私の新卒1年目、現在のわたし
春が近づくと、新生活、新社会人など「新〇〇」というワードが街中に溢れる。当事者でないけれど少し気分が浮足立つし、何だかフレッシュな気持ちを感じる。
春は、出会いと別れ、未来への期待や不安など、様々な感情が交錯するもの。
私の新卒1年目はもう20年以上も前のこと。
あの頃の私の時代と現在では大きく様変わりしている。一方で20年前から変わらないことがあると感じている。
新卒1年目のあの頃の私と現在の私のことについて、この春新卒1年目を迎える人に届けたい。
私の就活
新卒1年目の話に入る前に少しだけ、私の就活について話しておきたい。
幼少期は何となく、TVドラマでよく観るような大手企業に勤めるキャリアウーマンに憧れていたけれど、現実は全く違っていた。
私の就活は、順調とは程遠かった。記憶は定かではないけれど、就職先が決まったのは2月ごろだったんじゃないかな。
行きたいという業界も分からず、自分が何をしたいという明確な意志もなく、ただ「やりたくないこと」「性格的に無理なこと」を挙げていったときに、最終的に選択した場所がその就職先だった。
「やりたくないこと」
「性格的に無理なこと」
そんな選択の仕方って、超消極的な選択だと、当時は考えていた。
とにかくどこかに就職しないと、その先の道がない不安の方が勝っていた気がしている。
そうして内定をもらった企業で働きだした。
こんな選択の仕方だから、きっとすぐに辞めたんじゃないか?と思うかもしれない。けれど新卒入社した企業で、私は14年半ほど働いた。
私の新卒1年目|入社後のリアリティショック
私が入社した会社は、積極的に新卒採用をしていた企業ではなかった。中途求人広告に「新卒もOK」という明記があったから応募。実際、新卒という同期と言える人は数名くらいだった。
TVドラマのような大手企業に勤めるキャリアウーマンとは、明らかに違う。雑居ビルで狭い空間、机もとりあえずありものを揃えたという感じで、私の椅子は最初パイプ椅子だった。
もうホントに幼い頃のイメージと違い過ぎて、イメージ通りの就職ができなかった自分自身が情けないと感じたこともあった。
今書きながら思い出したことがある。
その会社はいつも朝礼で「全員一緒に大声で信念唱和する」ことから始まっていた。何かの宗教か洗脳か、初日は度肝を抜かれた。
私は声が全く通らないので、声が小さいとか、何度もやり直しされたことも苦痛だった。それは14年半働いたけれど、1回も慣れたことはなかったな。
新卒採用枠ではないから、しっかりとした研修制度もない。
当時の上司からすると、研修をしていたのかもしれないが、私がイメージしていた新人研修とは全くかけ離れていた。
どちらかといえば、「背中を見て覚えろ」という体育会系の教え方に近い。
物覚えが悪い私は、何を学ぶにも苦労した。周りの人は覚えが早いから焦るし、中途採用の同期は効率的よくこなしていく。
できない私はさらに情けなさを感じていた。
一方で、私は雑草のように負けん気が強い。そして楽観的でもある。
情けないと思うけれど
「人の3倍努力すれば、みんなのペースに追いつくだろう」
そんな想いで、とにかく必死だった。
同期入社で、誰よりも初契約を上げることは一番遅かったけれど、ふたを開けてみれば初月の結果は、同期入社で誰よりも数字が上がっていた。
すると、今まで座っていたパイプ椅子から普通のオフィスにあるような椅子に、椅子が昇格していた。
数字が上がれば、認められていく
数字が上がれば、自分がイメージしていることに近づけるのでは?
椅子が昇格するとともに、そんなことを思い始めた。
けれど実際はビギナーズラックのような出来事で、その後は全く数字が上がらない月日を過ごし、毎日のように怒られ続ける日々を過ごした。
辞めたくても辞めれなかった理由
当たり前だけど、毎日のように怒られるから辞めようと思ったことは何度もあった。辞めたいという想いと楽観的で負けん気が強い性格が交錯して何とか会社には行っていた。
でもやっぱり時折、辞めたいという比重が大きくなる波がやってくる。
「今日辞めると言おう」
そう決意した日その時に限って、まるで察知したかのようにピンポイントで
紹介が入ったり
以前に飛び込みをした先から申込をもらったり
リピートで連絡をくれるクライアントが出てきた。
そのような連絡が入ると、楽観的で負けん気な性格が回復し、中途半端に辞めれないという意識が働いた。
私のことを思い出し、必要としているから連絡が入るということ。
その「必要とされている実感」が、私の中で働く原動力となった。
辞めたいという波と、必要とされる原動力の波を繰り返していくことで、本当に長くクライアントの関わりを持つようになった。その安定感を得られたことも私自身、とても大きかった。
相変わらず、嫌いな朝礼の信念唱和は続いていたけれど、クライアントが増え長く関わることで、私自身成長できたと思っている。
そのような声をもらうようになった。もちろん、褒め言葉として受け止めている。
これくらいになるまで、どれほどの月日を経ただろうか?
