我々はどこから来たのか?我々は何者か?我々はどこへ行くのか?《深読み 千と千尋の神隠し&タイタニック》vol.26
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2019年12月XX日
途方もない考えに取り憑かれた男の夢の中
第一階層『千と千尋の神隠し』
国道21号の分かれ道
とんでもない男よね、ジェームズ・キャメロンは…
もちろん誉め言葉(笑)
James Cameron
ではルイス・ボーディーンによる「タイタニック沈没」の続きを見て行こう…
BODINE : So now as the bow goes down, the stern rises up. Slow at first, then faster and faster until finally she's got her whole ass sticking up in the air - And that's a big ass, we're talking 20-30,000 tons. Okay? And the hull's not designed to deal with that pressure, so what happens? "KRRRRRRKKK!" She splits.
普通に訳せば、こうなるわね…
ボーディーン「船首は下がり、船尾は上がる。最初はゆっくり、それから次第に早く。最終的に彼女のケツ全体が宙に突き出る形になるまで。今俺たちが話しているのは2万から3万トンもあるデカいケツの話だ。わかるよな? もちろん船体はそんな圧を耐えられるようには出来ていない。じゃあ何が起きる? ”KRRRRRRKKK!” 彼女は裂ける。」
ボーディーンの説明は、よくある「乗り物と女体のダブルミーニング」にはとどまらない…
なぜなら具体的なモデルがあるからだ…
ここでのポイントは「ass」ね…
That's a big ass(笑)
その通りだレウコノエ…
ボーディーンは「bow」と「stern」について語った…
「bow」が「goes down」され、「stern」が「rises up」したと説明するのだ…
船首(bow)は下がり(goes down)、船尾(stern)は上がる(rises up)…
確かに、モニターに映し出されるタイタニック号もそうなっていた…
そして「タイタニック沈没」のモデルになった絵…
フラ・アンジェリコの『受胎告知』も、そうなっていた…
『Annunciazione di Cortona』
Fra Angelico
「bow」には「船首」の他に「あいさつ・お辞儀」という意味がある…
そして「go down」には「下がる・傾く」の他に「(何か出来事などが)起きる」という意味がある…
つまり「the bow goes down」で「挨拶という出来事が起きる」という意味にもなっている…
だから続く言葉が「the stern rises up」なのだな…
「stern」は「船尾」の他に「恐ろしい・険しい」という意味がある…
つまり「the bow goes down, the stern rises up」は「挨拶が行われ、恐ろしくなって険しい表情になる」という意味にもなっている…
まさに『Gospel of Luke(ルカによる福音書)』第1章に書いてある通りのことを、ジェームズ・キャメロンはルイス・ボーディーンに説明させたわけだ…
御使がマリヤのところに来て言った、
「恵まれた女よ、おめでとう、主があなたと共におられます」
この言葉にマリヤはひどく胸騒ぎがして、この挨拶は何の事であろうかと、思いめぐらしていた。すると御使が言った、
「恐れるな、マリヤよ、あなたは神から恵みをいただいているのです。見よ、あなたは身籠って男の子を産むでしょう。その子をイエスと名づけなさい。彼は大いなる者となり、いと高き者の子と称えられるでしょう。そして、主なる神は彼に父ダビデの王座をお与えになり、彼はとこしえにヤコブの家を支配し、その支配は限りなく続くでしょう」
そして「ass」の登場(笑)
BODINE : Slow at first, then faster and faster until finally she's got her whole ass sticking up in the air - And that's a big ass, we're talking 20-30,000 tons. Okay?
throw (slow) at first, then faster and faster…
初めに投げだされ、それから加速度的に早く…
until finally she's got her whole ass sticking up in the air…
最終的に彼女が空中に「sticking up」された「whole ass」を取り込むまで…
「ass」は誰かの手から放出され、速度を上げながら降りて来た…
そして「sticking up」には「突き出ている」の他に「(画面や表面に)貼り付いている」という意味がある…
つまり最終的に「彼女」が取り込んだ、空中に貼り付いている「whole ass」とは…
Holy Spirit(聖霊)のこと…
「ass」には「ケツ・尻」の他にも「まぬけ」という意味がある…
そして聖霊の象徴として使われる「鳩(pigeon)」にも「まぬけ」という意味がある…
だから「ass=pegion=Holy Spirit」ということ…
イエスの教え、つまりキリスト教が画期的だったのは、神の象徴として使われるシンボルが、それまでのものとは180度違っていたからだ…
普通、神の象徴として使われる動物は、ライオンやウマ、ワシなど、力強くて威厳のあるものが多い…
しかしキリスト教で神の象徴として使われる動物は、子羊の他にロバやハトなど、みすぼらしく愚かなイメージをもつ動物たち…
子羊は「非力・無知・迷妄」の代名詞であり、donky(ロバ)にも「まぬけ」という意味がある…
だからボーディーンは「That's a big ass」と言ったのだ…
神の子は大いなる愚者「大愚」である、という意味で…
we're talking 20-30,000 tons. Okay?
