我々はどこから来たのか?我々は何者か?我々はどこへ行くのか?《深読み 千と千尋の神隠し&タイタニック》vol.31
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2019年12月XX日
途方もない考えに取り憑かれた男の夢の中
第一階層『千と千尋の神隠し』
国道21号の分かれ道
うふふ。脱線はこれくらいにして、大階段に戻りましょう…
ここからが大事な話…
そうだったな…
タイタニックの大階段と、『ヨハネの黙示録』第21章の秘密…
「時計と天使像のある大階段」は、映画『タイタニック』の中に落とし込まれている『ヨハネの黙示録』の起動装置みたいな役割を果たしている…
まさに「make it count, meet me at the clock」の言葉通りに…
問題の「第21章」は、こう始まる…
ジェームズ・キャメロンが踏まえているのは、もちろんジェームズ王の欽定訳聖書、いわゆるKJV(King James Version)だ…
Revelation 21
1 And I saw a new heaven and a new earth: for the first heaven and the first earth were passed away; and there was no more sea.
2 And I John saw the holy city, new Jerusalem, coming down from God out of heaven, prepared as a bride adorned for her husband.
そして私は新天新地、つまり新世界を見た…
先の天地、つまり旧世界は過ぎ去った…
もう海は存在しない…
そして私ヨハネは、聖なる街「新しいエルサレム」が、天空の彼方、神から降りて来るのを見た…
夫のために着飾った花嫁のように、身なりを整えて…
レオナルド・ディカプリオが演じる絵描きの青年の名「Jack(ジャック)」は、Jacob(ジェイコブ、ヤコブ)の愛称であると同時に、John(ジョン、ヨハネ)の愛称でもあった…
つまりあの「大階段」は、天使が昇り降りする「Jacob's Ladder(ジェイコブズ・ラダー、ヤコブの梯子)」であると同時に…
『Jacob's Ladder(ヤコブの梯子)』
Gustave Doré(ギュスターヴ・ドレ)
夫のために着飾った花嫁「新しいエルサレム」が…
天から降りて来る場所でもある…
それは『天空の城ラピュタ』…
「天から降りて来る新しいエルサレム」は、こっちでしょ(笑)
『New Jerusalem(新しいエルサレム)』
Gustave Doré(ギュスターヴ・ドレ)
すまん、つい…
だからあの階段には天使がいて、ジャックとローズは何度も昇り降りした…
そしてタイタニック沈没の際、神父によって『ヨハネの黙示録』第21章が朗唱され…
楽団によって賛美歌『Nearer, My God, to Thee(主よ 御許に近づかん)』が演奏された…
劇中で歌詞は歌われないが、この賛美歌の内容は非常に重要だ…
旧約聖書『創世記』第28章に描かれる「ヤコブのビジョン」と、そのリプライズである新約聖書『ヨハネの黙示録』第21章「ヨハネのビジョン」を題材にしたもので…
映画『タイタニック』の「ジャックとローズの物語」を読み解く鍵になっている…
Out of my stony griefs…
つまり、私の悲しみが秘められた「石」を「捨てる」ことで…
Bethel I'll raise…
私は「主の家」を引き上げて「主の御許」に近づくという…
二人の約束の場所「時計と天使像のある大階段」の天井にあったのは、すべてを見通す目のような「日輪」…
つまり天主…
ちなみに賛美歌『Nearer, My God, to Thee(主よ 御許に近づかん)』のタイトルフレーズは、『創世記』第28章の第15節で語られる「主の言葉」を受けてのもの…
Genesis(創世記)28:15
"I am with you and will watch over you wherever you go, and I will bring you back to this land. I will not leave you until I have done what I have promised you."
「わたしはあなたと共にいて、あなたがどこへ行くにもあなたを守り、あなたをこの地に連れ帰るだろう。わたしは決してあなたを捨てず、あなたに約束した事を行うだろう」
これを言い換えたものが、映画『タイタニック』の主題歌…
Celine Dion(セリーヌ・ディオン)の『My Heart Will Go On』だな…
そして、映画『タイタニック』に秘められた物語と『Nearer, My God, to Thee(主よ 御許に近づかん)』の関係で、最も注目すべきは…
冒頭のこの部分…
E'en though it be a cross that raiseth me,
still all my song shall be,
Nearer, my God, to thee,
いかなる苦難が待ち受けようとも
汝に我が歌を捧げん
主よ 御許に近づかん
死すら恐れず、主の御許に「song(歌)」を届ける…
これは『ヨハネの黙示録』第21章の最後に出て来る「the glory and honour」を言い換えたもの…
ジェームズ・キャメロンは、偉大な先人たちに倣って、これを「別のもの」に重ねた…
それは、7つのアルファベット「CDEFGAB」で表される音階のように、4つのアルファベットで表される神秘のメロディ…
だけど音楽のメロディと違って、それは1本のメロディラインでは何の意味もなさない…
誰もが自分の中に持つ1本のメロディラインは、愛する者のメロディラインと絡み合うことで初めて、意味ある「歌」を奏でることができる…
赤と青の2本の糸が螺旋状に絡み合って作られた『千と千尋の神隠し』の「えんじ色(紫色)の髪留め」のように…
まさに「make it count」ということだ…
この件はまた後程にするとして、まずは『ヨハネの黙示録』第21章の続きを見て行こう…
Revelation 21
3 And I heard a great voice out of heaven saying, Behold, the tabernacle of God is with men, and he will dwell with them, and they shall be his people, and God himself shall be with them, and be their God.
