2022年公開映画ベスト10 〜オカデミー賞2022〜
スポーツ観戦にはあるけど映画鑑賞に無いものはなんでしょうか?
分かりました。正解は『分析』。
何故ならスポーツは分析するのも楽しいけど、映画に分析は必要ないから、正解は『分析』。
不正解?そっか〜、映画の分析とかしてくるウザいファンいるか〜!やめてくれ〜!
ただ楽しんで見れば良いのに、偉そうに年間ベスト10を発表したりしやがって!興味ないんだよお前のランキング!皆目見当違い!
と言うわけで今年もやります。オカデミー賞2022!
オカデミー賞とは、2022年に公開された映画の中から優れた作品を選出し、ランキング形式で表彰する勝手な発表会です。
昨年の記事はこちらにございますので、ぜひご覧ください。
それでは、ユーチューバーが警察に捕まり始めた2022年を振り返ってみましょう!
第10位 この子は邪悪
このタイトル出しが凄い!年間大賞!
ポケモンの番組に出てるイメージしか無かった南沙良さんが主演。そこになにわ男子の大西流星くんをJ事務所のパワーでキャスティングし、インターフェースのB級っぷりも相まって残念臭プンプンの本作は意外にもめちゃくちゃ楽しかった。
ジョーダン・ピールファンを虜にするクレイジーな脚本に興奮しっぱなし。
玉木宏の狂人っぷりが良いし、目ギョロギョロとか恐怖の表現も申し分なし。これ、なにわ男子目当てに見た女子泣くって。
そして、何より素晴らしいのはタイトルの出し方。
タイトルの意味が分からず話が進み、ベストタイミング&ベストシチュエーションで「この子は邪悪」をドーン!かっけー!
いろいろと残念な要素も多いけど、これだけでベスト10入りを果たす価値のある大仕掛けだった。
第9位 犯罪都市 THE ROUNDUP
パワー!韓国のきんに君、怒りの鉄拳!
「新・感染」の続編も不発気味に終わり、成功する兆しの無かった韓国映画の続編事情。
そこに風穴を開けたのが我らがマ・ドンソクだ。
コメディ、アクション、ノワールと韓国映画の良いとこ取りだった「犯罪都市」が、まさにラウンドアップされた最高の続編を作ってくれた。決して除草剤の名前では無い。
とんでもない極悪人を登場させ、それをマ・ドンソクが殴り倒すという本筋は変わらず。こんなシンプルな構成なのに、マ・ドンソクのカリスマ性と演出の上手さでずっと見ていられる。ジャッキー・チェン映画のような爽快感。
ギャグも笑える。班長が大好き。
第8位 NOPE
変態!ジョーダン・ピールの考えたUFO発表会!
私のアイドル、ジョーダン・ピールは新作でも狂ったアイディアを披露してくれた。
馬牧場を経営する兄妹が偶然UFOを目撃し、それを映像におさめて一儲けしようと企む話なのだが、そのUFOの正体が最高なので見てない人は是非見てほしい。
この仕掛けに見事なリアクション芸で応えたのがダニエル・カルーヤ。「ゲットアウト」では大きめのリアクションで黒人乗っ取り白人と対峙したが、今回はテンション低めの演技でこれはこれで良い。
特に車のドアをちょっと開けて空を見る例のシーンは面白すぎて声出た。ノープですよね、あれは。
第7位 さがす
クチャラー親父!これが佐藤二朗の本気!
個人の好みなのですが、福田雄一作品は大の苦手でして、ムロ・ツヨシさんとか佐藤二朗さんのことは「クソつまんねー奴」と思っていました。
そんな印象を覆したのがこの「さがす」。
佐藤二朗さんってこんなに良い俳優だったのか!一気にファンになった。
掴みどころのない汚い親父を演じ、ただ作品に恵まれてなかったのだと知った。2度と漫画原作のコメディ映画やクイズ番組の司会者をやらないでほしい。
この作品はサスペンス映画でありながら、安楽死について深く描いている。これを見ているうちに「死にたい人は死ねば良いのでは?」と思考を揺さぶられる。そして最後にはそれを完全否定する監督からの力強いメッセージを受け取る。
映画としての面白さとメッセージ性の両立に成功している素晴らしい映画だ。
特に好きなシーンはバウンドするピンポン球を足でグシャっと潰すシーン。自殺ほう助の身勝手さを現したもの凄いメタファーだ。
第6位 ベルファスト
ケネス・ブラナーが描く、故郷を去るということ!
