強さを欠いた善人にならぬために
この国には有能な人はたくさんいる。しかし決定的になにかが足りず、「もったいない」そう思わされることがたいへん多い。
坂口孝則さんという調達の専門家のメルマガを長年とっている。きょうはそのなかでもっとも心に響いた言葉をひとつ共有したい。
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私のもとに、たまに、若いひとからメールをいただくことがあります。悩み、葛藤、苦しみ、もがき、呻吟、もう辞めてしまおうかという苛立ち……。そこで、そのなかの一つ。1年前のものです。私は返事をしていないのですが、この場で返信をしようと思います。詳しく書くと組織が特定されてしまいますので、概要を書きます。その相談者の上司は、性格的にすごくいいひとのようですが、部長のいいなりになっているようです。それで、上司が断れなかった仕事がたくさん降ってくる、上司を困らせるわけにもいかない。でも、仕事が多くて、さらにつまらない。やる気がなくなっています、といった内容でした。たぶん、相談者は22歳か23歳くらいではないかと思います。
<私からの回答>きっとあなたも、もうちょっと社会人経験を重ねると、ほんとうは善人で、しかもしっかりと会社のことを考えているのに、コンニャクのように弱いために、その実力を発揮できないひとがいかに多いかと気づくでしょう。上司に意見をいうこともできない、かつ会社を辞める勇気もない。だから結果として、使われる善人がたくさんいるのです。そしてその善人が上司になってしまうと、弱いゆえに、自分のみならず部下にも余計な仕事を作ってしまい、不幸の総量を増やしてしまう場合がきわめて多いのです。これを覚えておいてください。よくみんなは、出世欲にまみれたひとや、声だけ大きい間抜けを馬鹿にします。ただ、そのいっぽうで、強さを欠いた善人や、必要な主張ができない弱さも、おなじく虚しいことが多いのです。あなただけでも、そうならないでください。
(坂口孝則メルマガ2017年9月5日号「調達担当者は『情熱大陸』に出演できるか問題」、太字は岡本篤)
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