センター試験に失敗したり、成功したら読む記事
2020年1月18日、1月19日に最後のセンター試験が行われました。受験生の皆さま、試験監督業務を滞りなく実施された大学教職員等関係者の皆さま、本当にお疲れ様でした。
書店員さんから伺ったのですが、参考書コーナーで大学受験向けの本がすごく売れる特定の日があると言います。それが、センター試験の翌日なのだそうです。おそらく、自己採点してみて、思っていたより良かった、悪かったが出て、志望校を変える必要が出て来て赤本を買いなおすということかと思います。
さて、センター試験に失敗して思ったより点数がとれなかった、あるいは、成功して思ったより良い点数だったという皆さん、まず落ち着きましょう。焦って、これまで調べたこともない、行ったこともない大学を「滑り止め」として受験候補にしようとしていませんか。
「国公立じゃないとだめだ」「家から通える範囲じゃないと」…いろんな事情があることはわかります。様々な要因を吟味し、苦労して選んだ第一志望を変えるというのは一大事です。ですが、だからこそ、いったん落ち着いていただきたいのです。
たとえばですが、法学部を目指していたのに、突然、教育学部に行って、その後の4年間を充実して過ごせるでしょうか。「それでもいい!」という方はそれでも良いかと思います。都市部の大規模総合大学を目指していたのに、地方の小規模単科大学に行って、満足できるでしょうか。もちろん「それで満足!」という方はそれでも良いと思います。
ただ、4年間というのは長いようで短い、短いようで長い期間です。興味のない分野を4年間学び続けるのは正直しんどいでしょう。4年間通ってそこで長時間過ごすキャンパスですよ。偏差値の表などだけ見て決めてしまってはまずくないですか。
4年間通って、「あぁ、大学の4年間ってなんだったんだろう…」と後悔しないために、これから大学を決める方に、是非参考にしていただきたいポイントを記事にしてみました。
1.学びたい内容が学べるかどうか
これは必須のポイントですね。大学には学ぶために行くのです。もちろん、部活やサークル、アルバイトなどなど、大学時代にできることはたくさんありますが、メインは「学び」「研究」です。ですから、全く関心の無い学部に行っても仕方がありません。
特に注意が必要な点を一つあげます。それは「学部名」や「学科名」だけで内容を勝手に判断しないことです。大学で学ぶ科目は、高校までのように「全国どこでも同じもの」ではありません。同じ名前の科目でも、内容がかなり違っていたりします。つまり、同じ名前の学部や学科、コースであっても、学べることはかなり異なるのです。
今は、冊子の大学案内に書かれていることはほとんどがウェブページにも記載されています。候補になる大学のウェブページをしっかり見て、自分が関心を持てる科目や専門分野の教員がそろっているところなのかをチェックしましょう。教員紹介のページや、科目一覧、シラバスなどを見てみてください。
2.施設・設備面
これもとても大切な要素です。まずは、学びに必要な図書館や自習室の有無や規模を調べてください。
図書館の規模を調べる際の一つの指標は蔵書数です。以下のウェブサイトでは蔵書数のランキングを見ることができます。最新版は書店で売られている大学ランキング本などに掲載があると思いますので、是非ご購入ください。
「量があってもそんなに全部読むわけでは無いし…」と思われる方、その通りです。ですが、実は以下のいくつかの点で、蔵書数の差は、皆さんの学生生活に差をもたらします。
まず、図書館の蔵書数が多いほうが、自分が読みたい本が見つかる可能性が高まります。授業のレポートや卒業論文を書く際に、図書や論文は必ず読まねばなりません。自分の研究テーマに関連する本は自分の大学の図書館にある方が良いですよね。無ければ、別の図書館に行くか、取り寄せてもらわねばなりません。常にアクセスできる環境と、ひと手間かけなければアクセスできない環境、どちらが良いでしょうか。
次に、その大学が学生たちへの教育や教員の研究にどれだけ費用を配分しているかが分かります。本を購入するにもお金がかかります。もし、その大学が図書館への予算をあまり配分していない場合、学生教育や教員の研究(これも学生への教育の質に直結します)への予算配分があまりなされていない(つまり重視されていない)と考えることができます。