ロックハート先生ことケネス・ブラナーは、近年名探偵ポワロシリーズのリブートで監督としての才能を発揮中。
そんな彼のアイデンティティを描いた渾身の一作がこの「ベルファスト」だ。
この映画を見るにあたって、北アイルランド闘争について学んだ。本作を見るにあたって多少は予習をしておいた方が良い。
ケネス・ブラナー自身の幼少期の体験を元にしており、モノクロで描かれた映像はとても美しかった。「ROMA」よりもモノクロである説得力があった。
宗教の対立で故郷を追われる人たちのリアルな姿を見て、現代においてウクライナや福島のことを考える特別な機会となった。「危険なら避難すれば良いじゃん」なんて安易に考えてしまいがちだが、故郷を去るということの本当の意味を知った。
洗剤のシーンの不意のつき方、007おばあちゃんからの強烈なラストメッセージと、ケネス・ブラナーの監督としての才能に惚れてしまう渾身の一作だ。
第5位 LOVE LIFE
人生って辛い!でも愛!矢野顕子さーん!
矢野顕子さんの楽曲「LOVE LIFE」を映画にするとかいう意味不明な企画。だが、これがめちゃくちゃ凄かった。
なんの説明もなく淡々と日常を撮影し、人の会話や表情だけで関係性を徐々に知り、どんどん心を揺さぶられる。
頭抱えるような事案が頻発し、人生の険しさを思い知った限界地点で「LOVE LOVE」のタイトルドーン!ですわ。矢野顕子さんスゲー!
タイトル出しランキング2位。
撮影が見事。パクさんの背景で電車が走り抜けるシーンかっこよすぎて鳥肌が立った。
これ見たあと放心状態になっちゃってもうダメだった。放心ランキング1位。
木村文乃さんは演技力のバケモノ。
心に余裕のある時に見てください。
第4位 神は見返りを求める
警察に捕まり始めている!ユーチューバーの無限地獄!
「空白」で終わりなき戦いを描いた吉田恵輔監督が、今度はユーチューバー界の地獄を見せてくれた。
今作は主演の2人が本当に良かった。
岸井ゆきのさんは底辺ユーチューバーの芋っぽさ→垢抜けた時の可愛さ→憎たらしさと、その変貌ぶりは気持ち良いくらいだったし、ムロツヨシさんも見返りを求めない男からの欲望剥き出しになる様子が最高すぎた。
ムロツヨシさんは二度と福田…(以下略)
YouTubeにおける興奮と嫌悪感の全てを詰め込み、どうしようもない憎しみの螺旋の中で本当に大切なものを見つけ出す。人間臭さの限界まで連れていってくれるのがいかにも吉田恵輔監督らしい。
後世に残らないかもしれない動画投稿の意義を見出し、映画の価値まで示してみせた。
笑って泣ける最高の映画だ。
第3位 偶然と想像
濱口竜介が描く!至高のオムニバス!
これ、実は2021年11月公開なのだが、劇場で見れたのが年明けなのでランクインさせてしまった。
文句あんのか?!俺がルールだ!!