入社して5年~7年は経っていたと思う。
「人の3倍努力すれば、みんなのペースに追いつくだろう」と思っていた私なので、他の人なら2~3年で見えていた景色なのかもしれない。
でも、それでいい
その長い経験で得られた価値の方が大きい。
その時期になると、幼少期のキャリアウーマンの理想像なんてどうでもいい状態になっていた。
今の私で満足
クライアントと向き合える環境であれば、それでいい
現在のわたし
現在、私はキャリアコンサルティング事業をおこなっている。社会人のキャリア相談室として、働く気持ちの健康度が高いビジネスパーソンを増やしていく活動をしている。
キャリアコンサルタントとして活動している中で、私の就活・新卒時代を思い返すことが度々ある。
新卒の頃は、
「やりたくないこと」
「性格的に無理なこと」
そんな選択の仕方って、超消極的な選択だと、当時は考えていた。
でも今は違う。そのやりたくない・無理なことをリスト化していくことは、自分にとって無理のない選択をしていく方法になっていた。
決して
「これがやりたい!」
という前向きなエネルギーある選択とは異なるけれど、いいじゃないか。
これがやりたいという明確なことがないから動かない、動けていないと結局選択肢の幅は狭くならない、拡がりもみせない。
「やりたくないこと」
「性格的に無理なこと」
この反対のことをすれば、私にとって無理なくできる道・選択ができていく。
心理学では、これをリフレーミングという。
当時の私はリフレーミングという言葉は知らなかったが、自然とリフレーミングをおこなっていたのだろう。
キャリアコンサルタントとして活動している現在は、私の就活時代の職業選択は間違っていなかったと自信をもって言える。
20年前の新卒と現在の新卒
20年以上の月日が流れ、就活も様変わりした。けれど、変わっていないことも案外多い。それはこの3つではないだろうか。
1.入社後のリアリティショック
2.日本の中小企業の割合は全体の9割以上
3.新卒離職七五三現象(入社3年以内に大卒3割、高卒5割、中卒7割)
多少のデータの振れ幅はあったとしても、殆ど変化はない。いつの時代も働く心の持ちようの波は、新卒だからこそ大波になることがある。
1.入社後のリアリティショック
入社後のリアリティショックは、企業側の問題と本人の問題の2つがある。
ただし数年前に若者雇用促進法が改正され、入社後のリアリティショックを防ぐために新卒募集時には職場情報の提供をすることが義務付けられている。
研修制度の有無など募集時にわかるので、職場情報は私の頃と比べて得られやすくなっている。加えて、今はオープン社内報など、WEB検索すれば何でも情報が得られる時代だ。企業側が隠してもSNSですぐに知られることになる。
企業の情報はひらけている、と言っていい。
一方で、本人の問題について。
本人の問題とは、イメージ優先で企業選択をしたりすることで起こるリアリティショックなど。これは、昔も今も大差はない。
「イメージと違っていた」
「親や先輩に勧められ入社したが、何だか合わない」
実際、新卒1年に満たないビジネスパーソンが、「選択を失敗した」「後悔している」とキャリアカウンセリングに来られる方も多い。その状況から
「どのように向き合うか」
それが社会人になってから、初めてのキャリアの分岐点だ。
嫌だと思ってすぐに辞める選択をすると、次見つかるか不安になったり、早期離職を繰り返すんじゃないかと足踏みしたりしてしまうかもしれない。早期離職をしたことで、周りからどのように見られるか、他人の目線を気にすることだってある。
でもだからといってメンタルが病むほど、働き続ける必要もない。
リアリティショックに気づき、その後どのように考え・行動するかで今後のキャリアは大きく変わる。
それを自分一人で背負い込む必要はない。
だって新卒1年目。
新しい環境で
新しい人間関係で
新しい生活習慣で
何もかも新しいことづくし。新しいことに「慣れる」ことには時間がかかるもの。
自転車をはじめて乗れるようになった時もそう。
はじめのひとこぎ、ふたこぎが難しく何度も転んだけれど、そのペースを掴むとスピードが加速して気持ちよく走れるようになる。自転車に乗る練習も一人じゃなかったはず。親や兄弟、友達のサポート、応援があってできるようになったのではないだろうか。