しかも2万から3万トン級の大愚だと念を押してる(笑)
しかし、偉大なる神の子を結婚前の女が身籠るなどということは、神代も聞かで竜田川、まさに前代未聞の一大事だ…
だからボーディーンはこう続けた…
And the hull's not designed to deal with that pressure, so what happens? "KRRRRRRKKK!" She splits.
結婚前のマリアからすれば、まだ処女の自分が神の子を身籠るなんて、とんでもないこと…
若い彼女の心身は、そんなプレッシャーに耐えられるわけがない…
だから彼女は「split」した…
言葉にならない「音」を立てて…
フラ・アンジェリコ『コルトーナの受胎告知』には「she splits」の瞬間が描かれている…
天使ガブリエルが語った受胎告知を、マリアの声が上下に裂いているのだ…
しかも、言葉にならない音「WAALAꓭANU∀TIIↃ∀ƎↃↃƎ」で…
ちなみにマリアの発した音が言葉になっていないのは、文字が「逆さま」になってるから…
柱に隠れた部分や省略された語を元に戻すと「WAALAꓭANU∀TIIↃ∀ƎↃↃƎ」は「ECCE ANCILLA DOMINI FIAT MIHI SECUNDUM VERBUM TUUM」になる…
『ルカによる福音書』1-38「わたしは主の婢女(はしため)です。お言葉どおりこの身に成りますように」ね…
きっとジェームズ・キャメロンは、マリアの言葉にならない言葉が天使ガブリエルの受胎告知を裂いているのを見て、マリアの悲痛な叫びのように感じたのだろう…
そして最後に「bow」と「stern」の分離と、海底への沈没が説明される…
BODINE : Right down to the keel. And the stern falls back level. Then as the bow sinks it pulls the stern vertical and then finally detaches. Now the stern section just kind of bobs there like a cork for a couple of minutes, floods and finally goes under about 2:20AM two hours and forty minutes after the collision. The bow section planes away, landing about half a mile away going about 20-30 knots when it hits the ocean floor. "BOOM, PLCCCCCGGG!"... Pretty cool, huh?
ボーディーン「最後は竜骨だ。船尾は水面上で背後に落ちる。船首は水面下で船尾を引っ張りながら沈む。そうして最終的に切り離された。船尾セクションは水に浮くコルクのように数分間ゆらゆら漂い、衝突から2時間40分後の午前2時20分に水平線から消える。船首セクションは着陸態勢の飛行機のように水中を滑り降り、時速20~30ノットで半マイル離れた先の海床にぶつかった。 "BOOM, PLCCCCCGGG!" どうだ、すげえだろ?」
最後は「受胎告知」のクライマックス…
マリアの胎内に取り込まれた聖霊の様子、つまり「受胎」の瞬間を説明している…
ポイントは、「船」が海面に対して垂直に立った後、水面下にある「船首」と水面上にある「船尾」が切り離され、「船尾」は「船首」を失った後もしばらく水面上にあったけど最終的に水面から消え去り、「船尾」を失った「船首」は奥深くの海床へ向けて降下して行ったという手順…
これはヒトの遺伝子の鎖RNAを運ぶ「船」である精子が、卵子の中へ降下していく「受精」の行程に他ならない…
その通りだレウコノエ…
ジェームズ・キャメロンはルイス・ボーディーンに「受胎告知」を完璧に説明させた…
フラ・アンジェリコの絵から、実際の受精のプロセスまで…
だからジェームズ・キャメロンは、彼の役名を「BODINE」にした…
「BODINE」とは、古フランス語で「one who brings news」という意味…
つまり「ニュースを伝える者」天使ガブリエルのこと(笑)
ジェームズ・キャメロンが彼にあのTシャツを着せた理由もここにある…
「銃弾が撃ち込まれて鮮血が飛び散るスマイルマーク」のTシャツ…
『コルトーナの受胎告知』に描かれる天使ガブリエルやマリアの光背は、回転式拳銃 revolver(リボルバー)のシリンダーのように見える…
そしてリボルバーといえば「コルト」…
つまり「コルト」と「コルトーナの受胎告知」の駄洒落にもなっている…
つまり、黄色いスマイルマークに撃ち込まれた「銃弾」は「聖霊」を表している…
フラ・アンジェリコの別バージョンの『受胎告知』が元ネタね…
念のために言っておくと、『受胎告知』でも『タイタニック』でも、処女の「鮮血」は飛び散らない(笑)
まったく、とんでもない男だな、ジェームズ・キャメロンという奴は…
もちろん褒め言葉だが(笑)
それだけじゃない…
ルイス・ボーディーンは、その時のローズの心境まで匂わせている…
「HALF A MILE AWAY」というフレーズで…
ふふふ…
また重要な歌が出て来たようだ(笑)