小説(タイトル未定) 一章
一章
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朦朧とした頭でコーヒーを流し込む。
昨晩は四時間しか眠れなかった。
四時間も眠れれば充分だ、という人もいるだろうが、私はいつも八時間きっちり寝ているから、それより下回る睡眠時間はとてもきつい。
こんな平日の昼間から誰にも気を使わず街中でぼーっとしているが、ニートでも学生でもない。しがない勤め人だ。そして何を隠そう、私はカエルだ。
私は西の方の池からやってきた。生まれた時は手足もないオタマジャクシで、それはそれは大変な数の同胞から逃げるように、人間の世界へやってきた。
今日も早朝から街角の自動販売機の下を一つ一つ丁寧にのぞき、落ちている小銭を拾い集め、出勤前に喫茶店で一杯のホットコーヒーを飲む。私の一日はそうして始まる。
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