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#45 40代パニック障害経験者の就活(完)
今回は就活のまとめを書きたいと思います。
この記事は就職から3ヵ月が経過してから作成しています。
記憶の薄れが否めませんが、3か月間働いたからこそ見えるものもお伝え出来たらいいなと思います。
かなり長文になりましたが、よろしければ最後までお読みいただけると幸いです。時間がない人は下の見出しからポチッとワープしてくださいね。
就活期間について
私はパニック障害で1年半の療養期間を経て、2023年3月1日にハローワークに求職登録をして就職活動を始めました。社会復帰へのスタートでもあります。現在の職場に採用が決まったのが翌月4月10日、約1ヵ月間の就職活動でした。
その間に応募した企業は4社(選考プロセス:面接のみ2社・書類選考→面接2社)でした。それとは別に職業訓練の選考を1回しましたが、選考結果が出る前に就職が決まったのでお断りしました。
タイミングや人の相性も実力のうち?!
40代という年齢と療養期間を経ることを考えれば約1ヵ月で就職が決まったことはすごく幸運だったと思います。
運も実力のうち?!
運も実力のうちなんて言いますがあながち間違っていないのかもしれないとこの就活を通じて強く感じた事です。
自分の実力だけで得た就職ではないことはもちろんですが、わたしの2023年の運を全て使い果たしたとしたならば、その運を就活で発揮する実力は持っていたようです。(伝わってるかな?ww)
運が良かったと思うこと
①就活を始めた時期が年度末で求人が比較的多かった
②ハローワークの専任担当制度の利用を認められた
③専任担当者との相性が良かった
ハローワークの専任担当制度は求職相談から応募、その後のフォローまでひとりの担当者が通して対応してくれる制度です。ただし求職者全員が利用できるわけではありません。
まずは求職者が専任担当制度を利用するか希望を出したうえで、利用したほうがいいと判断された人が使える制度です。
私はただの転職ではなく「社会復帰」という大きな目標があったので専任担当制度の利用を認めてもらったことはとても運が良かったと思います。
※この制度についてはハローワークでしっかり確認してくださいね
専任担当者と好相性だったことが就活期間を短くさせた?!
わたしは求職登録をした時点ではすぐに就職しようなんて考えていませんでした。職業訓練制度もあるし失業手当を貰いながらゆっくり探せばいいやって。だから就活に対する考えは本当にやる気ある?といったスタンスでした。
わたしの就活スタンス
A.社会復帰の始めかたから教示してもらう
B.やりながら方向性を決めていく(はじめから型にはめようとしない)
C.ノープラン
専任担当者とのやりとりは非常にスムーズでした。
担当職員さんのプライバシーもあるので詳しく伝えられないこともありますが、個人的にはとても話しやすく、ざっくばらんに言いあえる、サッパリした性格(とわたしは思っている)、距離感がちょうどいい(ちょっとおせっかいだけど引きどころが絶妙)、うまく背中を押してくれる、わたしが弱気になっている時の軌道修正が的確。
感覚の部分が大半を占めるので、いま挙げたことはあくまでも私個人が良かったと思えることで、全ての人にはあてはまりません。
・自分の考えに寄り添ってくれる(四角四面ではない/事務的ではない対応)
・本音(現実)と建前(理想)を見抜いて良い方向に導いてくれる
・弱気になった時の軌道修正
ただ、ハローワークで一連の就活をしていくうえで、この3つはすごく重要だと考えます。
療養期間が長くなるほど社会から遮断される期間が長いわけですから、社会復帰への不安は尽きません。
私は前職をパニック障害で退職しているので、前職の「事務職」なんかもうやりたくないと思っていましたし、軽作業や掃除の仕事をやって、できるだけ人と関わらない仕事に就きたいという思いがありました。
専任担当者は一度は聞き入れて、そういった求人票を出してくれましたが、人と関わらない仕事なんて存在しない、事務職のキャリアを生かさないのはある意味「逃げ」だと諭されたこともあります。
企業面接を2連続で不採用になり、そう簡単にはいかないと頭では分かっていてもショックで、職業訓練を受けて就活から一度離れようと思った時も、就活の実績を積みながら職業訓練と並行して進めればいいじゃん!と弱気な部分も受け入れながらもうまく軌道修正してくれました。
いくら社会復帰がうまくいくようにじっくり時間をかけて就活をしていきたいということはハローワークに行くたびに伝えていましたが、生きていくためにはお金が必要です。失業手当と自分の蓄えだけではそうのんびりしていられないことも事実です。どこで折り合いをつけるか難しい選択もしっかり耳をかたむけて一緒に考えてくれました。
私をうまく転がしてくれる人に出会えたから就活が順調にいって短い期間で終われたと思います。
こういう相性が良い人と出会えたことも運が良かったと思います。
精神疾患は許容されない事実
これは本当に受け入れなければいけない事実です。
