あの時いた場所に立ち寄ってみることで見えてきた道。
新卒から10数年、京都のとある大学で働いていました。
その場所を離れて5年。
なぜか今年は、あの場所で出会った人たちに会いたくなる。
この5年間。
新しい場所で、自分なりに進んでみた私の原点探求。
自分の立ち位置が、当時とどう変わっていて、どう変わっていないのかの確認。
今の私にとても沢山のものを残してくれているあの場所に行ってみた。
限られた時間に誰と会いたいのか。
1泊2日。滞在時間24時間以内。
その限られた時間に誰と会いたいのか考えた。
あの場所には、同期もいれば、先輩もいて、もちろん後輩もいる。
会いたい人は山ほどいる。
考えて、考えて、自らアポイントを取ってゆっくり話せたのは
私が7年間所属していた大学博物館にいる先生3名。
どの方も、とてもお世話になった先生たちだった。
大学で働いていたと言っても、私は先生ではなく事務職員。
しかも、退職した時でさえ何の役職もついていない一人の職員。
そんな私が、離れて5年経っても覚えてもらえていることだけでも嬉しいし
わざわざ話す時間を作ってくれることが感謝なのです。
そんな貴重な時間を通じて私が手に入れたのは、一人一人違うものだった。
それぞれの先生が見せてくれた私の道。
(その1)私のモットーにつながる出会いと経験
私のモットー ”今ここにある思いを言葉にして、未来につなぐ架け橋とする”は、
言い換えれば、”今を”残し続けた言葉の数々が、ある時振り返り・編集することで、あらためて自分が大切にしていることに気づくきっかけになり、またそこから未来に進むための架け橋にしよう。という意味。
私が大切にしていることは、人の言葉や経験をアーカイブしてその先の未来でより輝かせることなんだと思う。キャリアは自分の中から無くならないから、積み重ねるものだから。
元来大学博物館は、大学の教育研究のための資料を収集・保管・活用する場所。場所そのものにアーカイブ機能がある。
その場所にいた私は、無意識のうちにものを残す大切さとか、古いものから見えてくる新しさを楽しむ視点とかを手にいてたのかもしれない。
今回お会いした先生のうちの一人は、中でも、とても丁寧に物事を収集・記録される方で、私が当時仕事で作っていた記録物が今またとても役立ってるんだよ。と何気ない話の中で教えてくれたのです。
(その2)立場の違う人たちの間に立ててたという自信
今回お会いした別の先生は、私に、私が離れてから5年間の組織の流れを丁寧に話して下った。誰か一人の人の話でも自分の研究の話でもなく、その先生が私にしてくださったのは、一つの組織の変化だった。そこ話を聞きながら、きっと、何となく、こんな話は私だからしてくれるんだろうな。という自信が芽生えた。
立場の違う人には、言わないことがある。きっと言っても理解してもらえないと思うから。興味を持ってもらえないと思うから。
私はあの場所にいた間、管理職でも何でもなかった。組織の話をするような立場でもなかった。にも関わらず、離れていた間の組織のことを、良くも悪くも包み隠さず話してくれる。そこには、当時の私の人間性や仕事ぶりから、立場は違えど、私なら話したらわかってくれる。興味を持って聞いてくれるという安心感があったのではないかと思う。
(その3)この先につながる道を創ってもらった。
実は今回の旅。思春期の息子と一緒でした。
想定外だった、2人旅になることは当日決まったこと。
どの先生も子ども連れであっても、嫌な顔一つせずに受け入れてくださった。
中でも、私が勝手にメンターだと思っている先生は、
息子ととてもいい距離感で接してくれた。
思春期男子は、そんなにノリノリで大人と話すわけではなかったけど、
いろんな話題から、たまーに引っかかる話題もあって、
知識欲が高い息子にとっても、話していて楽しかったという印象。
その先生が息子に残してくれたミッションは「出世払いでランチ奢ってね!」
それは10年後かもしれない、もしかしたら20年後かもしれない。
でも、そうやって先の未来を、大人になった息子との約束を
何気なく残してくれたように感じた。
一方私は、せっかくの時間ではあったのだけど、なんか一歩引いたところから息子と先生のやりとりを見てしまっていて。この時は完全に、母になっていた。
急遽決まった息子との2人旅。
きっと、この先に続く道を創るためだったんだろうと思う。
私一人だったら、過去を今につなぐためだけの旅になっていたのかもしれない。
自分が過ごした時間に意味づけを。
どの先生との時間も、ほんの数十分。
何気ない会話、何気ない時間。
ただ、その短い時間を思い出しながら読み込んでみると
沢山のギフトを受け取っていることに気づく。
今行けてよかった。今立ち寄れてよかった。
きっとこの寄り道は、未来につながる大切な寄り道。