これだから公式戦はおもしろい
5/3に第21期新人王戦がありました。結果は2次予選敗退。
とても悔しいのですが、プロとしてとても充実した対局ができたため、今後の備忘録として、重要だった色々な局面をまとめておきたいと思います。
第21期新人王戦について
今年は総参加者数171人の中、3日間で優勝まで決めるスケジュールになっています。特に初日の通過率は非常に低く、171人から16人まで絞るため、通過率にすると9.35%。非常に低い。
その後はベスト16→ベスト8→ベスト4→優勝という風に絞られていくため、まず初日の10%以下の通過率をいかにくぐり抜けるかが重要となる。
抜け番~1戦目
今回自分は1戦目は抜け番で、2回戦目からのスタート。
抜け番中にできることはないかと考え、通過できそうなスコアのターゲットを決めることにした。
過去の協会公式Twitterを遡り、去年の雀竜位戦のF級予選の実績を確認。
+60程度あれば通過できるのではないかというラインを決めて、4回を立ち回ることを心に誓う。
今考えると、通過ラインを決めておくことがとても重要な準備だった。
4回の対局で+60が必要なので、1着は1回は必要。またラスを取ると上がっていくのがかなり大変になる。
※追記
後日大塚くんから下記のようなコメントをいただきました。
実際に柳におけるボーダーを通過した人のスコアを確認してみたところ、
・合計着順7以下の人は全てボーダーを突破(10人/10人)
・合計着順8の人は2回トップ&どちらかが50,000オーバーのトップ(10人/15人)
・合計着順9の人は4人(4人/15人)
という状況でした。
通過を確実に目指すなら合計着順7を目指すというのは結構堅い方法になりそう。
そう考えると初戦or2戦目でトップを取れるとだいぶ楽になりそうだなとなんとなく考えていた。
初戦は8局で終わるスピード勝負でした。
小場で回り続けている中で、細かい上がりを重ねていましたが、みあさんの8000、5200の2回の上がりでトップを取られてなんとか2着。
2戦目の振り返り
迎えた2戦目ではなんとかトップを取りたいと考えている中で、起家の親が1人ノーテンで流れ、東2局は1800点の放銃で迎えた東4局7巡目でこの手が入った。
三色ドラドラの8000点テンパイだが、公式戦では赤がない分、ドラが出てくるケースはほとんどない。
ましてや、5pは出ることは期待ができないので、ツモるしかないのではないかと考えておりリーチをかけるか悩んでいた時に聴牌後1巡目に引いてきた場に1枚切れの1p。
どうしてもトップを目指したかった対局でここを逃したらかなり厳しいなと考えていた中で場況を見ると、ピンズの下はやや高め。
4p引いた時に地獄だが、ダマでも出上がり12000ある1pを優先して、ダマにしてドラを切る。
結果この直後のツモが5pで悶絶。途轍もない後悔があったが、この手は絶対に上がるという強い気持ちを持って、8000以上になりそうな単騎候補を探す。
・場に1枚or2枚切れの字牌候補
統計的には6巡目を過ぎると、1枚切れが、10巡を過ぎると2枚切れ(字牌単騎)が上がり率は高くなるというのをどなたかのYoutubeチャンネル(うに丸さんかヨーテルさんだった気がする...!)で拝見していたので、脳裏に描きながら場を見ると、2枚切れの西or北か0枚切れの白の3択になりそう。
・その他の1,9牌
ピンズの下が高いので1pは微妙だなと思っていたので、待ち変え先を模索。
場を見ると一番良さそうなのは場に8が2枚切られている9s。他は全て微妙。
この時点で、待ち候補は9s >> 西or北 >= 1p = 白くらいの気持ち。
その後、2着目の南家からリーチ。直後白を引く。1pは現物。
1pは待てば拾えるかもと思ったが、場0の白の方が危険と判断し、1p切り。
その次巡、絶好と考えていた9sツモ。場に自分は6sを切っていて、リーチに対して9sは現物。
白をぶった切って、9s単騎リーチに決行。
2巡後にリーチ者から9sが出て、12000の出上がり。
これをきっかけに48100のトップを取り、素点も+70を超え余裕が出てきた。
ここからはこのポイントをキープすることが大事になる。
3戦目のオーラスで思い出した木原さんの一言
3戦目のテーマは不用意な放銃を避けて、連対を死守していくこと。
東場は一切手が入らない中で、他家から先制リーチにようやく追いついた自分のリーチ宣言牌の2択を外した。
ちなみに外した2択はこちら
待ちがそれぞれパラパラ切られていて、見た目枚数は一緒。更に周りの情報もほぼない状態だった中で、場に7sが1枚切れていたため、8s狙いで6m切りをしたところ、69mに刺さった。
これで5200を放銃したりと17300点で迎えた南場だが、起死回生の2000-4000と2600を上がり、なんとか2着で迎えたオーラス。トップとの差は2800点。2本場だったので、500-1000ツモで届く条件。
