挨拶できる大人になれただろうか
「あいさつしましょう」
なんて、子どもの頃よく言われたものである。
登下校、休み時間、移動中。すれ違う大人には皆挨拶をしていた。
今考えてみれば、地域の人にまで挨拶をしていたのである。登下校中、すれ違う他人に挨拶するなんて、どんなコミュ強なんだ。
かといって、今は全く挨拶をしないというわけではない。
大学、バイト先、家に来たお客さん。礼儀として挨拶をしている。
特に気合いを入れて挨拶するのはバイト先の塾である。
子どもが無視しようがしまいが、勝手に挨拶する。それが大人というものであり、子どもはその姿をよく見ていると私は信じている。
(ちなみに、私が予備校に通っていた頃、挨拶しないチューターがいた。そんなチューターを見て「こんな大人になってたまるか」と思った。この経験から「挨拶しない塾講師は嫌われる」を胸に今もバイトしている。)
大人になって、知り合いでない地域の人への挨拶はめっきりしなくなってしまった。
すれ違う人は皆、赤の他人である。そのため、挨拶することにためらいを感じるのだ。私が挨拶したら「うわ知らん人から挨拶されたんだけど」と思われかねない。
子どもの頃は平気だったが、それはランドセルブランドというか、クソガキブランドというか、大人が「子どもだからな」という目を向けてくれることを理解して、それに甘えていたのかもしれない。
挨拶された!
この記事を書こうと思ったきっかけを記しておく。
大学にいく為に自転車で信号待ちをしていたところ、ランドセルを背負った男子小学生に挨拶をされた。
「こんにちは!こんにちは!!!」
初めは自分に言われていると気付かなかったが、2回目で「私⁉」となった。彼の挨拶に刺激され、一瞬で”塾講師モード”となった私は動揺を隠して挨拶できた。
「こんにちは~^^」
いや、正直びっくりした。自分に言われていると思わなかったし、第一挨拶されるとも思わなかった。
きっと、彼の小学校でも「地域の人に挨拶しましょう」としつこく言われているのだろう。教育が行き届いていることに感心しながら、私は更にあることに気付いた。
「私、もう地域の人になったってコト⁉」
自分の中のちいかわが驚いている。
私に挨拶をしてくれた男の子にとって私は「地域の人に挨拶しましょう」の”地域の人”になっていたのである。
(厳密にいえば、大学のある市に住んでいる訳ではないので、”地域の人”というよりは”地域にいる人”だが、面倒臭いので”地域の人”になったということにしておく。)
そして「地域の人に挨拶しましょう」の挨拶される対象になっていたのである。
自分も小学生の頃はこんな感じだったなと回想しつつ、ではなぜ「地域の人に挨拶しましょう」としつけられるのだろうと疑問に思った。結局大人になったら、挨拶しなくなるのである。ならばこのしつけは必要ないのでは?
挨拶を躾ける目的
学校で挨拶するよう指導する目的は、「挨拶した方が気持ちが良いから」というものが表向きかもしれない。分からんけど。
でも、実際はこんな生ぬるい綺麗ごとではないと考える。
挨拶の指導の目的は「挨拶すべき場面でできるようになるため」ではないだろうか。詳しく言うと「別に、挨拶が強いられる環境ではしなくても良いが、挨拶すべきところでできないような人間だと恥ずかしいだろ」ということだ。挨拶すべき環境とは、例えば初めて会う人に会った時や、職場などが挙げられる。
挨拶が身に付かなかった人のことを私の視点で考えてみる。
第一に「なんだ!失礼な奴だな!」と思われるに違いない。一度こんな印象を持たれては、その後挽回することはほぼ不可能に等しい。
次に「うわ恥ずかしい」と思われるだろう。運よく友達や配偶者などを見つけ、一緒にいたとしても挨拶できない姿を見たら、どうしてこんな奴と一緒にいるのだろうと苛立ちさえ覚えてしまうかもしれない。
最後は「どうしようもない」と見捨てられるだろう。誰も無礼な奴と一緒に居たいとは思わず、離れていく様子が目に浮かぶ。
学校は人格を形成する場所でもあるので、子どもを上記のような奴みたいにさせたくない。というより、子どもが前向きに社会で生きていけるように、人間としての根底を学ばせていきたい。
このようなことから、学校は入念に挨拶を躾けるのではないかと考えた。
おわりに
この記事に書いた”挨拶できない奴”というのは、シンプルに礼儀がなってない奴のことを指している。事情や困り感を抱えている人のことではない。
男子小学生から挨拶されたことを受けて、「私も地域の人に挨拶しよう!」とはならなかったが、挨拶することの良さや重要性は改めて認識することができた。てか、普通に挨拶されて嬉しかったしね。
ここまで書いてしまったのだから、私は挨拶すべきところでしなければならなくなった。戒め、教訓、言質である。
明日もバイトがある。よい挨拶ができるよう、発声練習でもしてから向かいたいと思う。
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