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sentimentalism
極彩色はその網膜に届かない
中学2年生の時、Fは母と弟と暮らしていた。
父は幼い頃に他界し、兄は東京で某ビジュアル系バンドのギターをしており、それなりに名前が知られていた。
学校帰りにFの家についていくと家には誰もおらず、僕らはFの部屋で音楽を聴いたり、服の雑誌を読んだり、Fがアコギを弾くのを眺めたりした。
夕方になるとFの母が帰ってきて、「こんにちは」と感じのよい挨拶をしてくれた。僕も背筋を正して挨拶をする。
Fの家は家族関係がそれなりに良好で、時々Fと母が冗談を言い合っているのを見た。それが僕にはなんとなく嬉しかった。
なぜなら、漠然と「世の中にはこのようにして、それなりに言葉が通じ合う家族もいるのだ」という例を示してくれているような気がしたからだ。
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