「ここだけ、神様お願い...!」と配牌に祈りを捧げるとこんな手。神様ひどい。
4sさえ引いて、ツモれば条件達成になるが、字牌の重なりも見たかったため、2巡目に切られた白はスルー。
更に、4巡目あたりから3着目の親が中張牌を切り始めていてかなり怪しい雰囲気。
このタイミングで初めての公式戦だった去年の雀竜位戦F級予選の2戦目のオーラスを思い出す。対局相手に木原さんがいらっしゃったので緊張しまくってた時。1戦目は同期2人と同卓し、プロになって初戦をトップを取りウキウキしていたあとの半荘。
自分の状況は3着目のオーラス。1,2着目とは10000点弱の差、4着目とは2300点差。
自分の手にはこれが入っていた。
2巡目に白が出て、ポン。その後も手が進み、この状態で、4着目からドラ切りリーチがかかる。
ドラをポンして、58s待ちテンパイ。
ツモれば2人捲って、逆転トップ。出上がりでも2着にはなれる状況。だが、立直者から出上がれば3着のまま。
その後、リーチ者の一発牌はなんと8s。出上がると3着のままだし、悩むと他からは出ない。一瞬の判断を求められたが、ツモれば1着あるし、最悪オリ打ちで8sが出てくるのではないかと思い、その時の判断はスルー。
その後、58sが出てくることはなく、引くこともできず、リーチに放銃して4着まで落ちた。
同卓していただいた木原さんに恥ずかしながら、8s出上がるかどうかを聞いたところ、「初戦が1,2着なら出上がる。3着以下ならトップ目指す。」と言われた。
言われれば確かに当たり前かもしれませんが、1局ではなくて、1日のスコアを考えて立ち回ることの重要さをここで知った。
このタイミングでこの会話を思い出し、この半荘のテーマを思い出す。
「トップを取ることよりも、2着を死守することが重要。」
5巡目に出た白をポンし、テンパイを急ぐ。
最終的に他家から出た1000点のロン牌を躊躇なく上がり、2着確定の上がりをした。
1次予選通過と2次予選について
その後の5回戦は他の人の条件を考えながら、連対をすることだけを意識して、立ち回った。結果的に無事に通過。今回はボーダーが71.9というかなり高いラインだったので、60を想定しているのでは足りなかった。来年の参考にしたい。
その後の2次予選では手がなかなか入らない中で森山プロに大きな手を上がられて敗退してしまった。
その中で一つだけ、自分としていい判断ができた局があったのでメモとして残す。
2次予選、2回戦目。1回戦目を500点差の2着に甘んじてしまい、通過には1着 or 2着順以上の差をつけることが必要になっている。
自分は東家スタート。東場は全然いいところなしで、14000点の4着で迎えた南1局の親番。
みーにんさんの「統計学のマージャン戦術」に書いてある、親番の価値は連荘よりも高い手を上がることという言葉が常に頭にある中で6順目にこんな手が入った。
ド高めに変わる1mは場に1枚切れ。上がり牌の2sは場に1枚切れ。リーチすると、出上がり2000。
この親番を捨てられない状況だったが、一切手が入らず、ここで勝負をしないといけないと考えた自分は1m引きにダマを選択。
7巡目に1mが一枚場に捨てられるが、ダマを続行。そして8順目に自分が2sツモってくるが、「親番の価値は連荘よりも高い手を上がること」という信条を守るために、4m切りフリテンリーチを決行。
結果的に10巡目に1mが2枚他家から捨てられて1mが無くなり悶絶。更に11巡目に追っかけリーチが来て絶望。しかし、その後4mを引き、裏も乗せ、2600オールで2着目まで復帰。
結果的に上がれたのはよかったが、一発勝負の場に必要な選択はできたのではないかと思う。
これだから公式戦は面白い
昨日は今までで一番考えて、最後まで打ち切ったので、家に帰ったら疲れ切っていて、気付いたら寝てしまった。
翌日Twitterで2日目に臨む方々を見て、悔しさが湧き出てきましたが、1年目の新人王戦は個人的にはとても意義のある大会でした。
1日を考えた選択や条件を満たすための選択はプロになったからこそできる経験だなと思った。
プロの試合では純粋な雀力はもちろんのこと、ポイントを意識した立ち回りも雀力と同じくらい重要になることがわかった。
今回は前半でポイントがプラスになった時の立ち回りを経験できましたが、マイナスだった時の立ち回りはより難易度が上がりそうだなという感覚があるので、そういう立ち回りもたくさん練習しないといけないなと思った。
以前より仲良くしている大塚パイセンが同期の平井くんへリプライをしてましたが、入会期を跨いで勉強会とかできる場があれば是非参加したいと思っているので、同期はもちろん、先輩や後輩の方も是非練習会やりましょう!(友達少ないので誘ってもらえると嬉しい!!)
新人王戦は負けたけど、プロになって麻雀の楽しさに触れられてよかったと思える素敵な公式戦でした!!
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