私は前職で採用面接の様子を見たり、職務上履歴書や職務経歴書の管理などをしてきました。現在の職場では直接かかわっていませんが、職務上書類を目にしたり面接の様子を聞くことがあります。
そのなかで「まだまだ精神疾患は社会復帰の妨げになっている」という事実を受け止めなければならないのです。
これまでの就活記事でも書いてきましたが、改めて就活における「精神疾患」の事実とどう向き合うか、どう伝えていくかというところで、自分の実践を記したいと思います。
どんな課題があるか
中途採用は欠員補充で採用するケースが大半なので「即戦力」としての活躍を求められます。
採用したからには長く勤めてもらいたい、(言いかたは悪いですが)すぐに辞められては採用にかかった時間や費用が無駄になるわけですから、辞めそうなリスクを抱えた人は採用しづらいのです。
自分が当事者になり就活をするうえで一番の課題になったのは
・精神疾患というワードを出さずに病気や療養をどう伝えるか
・不利な部分の印象をいかに薄めるか
でした。ここでも専任担当者の知恵に助けられます。
嘘も方便
私は事実を少しだけ解釈を変えて伝えました。
現在も婦人科の治療中ですが、その治療の中で体調を崩して働くことが難しくなった。体調を崩した症状の中のひとつに気分に波が出たこともあった。投薬治療や定期通院を経ていまは仕事ができる状態まで回復した。
まぁ、大まかにはこんな内容です。
婦人科の定期通院が現在も続いていることは事実です。
その影響で体調を崩すことがあることも事実です。(例えば生理痛やPMSなどメンタル面に影響がでるようなもの)
パニック障害をそこに置き換えて、事実ではあるけど、一番の起因はそこじゃないんだよねぇ、、、といったことです。
採用する側はおりこみ済み
嘘も方便は専任担当者のアドバイスでしたが、それと同時に「採用する側はその辺はおりこみ済みだから、面接で質問されたら堂々と話せばいいよ」とおっしゃいました。これは就活するうえでかなり安心材料になりました。
完全な嘘は虚偽申告になるのでダメ、ゼッタイ!ですが、社会生活を送るうえで自分にかかる負荷を少しでも抑えるために、事実を自分に都合よく解釈して伝えることは「方便」と言ってもいいのかなと感じます。
専任担当者もおっしゃったように、採用する側だってわかっていると思います。採用してもらいたい人が自ら不利になることをあけすけに話すことはないと感じているからです。
もっとも働ける状態まで回復していることが大前提ですが、自分を守るためにも創作ではない嘘は「必要悪」と割り切って就活を進めることも大事だと思います。
休んでも大丈夫
就活中に一度体調を崩して数日廃人になりました。就職後も疲労が蓄積して1日半休みました。それでも就職できたし、3ヵ月間仕事も続けられました。
それは、「絶対に無理しない」って決めていたからです。
就活中の体調不良
就活中に体調を崩したのは、2社連続で不採用になった後です。
2社ともダメなら職業訓練の申込みをするということで話がまとまっていたのですが、職業訓練の申込みに少し時間が空いたことで、知らない人と顔を合わせることの連続で緊張が続いた疲れが9割、(分かっていたけど)不採用のショックが1割で一気に動きたくなくなりました。
療養中に逆戻りしたような恐ろしい感覚でした。
起き上がれない、倦怠感、暴飲暴食などが一瞬で襲ってきました。
だけど、絶対に無理しないって決めていたので、襲いかかってきたものはすべて受け入れ、その流れに逆らうことなく時が経つのを待ちました。
不思議なことに抗わないと少ないダメージで済むようで2日ほどでひどい状況は解消しました。
更に数日後、職業訓練の申込み準備のためにハローワークから呼び出しがあったので体調はイマイチでしたが行ってきました。
そこで専任担当者から職業訓練と並行して就活もする提案をしていただき、うまーく丸め込まれて言われるがままに動き出しました。
息つく暇をあたえず就活が続いたのは、わたしのダメージを最小限で抑えることにつながり結果的に良かったと思います。
ここでも専任担当者に助けられます。体調を崩していたことは言わなかったので、いろいろ良いタイミングが重なったのでしょう。
就職後の体調不良
就職してひと月経つ頃でした。
突如、倦怠感とめまいが襲ってきます。
実は現在の職場は、業種特有の事情で物理的な労働環境が良くありません。
更に(入社した)5月の天候も追い打ちをかけて、倦怠感とめまいの他に熱中症のような症状が出て一瞬椅子から立ち上がれなくなります。
このままだとヤバいと察しました。
上長に事情を話して午前中の仕事を終えてお昼で帰宅させてもらいました。翌日も仕事に行けないほどではありませんでしたが、大事をとって休ませてもらい、念のため主治医のところにも行ってきました。
ここでも「絶対に無理はしない」を行動にうつしました。
主治医からは「疲れだね」
これだけでした。処方された薬もなし。もし翌日も体調がすぐれないなら無理して仕事に行かないようにクギを刺されて帰宅しました。
私は特別肉体的な疲れを感じていないし、職場でも事情を汲んで仕事をさせて頂けたので心的な疲れも感じていませんでした。睡眠もしっかりとれていました。(おそらく肉体疲労が心的疲労を勝って眠れていただけ)
そこが落とし穴!本当に気を付けてください!!
