「個人的には」は一人称になるか
主格
SV型
私は狸です -1a
個人的には狸です -1b
状況A1 : 私=狸
状況A2 : 何らかの選択肢が与えられて狸を選んでいる
第一文型では意味が大きく変わり「私」に置き換える事は出来ない
SVC型
私は楽しいです -2a
個人的には楽しいです -2b
状況A3 : 私が楽しく感じている
状況A4 : 私は楽しく感じている
意味に少し違いを持たせたが2aの意味として状況2bを考える事も自然であり、相似と捉えられる
SVO型
私は茗荷が好きです -3a
個人的には茗荷が好きです -3b
状況3a : ただ宣言している
状況3b : 集団内で他の人は茗荷を嫌っている
第二文型と同様に一応状況毎に別けたが逆もまた問題ないと考えられ、同義である
SVOO型
私は友に命を与えます -4a
個人的には友に命を与えます -4b
状況4a : 友に命を与える者=私
状況4b : 意味が通らない
第四文型では4bのように意味が通らず不成立である
SVOC型
私は友を楽しませる -5a
個人的には友を楽しませる -5b
状況5a : 友=楽しい とした要因は私である
状況5b : 友=楽しい とした要因は周りはどうであれ私である(ここまで読んでいる方にはお察しの通り私の日本語を扱う能力不足で意味を拾えていない)
明白に違うという感触はあるが、どう違うかを説明するのが困難であり意味としては近い
所有格
私の鞄は小さい -A
個人的な鞄は小さい -B
状況A : 私が用いている鞄は小さい
状況B : 個人的に用いている鞄は小さい
かなり意味が違うと明白である
目的格
私に人形焼をください -A
個人的に人形焼をください -B
私を助けてください -A'
個人的に助けてください -B'
状況A : 私が人形焼を求めている
状況B : 私は属する団体等に関係なく人形焼を求めている
状況A' : 私が助けを求めている
状況B' : 私は属する団体等に関係なく助けを求めている
なんとなく「個人的に」が第一人称として振る舞う理由がわかってきたように思える
結局「個人的に」は第一人称としてではなく副詞として振る舞っており、日本語の主語を省略する性質によって、恰も第一人称なのではないかと思っていただけだった。
実際意味が近しい例文は「個人的に」を隠して読んでも意味が近くなっているとわかる。
◆◆◆
これを書く事となったきっかけは友との文面上でのやり取りで第一人称をどうするかという問題でした。
・「私」は少し堅く、やり取りを牽制してしまうのではないか
・「僕」は少しショタ味が強く、あまりにも可愛いのではないか
・「ボク」はユークリウッド・ヘルサイズと勘違いされてしまうのではないか
・「俺」はちょっと怖い印象を与えるのではないか
・「自分」は第一人称で迷っていると見透かされるのではないか
・「我」は役割論者かと思われる
とか考えていたので何らか新しい第一人称を作るほかないと思いその時目に留まったのが「個人的には」だったわけです。
第一人称にはなり得ないが、私が主語の文であると主張しつつ第一人称を使わずに作文しやり過ごすという観点では有用であると考えられるのではないか。
個人的には気が向いたら使っていこうと思う。
※私はこれまで国語に関する教育をあまり受けていない(環境的な問題ではなくただの怠慢)ので真っ当に捉えないでください。また、ミス等ありましたら直接言ってくれると助かります。