もちろん、単純に量がすべてではありません。総合大学と単科大学を比べれば、当然総合大学のほうが多くなるでしょう。ただ、図書館の充実度の差は学生が簡単にアクセスできる情報量の差である、ということは認識しておいてよいでしょう。
また、大学の授業というのは、高校までとは違って、自分でとるものととらないものを決めます。ですから、授業と授業の間に空きコマや暇な時間ができる可能性が高くなります。つまり、自習時間です。大学の一コマは1時間半のところが多いので、一コマ空いたら1時間半の休憩時間、二コマ空いたら3時間の休憩時間が発生することになります。
この空きコマをどう使うかが、大学での学びを充実させられるかのポイントです。空きコマの時間にいられる場所があるかどうか、これはかなり重要です。休憩スペースや学食、カフェ、ラーニングコモンズ、図書館の自習スペースなど、暇な時に自分の居場所になる場所がちゃんとあるか確認しておきましょう。
最後に、校舎の雰囲気なども、4年間通う大学ですので、よくご覧ください。薄汚くぼろぼろで暗い校舎に通いたいですか?大学に行く気がわいてきますか?もちろん、それでよいという方はそれでよいのです。価値観は人それぞれです。ですが、確認せずに入学することになって、「こんなはずではなかった…」というのは避けたいものです。
3.キャンパスの場所、アクセス
これも、実はかなり大切な要素です。あなたが通うキャンパスはどこにあるのかをしっかり確認しましょう。同じ大学でも、キャンパスが複数ある場合は、学部によって、あるいは、学年によって通うキャンパスが変わる場合があります。
A大学と言えば都心のキャンパスが有名だ!と思っていても、あなたが受験する学部は郊外にある別のキャンパスだったという可能性は大いにあります。それが悪いわけではありません。郊外のキャンパスと都心のキャンパスには、それぞれ特徴があります。
都心のキャンパスの魅力は、何といっても都市の機能を使うことができる点です。東京や大阪、名古屋、福岡、札幌などの都市には、様々なものが集まっています。書店にしても大型書店がいくつもありますし、映画館も集積しています。飲食店なども充実しているでしょう。就職活動の説明会も近隣で開催されるので便利です。都道府県立図書館や、大きな市立図書館、他大学とのアクセスも良いでしょう。
一方で、郊外のキャンパスの魅力は静穏で勉強に集中できる環境が挙げられるかと思います。キャンパスの近くの下宿に住むなら、郊外キャンパスの方が静かでよいかもしれません。とはいえ、これもざっくり分けてみた時のお話です。是非、実際に行って確かめてください。
たとえば、私の場合は、今、近畿大学という大学の東大阪キャンパス(最寄り駅は近鉄長瀬駅)に通勤していますが、通勤途中にJR大阪駅とJR京都駅を通ります。これが実に便利で、定期区間に都心部の駅が複数あるので、欲しいなと思った本がすぐ手に入りますし、観たいと思った映画をすぐ観に行くことができます。学生の皆さんの場合はアルバイト先をどこにするか、ということも関係してくるでしょう。このように、通学のためのアクセス経路上に何があるか、というのも重要です。
4.消去法や単純な方法で焦って決めない
最後にもう一度繰り返し申し上げておきます。センター試験の失敗や成功により、これまで目指していた大学の受験が難しくなったり、あるいは、もう一ランク受験偏差値の高い大学を受けられるとなったりした場合、一度落ち着きましょう。
本当に、その大学に行きたいのか、その大学に通って4年間充実して過ごせそうか、その大学で学ぶのは楽しそうか…。もう一度初心にかえって選びなおしてみましょう。
特に、これまであまり行くことを考えていなかった大学が候補に挙がってくる可能性があります。いくつか実際にキャンパスに行ってください。オープンキャンパスではなくても、大学構内を見学できる大学がほとんどです。
大切な大学選びです。消去法や偏差値のランキング表を見て単純に上下にスライドさせるような方法で焦って決めてしまわず、納得の大学を選んでください。皆さんがご自身の納得のいく大学を見つけられることをお祈り申し上げております。
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