我々はどこから来たのか?我々は何者か?我々はどこへ行くのか?《深読み 千と千尋の神隠し&タイタニック》vol.30
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2019年12月XX日
途方もない考えに取り憑かれた男の夢の中
第一階層『千と千尋の神隠し』
国道21号の分かれ道
それじゃあ映画『タイタニック』の深読みを終わらせましょう…
すべての秘密は、あの大階段、『ヨハネの黙示録』第21章にある…
「時計と天使像のある大階段」は、老ローズが語る「愛の物語」の中心となる場所…
この場所を舞台にして、様々なシーンが描かれる…
そして、そこには物語を読み解く重要なヒントが隠されていた…
あそこはまさに「make it count」の場所…
様々な「有意義化・有効化」が行われる…
まず最初にローズは、時計を背にしていた…
これは「時計を背にする処女」の再現…
この後にローズが「夫以外の子供を妊娠する」ことの暗示だ…
フラ・アンジェリコの絵『コルトーナの受胎告知』の処女マリアは…
まるで「時計」を背にしているように見える…
『Annunciazione di Cortona』
Fra Angelico
この絵は『Luke(ルカによる福音書)』第1章の場面を描いたもの…
処女マリアは、目の前に現れた天使の「挨拶」に驚いた…
「この挨拶は何事だろう?」と…
天使は「挨拶」について説明する…
「ニッケルオデオン(大衆向け映画)で見たのを真似した」と…
「Nickelodeon」とは、5セント硬貨(通称ニッケル)1枚で入れた大衆劇場のこと…
Odeon(オデオン)はギリシャ語で「音楽や歌を奏でる場所・音楽堂」という意味だ…
天使ガブリエルが処女マリアに告げたのは「善き知らせ」…
つまりジェームズ・キャメロンは、マリアの家のテラスを「オデオン」に喩えた…
まさに「キリスト降臨の福音が奏でられた堂」だから…
まさに「オデオン」そのものだな…
そして「ニッケルオデオン」の「ニッケル」も『受胎告知』の中にある…
なぜなら、タイタニック号が沈没した1912年当時に流通していたニッケル(5セント硬貨)は、Liberty Head Nickel…
円形に並んだ星印の中に「Goddes of Liberty」つまり「自由の女神」の横顔が描かれたものだったから…
「ニッケル」1枚で入れる「オデオン」…
もう、そうとしか思えない…
もう、そうでしょ(笑)
もう、そうだな(笑)
だからローズの回想は「自由の女神」で終わった…
つまり、あれはローズの「受胎」を暗示している…
ちなみに、あの「挨拶」の前後も『受胎告知』になっていた…
フラ・アンジェリコの絵には欠かせない、とても重要なものが再現されている…
ふふふ。ローズの母ルースと婚約者キャルね…
並んで歩いていた二人は、ジャックの存在に気付いていなかった…
あれは、こっちの『受胎告知』の再現だ…
『Annunciation』
Fra Angelico
並んで歩いているのは堕落した男女…
アダムとイブ、そしてローズの母ルースと婚約者キャル…
どちらのカップルも天使の存在に気付いていない(笑)
しかも興味深いことに、神の日輪から放射される「光の川」と、タイタニックの「大階段」の傾斜角度は同じ…
つまり、あの大階段のホール全体で『受胎告知』が再現されている…
大階段ホールの天井には「神の日輪」のような「採光窓」があった…
そして大階段の左右の手すりの柱の上には…
「禁断の果実」の彫刻…
その通りだレウコノエ…
そもそも、あの大階段ホールは「エデンの園」がモチーフになっている…
だから時計のレリーフにも、様々な果実が彫刻されていたのだ…
だからキャルは、こうなった…
「禁断の果実」を撃ち…
自分で落とした「禁断の果実」を踏んでしまう…
ジェームズ・キャメロンは、フラ・アンジェリコの『受胎告知』を見て、こんな妄想をした…
他のことに気を取られているアダムは、足元に落ちている果実に気付かず踏んでしまい、ずっこける…
もう、そうなるとしか思えない…
禁断の果実だけに「おいしい」シチュエーションだ…
私なら気付いてても踏みに行くけどね…
ふふふ。まるで日本の「関西人」だな…
そしたら神様もこう言うわ…
「お前はエデンの東よりも西の方がいいかもしれん」って(笑)
エデンの西か…
アダムとイブのその後の人生も、だいぶ違ったものになっただろう…
粉モノ文化なだけに、カインの嫉妬もなかったかもしれない…
うふふ。脱線はこれくらいにして、大階段に戻りましょう…
ここからが大事な話…
そうだったな…
タイタニックの大階段と、『ヨハネの黙示録』第21章の秘密…