4 And God shall wipe away all tears from their eyes; and there shall be no more death, neither sorrow, nor crying, neither shall there be any more pain: for the former things are passed away.
そして私は聞いた、天の御座から大きな声が叫ぶのを…
「見よ、神の幕屋が人と共にあり、神が人と共に住み、人は神の民となる。神自らが人と共にあって人の神となるのである。神は人の目から涙をぬぐいとってくださる。もはや、死もなく、悲しみも、叫びも、痛みもない。先のものが過ぎ去ったからである」
ここで語られる「神」とは、人の姿をして人と共にあった新約の神キリストのこと…
ちなみにこの部分は、『創世記』第28章「ヤコブのビジョン」で神が語った言葉をリプライズしたもの…
「わたしはあなたと共にいて、あなたがどこへ行くにもあなたを守り、あなたをこの地に連れ帰るだろう。わたしは決してあなたを捨てず、あなたに約束した事を行うだろう」
そして映画『タイタニック』における「人と共にある神の幕屋」とは、あの「大階段」のこと…
階段の上に輝く「天井の日輪」が「天の御座」ね…
だからあの場所で人々は蘇り、永遠の魂を得た…
まさに「死もなく、悲しみも、叫びも、痛みもない」だな…
そして『ヨハネの黙示録』第21章はこう続く…
5 And he that sat upon the throne said, Behold, I make all things new. And he said unto me, Write: for these words are true and faithful.
6 And he said unto me, It is done. I am Alpha and Omega, the beginning and the end. I will give unto him that is athirst of the fountain of the water of life freely.
すると、御座にいます方が言われた…
「見よ、わたしはすべてのものを新たにする」
「書きしるせ。これらの言葉は、信ずべきであり、まことである」
この「make all things new」を、ジェームズ・キャメロンは「make it count」と言い換えて、書き記した…
御座にいます方は、こうも言われた…
「事はすでに成った。わたしはアルパでありオメガである。初めであり終りである。渇いている者には、命の水の泉から価なしに飲ませよう」
α(アルファ)はギリシャ文字の1番目…
そして Ω(オメガ)はギリシャ文字の24番目…
つまり「初めであり終わりである」とは、途切れることなく24時間を刻み続ける「時計」のこと…
だから「make it count」の続きが「meet me at the clock」なのだな…
そして『ヨハネの黙示録』第21章はこう続く…
7 He that overcometh shall inherit all things; and I will be his God, and he shall be my son.
勝利を得る者は、これらのものを受け継ぐであろう…
わたしは彼の神となり、彼はわたしの子となる…
He that overcometh(勝利を得る者)とは、ヘブライ語で Israel(イスラエル)…
神の試練に打ち勝ったヤコブに与えられた称号…
『Jacob wrestling with Angel(天使と格闘するヤコブ)』
Rembrandt(レンブラント)
これが新約では、ヤコブがイエスに置き換えられた…
『An angel comforting Jesus before his arrest in the Garden of Gethsemane(死を前にしたイエスをゲッセマネの園で慰める天使)』
Carl Bloch(カール・ブロッホ)
『Luke(ルカによる福音書)』第1章の「Annunciation(受胎告知)」で天使は言った…
マリアが処女懐胎した神の子は、ダビデの子であり、ヤコブの家を受け継ぐだろうと…
ここから「Jack Dawson(ジャック・ドーソン)」という名前が生まれた…
「Jack」は「Jacob(ヤコブ)」の愛称で、「Dawson」は「Davidson(ダビデの子)」の短縮形…
そして『ヨハネの黙示録』第21章はこう続く…
8 But the fearful, and unbelieving, and the abominable, and murderers, and whoremongers, and sorcerers, and idolaters, and all liars, shall have their part in the lake which burneth with fire and brimstone: which is the second death.
しかし、おくびょうな者、信じない者、忌むべき者、人殺し、姦淫を行う者、まじないをする者、偶像を拝む者、すべて偽りを言う者には、火と硫黄の燃えている池が、彼らの受くべき報いである。これが第二の死である…
ここでのポイントは「火と硫黄の燃えている池」だな…
罪人(つみびと)は「火と硫黄の燃えている池」で報いを受けるという…
つづく
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