「ドライブ・マイ・カー」でその地位を不動のものとした濱口竜介監督の短編3作から成るオムニバス作品。
タイトルの通り“偶然”と“想像”をテーマとした3つの作品から監督らしい人間のドロドロした深みと、その先の救いまで見ることができる。
「ドライブ・マイ・カー」ではタクシー内で岡田将生の長尺喋りに面を食らった人も多いと思うが、簡単に言うとアレを3つ見せられる。
それがもう、とてつもなく良い。
個人的には2本目の大学教授を誘惑する奴が好き。人の優しさに触れて泣いてしまう。
これのために普段行かないようなガチミニシアターに行けたのも良い経験だった。その後安倍晋三暗殺映画の上映で炎上してたけど。
第2位 RRR
ナートゥ、ナートゥナートゥナートゥナートゥナートゥー♪
インパクトでは今年イチ。この世で最もパワフルな映画。
インド映画に感じていた馬鹿馬鹿しさが一周回ってオシャレになってしまった。やり通すことの重要性を知った。
度を超えたふざけたアクション、演出、壮大な音楽にダンス。映画の全てが詰まっている。
特に素晴らしかったのはやっぱりナートゥナートゥ。「グレイテストショーマン」を死んだ目で見ることしかできなかった私がダンスで感動することになるなんて…。劇場で2回見て、今もYouTubeでダンスを見まくってる。GO!
IMAXで見た初回はその素晴らしさに思わず泣いてしまった。
インドが映画の頂点に立った瞬間。本当に凄い映画。本家アカデミー賞での躍進も期待。
第1位 さかなのこ
さかなクンに背中を押され、人生を全肯定される!嬉し涙が止まらない!
「RRR」より凄い映画など存在しないのだけど、自分に響くという意味ではこれが今年のトップだった。
さかなクンの自伝を面白おかしく描いた映画なのだが、その姿を通して好きなものを好きだと思い、表現することを全肯定される。
好きなことを周りからあまり理解されないと感じている人ほど刺さってしまう。(自分のことなのだけど。)
まず、さかなクン役がのんさんであることに疑問を抱くと思うが、冒頭に潔い方法で説明をされるのでスッと受け入れることができる。
むしろのんさんで良かった。のんさんでベスト。
映画の中で起こる出来事のひとつひとつが面白く、劇場で笑い声が絶えなかった。
お父ちゃんのイカぶっ叩きはヤバすぎる。
テンプレな話だとイジメられてしまうような変わり者のさかなクンだが、“魚好き”でヤンキーらを捻じ伏せて全員友達になってしまう姿を自分に重ねたりして、嬉しくて懐かしくてぼろぼろに泣けた。
魚の魅力をしっかりと表現できている点も説得力がある。
ツラい現実を訴える映画も価値はあるが、たまにはこんな背中を押されるだけのポジティブな映画も良いな、と。人格すら良い方向に変えられたような自分にとって大切な映画だった。
きっと誰でも心に響くと思うし、ただ普通にめちゃくちゃ面白いので超絶おすすめです。
まとめ
今年も素晴らしい映画にたくさん出会えました。
さかなクンのように皆それぞれが好きなことをすれば良いと思いますが、ここで紹介した映画たちはどれもおすすめなので流石にウザいYouTubeを見てる暇があるなら是非見てください。
よろしくお願いします。
最後に、惜しくもランクインを逃しましたが面白かった映画たちを列挙しておきます。
それでは、宮崎駿の新作が公開される2023年でお会いしましょう!さようなら!
マイブロークンマリコ、ベイビーブローカー、PLAN75、ライダーズオブジャスティス、ハウス・オブ・グッチ、ドクターストレンジMOM、ソー4、トップガン、ヒットマンズボディーガード2、ファンタビ3、ガンパウダーミルクシェイク、女神の継承、残り火、ナイル殺人事件、ワンピースフィルムRED、メニュー、ザリガニの鳴くところ、西部戦線異常なし、犬は食わねどチャーリーは笑う、アバター2、そばかす、ボイリングポイント、呪詛、グッドナース、ケイコ目を澄まして、死刑に至る病、人質、ブレットトレイン、カモンカモン、ナイトメアアリー、シンウルトラマン、ヘルドッグス、ハッチング、ザ・バットマン、フレンチディスパッチ、ザ・バブル、スパイダーマン・ノーウェイホーム、ニトラム