20代のキャリアに関する定説について
現在某外資系IT企業で働いている岡林と申します。
私は20代のうちに、
・就活浪人
・転職活動2回
しており、その度にキャリアについては自分なりに悩んできました。
「転職活動 コツ」とかでググったり、周辺の先輩や経験者に相談をしたりと、色々な手段でキャリアを考えてきました。
その中でもキャリアに関する定説というのは特に厄介な存在で、「一般的にはこれが正解です」という大多数の方が選ぶ選択肢だから正解のような論調がキャリアにも存在しています。
このnoteは僕が30歳になる1日前に執筆しており、いくつかのキャリアに関する定説の中で、自分が20代で経験してきたことと異なる印象を受けたことについて書きたいと思います。
このnoteの想定読者について
キャリアに関する悩みを抱えた20代の方を対象にしています。
具体的には、
・就職活動中の大学生
・社内におけるキャリアの積み方に悩む新卒1~5年目程度の方
・転職を考えているけど動き出せない方
・その他キャリアに悩んでいる20代の方
のような人たちに向けて、何かキャリアに関する意思決定をする手助けになればと思って書きたいと思います。
定説1. 失敗しないためにやりたいことを見つけた方が良い
A. やりたいことは後からでもいい。まずは得意なことを見つけて、社会に出てから伸ばしていく。
「やりたいことを見つけなさい」
自分が就活生の時にたくさんの人に言われた言葉です。そして社会人7年目の今でも答えられないので、実はかなりの難問だなと思います。
確かに面接では「なぜあなたは弊社を志望するのですか?」とほぼ100%聞かれるかと思いますし、そのためには「自分はこういう仕事をしたいからです」と答えるかと思います。
自分の経験を振り返ると、僕の学生時代は部活に打ち込んだり、バイト頑張ったり、友達と遊んだりと結構「やりたいこと」が目の前にたくさんあって、毎日が充実していました。しかし、いざ真面目に社会に出て自分がやりたいことはなんだろうと考えても全然わからない。そもそも自分って何ができるんだ?どんな選択肢があるんだろう?みたいな目の前が真っ暗になる感覚を覚えています。
そんな中で無理矢理作り出したやりたいことを元に就活をしたのですが、いくつかの内定はもらったもののどれもしっくりこない。モヤモヤした感覚が自分の中から拭えなくて、全ての内定を辞退し、親に平謝りをしながら半年間大学を延長して2回目の就活をしました。
2回目の就活は1回目の時にはいかなかったサマーインターンやたくさんのOB訪問をしてみたり、就活生の面接バラエティに出たりと様々な活動をしてきましたが、その中で見えたものとして「社会人ってチームスポーツのことが多いな」ということと、「自分が得意なことが苦手な人も意外といる」ということに気付きました。
現在自分は社会人7年目になりますが、この時の自分の気付きは人生において最も重要な考え方になっていて、よく就活生の時に気付けたなと褒めてあげたい。ヨシヨシ。
例えば自分は数学科出身なので、数字に関する感覚が強かったり、多少プログラミングが出来たりということなのですが、もちろんそれらが苦手な人もいます。エンジニアとして働くとそれらは当たり前のスキルになりますが、営業職として働くとそれがセールスポイントになる(ことが多い)。苦手な事務作業は先輩にフォローしてもらいながらゆっくり進めていく。
この考え方は学校教育の中では教えてもらえない社会の重要な仕組みの一つです。受験勉強を例としてあげます。受験では複数の科目でテストを受けてそれらの合計点がボーダーラインを超えれば合格、超えなければ不合格のような仕組みをとっています。
ということは、国語で取った「1点」と数学で取った「1点」は同じです。
また、受験では満点が決められています。
それらの仕組みから先生たちは「苦手教科を克服しなさい」という勉強方法を強く押し、平均点を上げることを目標に課します。
しかし、社会においては同期の中でもそれぞれ個性があります。自分が得意なこともあれば、苦手なこともあり、それらを周りの人たちと補い合いながらチームで動きます。
これは点を取ることが得意な人もいれば、守ることが得意な人もいるチームスポーツと同じです。であれば、「私は点を取ることが得意です」と言える人はチームにとって重宝される存在です。
就活生の時に「私はSQLやPythonを利用したデータ分析ができます」といった具体的なスキルとして答えられる人は少ないと思いますが、「私は自分で意見を出すよりも出てきた意見を整理してまとめることが得意です」のような粒度でしたら考えられるのではないでしょうか?
