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【私の人生の転機(第1位)】ブラック・ウェンズデーとその仕掛人ソロス氏

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 ジョージ・ソロス氏をご存知ですか?「イングランド銀行(英国の中央銀行/BOE:写真上)を潰した男」として知られていますが、私の価値観をひっくり返した人でもあります(ソロス氏はそんなこと夢にも思っていないでしょうけど🤭)。

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 英国に在住しているときに、ブラック・ウェンズデー(暗黒の水曜日)を体験しました。要は金融危機に端を発する社会混乱です。英国は、自国通貨のポンドの為替レートを維持するために、暴落するポンドを大量に買い支え、加えて、一夜のうちに2度の公定歩合の引き上げを行いましたが、それでもポンドは持ちこたえることができずに、結局、英国はEMU(欧州の経済通貨統合)から離脱せざるを得なくなってしまったという事件です。そして、その立役者がジョージ・ソロス氏だったのです。この動画👇は、当時の様子をよく伝えていますので、ぜひご覧ください(英語のみで申し訳ございません)。

 ロンドンの日本語の現地情報紙の記者だった私は、ちょうど日本語の衰えを感じ始め、今後の自分のキャリアについて思案しているところでした(ロンドンへ来るまでの経緯については「大人になったときの夢は…」をご覧ください)。日本語の仕事にこだわるなら日本に帰るべきですし、英国に残るならキャリア転向をしなくてはなりませんでした。記者という仕事は中学生のころからの目標でしたので、辛い決断でした😓

 しかし、そもそも、しあわせな世の中に貢献するためにと思って記者になった私にとって、住宅ローンが払えずにマイホームを失う人、ホームレスになる人が大量に発生し、不動産価格も下落を続け、活力を失った社会は、「しあわせな社会」とは程遠い状態になってしまっていました。その原因が金融市場の失敗にあったのは明らかで、社会における金融の役割の大切さと、それについて自分は何も知らないということを痛切に感じた事件でした。英国から見ると、ジョージ・ソロス氏は経済混乱を引き起こし、国の富を奪った悪人です。でも、一人の投資家が国を動かすことができる、という事実は衝撃的でした。

 そんな折、世界の金融中心街シティーをかかえるロンドンに住んでいることを生かせるし、もしかしたら金融機関に勤めるというのは、この地でしか経験できない価値のある仕事かもしれないと考え始めました。「ならば、ソロス氏と同じ土俵、ディーリング・ルーム(為替等の取引をする部署)で仕事をしてみよう」と決心をして、仕事を探し始めました。

 でも、現実はそんな甘いものではありません。経験がないということで、金融機関からは門前払いでした。求人広告に応募しました。人材紹介会社にも登録しました。人事部に直接、履歴書を送ったりもしました。でも、あまり効果はありませんでした。

 求職を始めてから半年くらいたったころ、人材紹介会社からある米国系メーカーA社への面接のお話をいただきました。「面接の練習だと思って行ってみたら?」との勧めに気軽に応じ、無事に採用のお返事をいただきました。でも、それは私が目指している金融の仕事ではありませんでした。

 人材紹介会社からは「金融機関は、あなたを面接の候補にも選んでくれないのよ。このままだと難しいわね。でも、A社は採用すると言ってくれているんだから、お世話になったら?」と、ごもっともな意見も聞かされました。

 そこで登場したのが、ダンナさんです。「金融機関に勤めるのが目標じゃなかったのか? そんなに簡単に諦めてもいい目標だったのか? 何がネックなんだ? お給料か? お給料だったら、金融機関に勤めるようになって能力を発揮できれば、一般的な仕事の何倍もお給料をもらえるようになるんだぞ。あと3ヵ月がんばってみよう。それで上手くいかなかったら、その時また考えよう」とサポートしてくれたのです。話し合った結果、もうしばらくがんばってみることにしたのでした。

 その甲斐あって、しばらくして人材紹介会社から、「D銀行さんから面接の連絡がありましたよ。よかったわね。この銀行さんは、これまで何度か面接はしたんだけど、いい人が見つからなくて…。そこで、『金融の経験はないけど、とても優秀な人がいますよ、一度面接だけでもいかがでしょうか?』って言ったら、やってくれることになったの」と連絡がありました。

 そうして、1次、2次と面接を通過し、D銀行に無事に採用されることになりました。メガバンクのロンドン支店の中にある、本店付の国際資金為替部です。希望通りのディーリングルームの中の「為替先渡取引(フォワード)」部門でした。

 ディーリングルームは「切った張った」の、どちらかというと乱暴というか、騒がしい職場です。損失を出し、感情的になって「バン!」と机をたたく音や「叫び声」が聞こえてきたり、怒りに任せて投げた筆記用具が私の目の前まで飛んできて、「ヒエ~」と思うこともありました。そういうことにも動じない図太さが必要な職場ですが、よき同僚や上司に恵まれ、楽しくもあり、また、学びの多いキャリアであり、採用していただいたことに今でも心より感謝しています(自分の事業の口座も同行に作っています)🤗

 さて、長文になりつつありますので、最後に、ソロス氏に感銘を受けた、もう一つの側面をお伝えします。彼は、英国の中央銀行を潰した男といわれる傍らで、「オープン・ソサエティー(開かれた社会)財団」をつくり、東欧の自由化等のためにたくさんのお金を寄付をしていた人でも知られています。裕福層から貧困層にお金を再配分している?みたいですよね。つまり、お金を儲けることは悪いことではなく、儲けたお金をよりよい社会の実現のために使う、ということを実践している投資家、というところがとても格好よく、ヒーローのように思えました😊

 それからン十年、まだまだソロス氏のような「ひとかどの人」には程遠いですが、私なりに人生の最後までがんばろうと、再認識できました❣

 最後までお付き合いくださりありがとうございました。

 


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