熱中症で体調が悪くなったと思い込んでいました。
たまたま違う症状が出て小さな異変に気付けたから良かったものの、根本の原因で疲労を認識できなかったのです。
もし快適なオフィスで仕事量も負荷にならない環境だったとしても、確実に疲労は蓄積しています。そして気を張り続けて無意識のまま緊張状態が続いています。パニック障害を悟られまいと行動しています。
SOSを出しています
たぶん社会復帰をするほとんどの人がこう感じるのではないのでしょうか。
一日も早く仕事に慣れよう職場に溶けこもう
一日も早く社会復帰をしてバリバリ働きたい
無理をしないと心に決めていても、療養の逆戻りはしたくないし、社会生活に戻るならば自然なことだと思うのです。
ただ、そこには落とし穴があって前に進もうと意識するあまり小さな異常を見過ごしがちです。
ちょっと考えればわかるんです。
体力も落ちて、人との関りが極端に少なかった環境から、いきなり8時間フルタイムで月曜から金曜までしっかり働いて、いろんな人と顔を合わせて仕事をすることがどんなに困難なことか。
だけど実際に仕事をはじめれば、置かれた環境に適応しなければなりません。自分の状況なんて関係ありません。
そこで無理が生じるのです。小さな異常を見過ごすのです。
社会復帰に前のめりだと気づきが遅れて、結構心身に負荷がかかってから気づくこともあるかもしれません。それだと療養前に逆戻りしてしまう可能性が大きいです。
からだは正直です。なんらかのかたちでSOSを出しています。
そこに気付けるように日頃から「無理してない?だいじょぶそ?」って自分に問いかけましょう。
休んでもいいんです
就活中も就職後も休むことがありましたが、こうして就職もできたし、仕事もわたし一人いなくても回るんです。
社会生活に適応するには心身に負荷がかかります。
その負荷が小さいうちに気付いてリカバリーすることがとても大事なんだって感じました。
そして、現れた異常には決して抗わず、からだやこころがしたいようにさせてあげましょう。そのほうが元に戻るまでの期間は圧倒的に短くて済みます。
そこがパニック障害とうまく付き合う手段のひとつなのかもしれません。
しっかり療養することが早期社会復帰への近道
最後になりますが、自分で記事を作成しながらこんなことを感じました。
長期間療養したのに一ヵ月で就職できるとかマウントとってんのかよ
なんて。たしかに表現には気をつけているけれど、多少のマウントは含みますwwこんな幸運はそうそうありませんから今だけはマウントとらせてください。気分を害されたかたにはお詫び申し上げます。
最初に書きましたが、「運も実力のうち」はあながち間違っていないんです。大事なことなのでもう一度いいました。
就活を始めるタイミング、ハローワークの担当者との相性、求職者と人材を求める企業のマッチング、全てがハマったのです。
一番大きな要因は、長期間になるリスクを恐れずしっかり療養できたこと。これに尽きると思います。
一度は療養半年で社会復帰をしようとしましたが、就活を始めようとした矢先に体調を崩し失敗。主治医にもしっかり療養をとることを強く言われました。
不安も尽きませんでしたが、時間が経つとそんなことを忘れてしまい、休みを満喫していました。
療養って症状が良くなれば治ったとはなりません。
それは治療の一部です。更にしっかり休む時間をとって、人として楽しいことを楽しいと思える、当たり前のように笑うことができる、知らない人と話すことができる、自然に出かけようと思い行動にうつす。
こういうことができて、自然と「働こう」って思えた時が社会復帰への一歩を出すときです。
改めて言いますが、個人的見解としては精神疾患は寛解しても完治しません。一生付き合っていくものと思っています。
だからこそしっかりと療養することが大事なんです。
焦って「早く社会復帰しなくちゃ」ではなく
自然と「仕事したい」って思える、ここが重要だと感じます。
じゅうぶんな療養が早く社会復帰できる近道ではないでしょうか。
6,000文字以上に渡る長文をお読みいただきありがとうございました。
後日、職業訓練について個人的見解の記事を出す予定ですが、私自身の就活の話はいったん区切りにしたいと思います。
今後は就職後、パニック障害とどう付き合いながら仕事をしているのか、定期的にお話できたらと思います。