また、StrengthFinderのような強みを客観的に整理してくれるフレームワークもあるので、そのあたりから自分はこれが強くて、これが弱いんだということを知り、それを自分のセールスポイントとして伸ばしていくのが自分にとって納得感のあるキャリアを歩む一歩だと思います。
定説2.大企業は社会的信用と待遇、ベンチャーは裁量と成長スピード
A.違いは2つ。1つの仕事におけるスピード感と仕事を「与えられる」か「自ら作り出す必要がある」かが大きな違い
これもよくある論点の一つですね。僕も悩んでいる方にはよく質問されます。
ここでは定説に対しての論調を簡潔に語ることが目的のため、それぞれの定義は省いて説明したいと思います。ざっくりよく耳にする大企業とベンチャー企業と思ってもらって大丈夫です。
僕は新卒同期15人という割とベンチャーよりの会社を1社目に経験し、今はグローバルで10万人(?)近くの従業員がいる大きな会社で仕事をしています。
その中でキャリアの意思決定をしてきた時に感じるのは、昔ほど仕事におけるハード面(オフィスや給与/福利厚生などの待遇)に大企業とベンチャー企業において差がなくなってきたことです。
例として、僕の古巣のメルカリは会社設立から8年というゴリゴリのベンチャーですが、どんな大手企業も導入できていないとても革新的な福利厚生をいくつも打ち出しています。
では、どこに差があるのかというところですが、僕の経験では2点あります。
1つ目は仕事におけるスピード感の違いです。
仕事におけるスピードというのをもうちょっと砕くと、物事が決まって、実行されるまでのスピードというイメージです。
これは基本的には「意思決定のスピード」に依存するかと思います。この意思決定のスピードが大企業は遅くて、ベンチャーは早い。
これには理由があって、ベンチャーは大企業よりも事業がコンパクトなことが多く、ステークホルダーが少ないです。そのためたくさんの方々の意思を統一するという非常に難易度が高い作業の負担が軽くなるため、決まった物事をローンチするまでのスピードが速くなります。
2つ目は仕事の発生の仕方です。
大企業の場合、すでに大きな顧客やサービスが既にあることが多く、その中で課題解決をしていくケースが多いのかと思います。
例で、私の奥さんが以前大手広告代理店のグループ会社に勤めていました。その会社は大元の広告代理店の顧客が抱えるデジタル部門の課題解決を行なっており、顕在化されて定義された課題を扱うことが多かったようです。
それと異なり、ベンチャー企業の場合は出来て間もない会社なので、顧客がいるわけでも無いですし、素晴らしい完成されたサービスがあるわけではありません。そのためどこが課題なのか、どこを伸ばすとサービスはグロースするのかを定義するところから仕事をする必要があります。
これはよくいう0→1なのか、1→100なのかというところですが、ベンチャーの場合、大体の仕事が0→1が多いイメージです。
以上の2点に違いはあるのですが、これはどちらが良いということではなく、どちらの仕事が得意か、どちらが充実感を感じられるかという個人の価値観によるところかと思います。
これは余談ですが、生まれてきてすぐには価値観は全員平等だと思っていて、価値観形成は自分の育ってきた周辺の環境に依存すると考えてます。なので、自分の価値観を探索したいときは過去を振り返って、自分はどういう環境で育ち、どんな経験をしてきたかを考えてみるのが良いかと思います。
定説3.同じ会社には最低3年いた方が良い
A.3年という数字に根拠はない。自分が成長したいと思っていて、今している仕事に対して、居心地いいなと思ったら転職する時。
Google検索でもこんな感じで出てくる有名な定説です。
この3年という数字には「1つの仕事を理解するのにかかる期間」、「企業の教育コストを回収する期間」、「石の上にも三年から」などと諸説あるようですが、個人的にはいつ転職をするかに年数は関係ないと考えております。
ネガティブなものを除いた転職理由の上位に「スキルアップ/キャリアアップをしたいから」があるかと思いますが、成長をするときとはどのような時でしょうか?
