べるのが退屈そう&難しそうな「椅子自体のサイズ」と「調整機能」もよ~~~くチェックしていただきたいのです。

では、「自分の体格に合った椅子」を探すときには、どんな視点で、どんなポイントをチェックすればいいのでしょうか?

椅子を選ぶときには3つの視点でチェック!

椅子を選ぶときに特によくチェックしてほしいポイントは、
【1】座り心地の視点
【2】使い心地の視点
【3】体格に合わせるための調整機能 ※ココ大事!

の3つの視点に分けてみることが大事です。

3つの視点を順にみていく前に、椅子の正しい(好ましい)座り方を確認しておきましょう。

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【1】座り心地の視点
同じくらいの体格の方が同じ椅子に座ったときでも、人によって「座り心地が良い」と感じる場合もあれば「自分には合わない」と感じる場合もあります。「座り心地」は最も個人差(好み)が分かれるところです。

「座り心地」に影響する代表的なポイントが
「背もたれのカーブ形状」
です。

上の図にも描かれているように、人間の背骨は(横から見ると)緩やかなS字になっていることから、オカムラの椅子の背もたれはどのシリーズでも緩やかなS字カーブを描いています。

ただ、椅子によってカーブ形状はそれぞれ少しずつ異なりますので、ご自身に最もフィットするカーブ形状はどの椅子なのか、これは座ってみていただかないと分からないのです。

【2】使い心地の視点
使い心地に関係するポイントとは、「座り方」や「姿勢」によって変わってくるところで、椅子の形状・デザインそのものが影響することもありますが、多くの場合は調整機能によるものとなります。

使い心地を左右する代表例は、
「背もたれのリクライニング機能」
「アーム(肘)の上下・角度・前後・左右の調整機能」

の2つです。

「お絵描きするので前傾姿勢になることが多い」という方であれば、前傾姿勢に対応したリクライニング機能をもつ椅子が良いですし、「微細なマウス操作を長時間続ける」という方であれば、腕を置くアームの位置や角度を調整機能が豊富な椅子が適しています。

【3】体格に合わせるための調整機能
椅子をご自身の「体格に合った状態」に調整できるかどうかは、「座り心地」や「使い心地」とは別の視点です。

椅子を体格に合わせるための調整機能」の代表例は、
「座面の高さ調整」
「座面の奥行き調整」

の2つです。

「座面の高さ調整」はほぼ全てのオフィスチェアにある機能ですが、機種によって調整が可能な幅(最低~最高の高さ)が異なります。一般的には座面の高さは410~520mmくらいまでの範囲で調整できることが多いですが、コンパクトなタイプの椅子の場合は最低座面高を380mm程度まで下げられるものもあります。

そして、ここからが今日いちばん大事なポイントです。

「身体のサイズに椅子を合わせる」ための調整機能としては、実は「座面の高さ調整」と同じかそれ以上に重要なポイントでありながら、意外と見落とされがちなのが「座面の奥行き調整」の機能です。

大事なことなのでもう一度言います。
「座面の奥行き調整」機能はとても重要なポイントです!!

座る人の体格に対して、座面の奥行きが合っていないと、
 奥行きが大きすぎる ⇒ 深く座っても背もたれに届かない
 奥行きが小さすぎる ⇒ 常に浅くかけている状態になる

となってしまいます。(もちろん、調整をしなくても座面の奥行きが合う椅子であればOKです)

上の「イスの好ましい座り方とは?」の図の「座り方」第1番に書かれていることが、「座面の奥まで腰掛ける」ですが、座面の奥行きが合っていないと、そもそもこの「座面の奥まで腰掛ける」ができないことがあります。

好ましい姿勢で座ることができなければ、身体に負担のかかる姿勢になり、座り心地が悪くなるばかりか、身体のあちこちが痛くなる原因にもなりかねません。

「座面の高さ調整」はほぼ全てのオフィスチェアにある機能ですが、「座面の奥行き調整」の機能は搭載されていない機種も意外と多くあるので、座面の奥行きが体格に合うかどうか(または調整して合わせられるかどうか)は必ずチェックしていただきたいポイントです。

【まとめ】
・「座り心地」は個人差が大きい!
・「使い心地」は用途・姿勢によって必要な調整機能がちがう!
・「体格の違い」は座面の高さだけでなく座面の奥行きも重要!
この3つをふまえて、「自分にぴったりな椅子」を探しましょう。

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今日は平均身長と椅子の話、体格に合った椅子を選ぶときのポイントの話でした。

最後までお読みいただきありがとうございます!