仕事も同じ。
リアリティショックを受けたとき、一人で考え込んで判断するのではなく、周りの協力者、サポートを受けることも大切なこと。そのサポートを得られることで、気づけは1年過ぎていた、なんてこともよくある話し。
2.日本の中小企業の割合は全体の9割以上
数年前に若者雇用促進法が改正され、職場状況の提供義務がされてから、中小企業でも一気に研修制度の導入が加速化した。これは厚労省による助成金活用で導入しやすくなったことも後押しされている。
また、働き方改革による働く環境整備は進んでいると言われている。それに今やSNS時代。ブラック企業など言われないようにコンプライアンスも重視されるようになった。
それでもやはり、大手企業のようなマンパワーの余裕さはない。一人ひとりの負荷は高く、福利厚生メニューなど大手企業には到底かなわない。
一方で、マルチなスキル・経験をしたい人にとっては、大きな成長の場となりやすい。多くのことを裁量権持って取りくむこともあり、ある程度責任ある仕事に取り組むこともできるからだ。
中小企業には、大手企業にはない魅力がある。
3.新卒離職七五三現象(3年以内に大卒3割、高卒5割、中卒7割)
これは、入社後のリアリティショックの続きで起きていることが、要因の一つでもある。そして今、私はこの領域に取り組む仕事をしている。
離職をすることは、決して悪いことじゃない
ただ本当に納得して離職し、新たな道へ進めているかはとても疑問に感じている。
もし、そのような状況の離職であれば、私はとても勿体ない話しだと思うし、その状況を改善する取組みをしていきたい。
だから今、職場にキャリア相談室がない中小企業で働くビジネスパーソンのための「社会人のためのキャリア相談室」として、キャリアカウンセリングを提供している。
2021年のデータはコチラ。
相談前は転職というワードが頭にある方は8割を超えることに対して、相談後実際に転職した割合は2割に満たない結果となっている。
私が提供するキャリアカウンセリングは
相談前にあった気持ちの変調が相談中に整うことで、改めて現状に向き合い、前向きな思考に変わっていく。「もう一度頑張ろう、やってみよう」というリテンション機能が働き、実に8割の方が引き続き現在の仕事を続けている結果があらわれている。
もちろん気持ちが整った後に、転職に進まれる方もいる。ただ気持ちが整った後のキャリア選択だからこそ、突発的ではなく本当の意味で納得した離職というキャリア選択ができている、と感じている。
新社会人を迎えるあなたへ
この春、新社会人になるあなたへ。入社おめでとうございます。
もしかしたらその会社は本当に行きたかった会社ではないかもしれない
だから、めでたくもないと思う方もいるかもしれない。
第一志望に入社できたあなたも
第一志望に入社できなかったあなたも
今のその道が、あなたがキャリア選択した道。
もし、その道に迷いが生じたとき
リアリティショックが起きたとき
一人で抱え込まず、突発的な選択をする前に、まずは気持ちを整える時間を持ってみよう。それは
友達と一緒に、愚痴トークする時間かもしれないし
一人カラオケなど、ストレス発散かもしれないし
ランニングなど、リフレッシュする時間かもしれない。
もちろん、キャリアカウンセリングを受けることも一つの方法だ。
先日、私は「働く気持ちの健康度が高いビジネスパーソンを増やす」活動の一環でプレスリリースを出した。このリリースは、社会人1年目のビジネスパーソンにとって「働くお守り」のような存在になればと考えて発信したもの。
お守りとは、気持ちが豊かなときは持っていることすら忘れてしまうけれど、何か不安になった時に持っていると安心な都合の良いものだ。
でもその都合の良さがちょうどよい。
リリース内容はコチラ。ぜひ読んでみて。
https://prtimes.jp/main/action.php?run=html&page=releasedetail&company_id=74491&release_id=5&owner=1
あなたの新社会人生活が健やかに豊かなキャリアを築けるよう、陰ながら応援してます^^