これについて最近ローランドさんがテレビで発言していたことに共感できたので引用させていただきます。
つまり、成長機会において人は緊張するものだと思います。
居心地がよい職場や仕事というのはいくつかの要素がありますが、業務において緊張がなくなった時には成長はないと考えています。何故なら同じ仕事はもちろん、たとえ異なる仕事をしても今までの経験の中である一定先がわかっていて見込みがつく仕事だからです。そのような仕事の場合、すでに得た経験やスキルの中だけで片付けられることが多いため、残念ながら成長には繋がっていません。
常に緊張するような環境に飛び込み、場数を踏んで緊張しなくなったときにそこで得た経験や知識、スキルが自分の血肉になっています。
緊張する環境を求める上で今の会社にその場所がなくなった、もしくは求める環境が別の場所にあることがわかっているときに転職を考える、もしくは転職するのではないでしょうか?
よって転職するきっかけは時間ではなく、状態の変化です。そのような状態になるまでにかかる時間は人によって異なります。今までに多くの経験をしてきた人はそのような状態になるまでの年月はかからないかと思います。
読んでいただいている方には転職を考えている方もいるかと思うので、上記を踏まえて意思決定してみるのはいかがでしょうか?
定説4.成果を出して、プレイヤーを極めればマネージャーになれる
A.マネジメントはスキルの一つ。昇格してなっていくものではない。
僕が新卒でいた会社は、サイバーエージェントグループの一つで、新卒2年目からリーダーやマネージャー、Maxで子会社社長とかになることができるとてもチャレンジングな環境が用意されていました。
その環境では、「最速で結果を出して、グレード(職位)をあげていく」ことが個人における最大のミッションとなっており、また給与もグレードに紐付いているため、昇給を目指す上でも重要な指標です。
社内のキャリアにおいてもグレードを上げて、チームのマネージャーとなりレポートラインを増やしていくことが王道ルートとなっていましたので、自分も頑張って、当時最年少のマネージャーまでグレードを上げてました。
これはその時の自分の完全なる勘違いだったのですが、マネージャーになった人はマネジメントができる人で、プレイヤーを極めた人がマネージャーに上がるので、プレイヤーを極めたらマネジメントができるようになると錯覚しておりました。
この考え方が間違いだと気付いたのは、2社目のメルカリに転職した後のこと。メルカリではとても優秀なBI(Business Intelligence)チームの方々とお仕事をさせていただくことが多く、その方々と会話をさせていただいた時に気付きます。
一緒にプレイヤーとして仕事をさせていただいた方々は、みなさん前職ではマネージャーだったのです。(この記事めちゃめちゃ大好きです)
この記事の中で、大好きな先輩の永井さん(hizaさん)がおっしゃっているのですが、「僕は、マネージャーもプレーヤーも1つのロールでしかないと思っています。」という言葉の通り、メルカリにおいてマネージャーは昇級した先ではなく、役割という考え方でした。マネージャーをやる人は、マネジメントスキルを持っている人なのです。
トッププレイヤーとしてのキャリアがあるということはとても大きな発見の一つで、今自分がいる外資の会社もプレイヤーとしてのキャリアの幅がとても広い会社です。マネジメントレイヤーにならないと高い給与をもらえないのではなく、トッププレイヤーにこそ高い給料を払える会社は素敵な会社だなと思いますし、昨今そういう会社が増えてきているのではないかと思います。
マネジメントスキルについてはたくさん本も出てますし、自分もマネジメントをしてみたいと思った時にはそういったものを使い勉強をしてから、マネージャーになりたいと思います。
最後に
今22時なのであと2時間で日付が変われば30歳になるというのは悲しみ半分、ワクワク半分という気持ちです。
まだまだ語りたい定説はあるのですが、これらは間違いなく自分が経験してきたことと異なるものだったので、まとめて語ってみました。
そして無意識に10XのYamottyさんが以前登壇されてた「10Xのための逆説」みたいな文章になってしまった。この文章大好きなんです...!
完全余談ですが、尊敬するマーケターお二人が書いた「アフターコロナのマーケティング戦略 最重要なポイント40」も好きで、論点をまずは出して、それについて語るという文章がとても読みやすくて面白い。
4年生の大学に通った(通っている)方であれば、20代って大学生から始まるので、誰しも20代の10年間では価値観の変化や人生において公私含めて重要なターニングポイントがいくつかあるかと思います。その中で10年ってあっという間に終わってしまったなという感覚が今はとても残っていて、もっと充実させることはできたのではないかと考えてしまいます。
そんな中で、SmartHR CEOの宮田さんが2年くらい前に書いていたブログを当時読んでから自分は行動を変えられたので、それを最後に紹介して締めます!
ありがとう20代、これからよろしくお願いします30代!
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