㊺作るものをしぼる
10種類のお菓子を10個ずつつくるのと1種類のお菓子を100個作るのとどちらがいいでしょうか。どちらの場合も全部売れるとして売上は変わらない場合、ちがうものは材料費と労働力だと思います。10種類分の原材料を揃える費用のほか仕込みも製造も片付けも10回必要だからです。ということは粗利が変わります。そして製造する人が疲れを感じるのは断然前者です。単純に考えるとそうなのですが、どんな楽しみを提供したいのかに関わってくるので利益だけ見るのも違うかなとはもちろん思います。いろいろなお菓子が所狭しとならんでる中からあれこれ選んで欲しいのか、「これ」というものを何度も何度も買いに来てほしいのかという感じです。店の規模も関係してくると思います。多いとき20種類以上のお菓子を作っていたキビズベイクショップですがよくよく売上データを見てみると1人あたりの平均購入点数は3〜4個でした。ということはひとりで20種類買っていく人なんていないわけです。私がいちばん販売に力をいれていてこれから伸ばしていきたいものはオカメサブレですが毎週新しく出たお菓子だけを自分のおやつとして買っていくという楽しみ方をしている方もいらっしゃいます。「ひとつだけでごめんなさいね」と言われることもありますが、私は大事なおやつにキビズのお菓子をわざわざ買いに来てくれるなんてうれしいですから「そんなことないのでじぶんのおやつを買いにいらしてください」とお伝えしています。生活にそういう楽しみをとりいれる方がいるからこそお菓子屋さんは存在していけると思っています。品数が少なければブラッシュアップもしやすくもっと品質もあがるでしょう。自分の体力面も考慮して当面は「オカメサブレ+定番のもの数種類+週替りのもの1種類」でいいという結論になり、できるだけそのようにしています。5種類のお菓子を20個ずつ作る、あたりに着地してる感覚です。