仮面ラヰダーYEBISU(仮)第二回

以前見た夢を換骨奪胎。

 フレンドリーモータースにて博士と吾郎の会話。

「代官山くん、率直に言うが、人と金がない」
「モノもないっすよ。あんた俺の竹内まりやのベスト盤メルカリで売っただろ」
「まずは寄付が必要じゃの」
「スポンサーすね。景気が良くて体裁気にする企業についてもらえばいいじゃないすか。そこらの環境保護や動物愛護団体みたいに」
「ところがじゃ、その、暴力で解決ってのがどうも印象が」
「えー。代々ライダーってそういうもんすよ。パンチとキックで泪橋を渡ってきたんすよ」
「最近はコンプラとか色々あるらしいんじゃ。そこでは、たまには交渉で解決できんかの。話術については考えがある」
「おいおいまた脳いじる気だよ」
「くわえて声帯と横隔膜も調整するぞ。小粋で洗練されたトーク力に、信頼と力強さをイメージさせるナイスボイスが合わされば、田舎の市議くらいならすぐに当選可能に」
「ラガーシャツ着たりのぼり立てて自転車漕いだりぜってーしねえから。あと、政治で儲けた金は政治に消える=票を買うのに使われる、って曾祖父さんが言ってたし」
「チンピラのくせに妙なところでまともじゃの。となればやはりドネーションか。SNSではビューはそこそこなんじゃが、今ひとつマネタイズにつながらん」
「ようつべの料率改定が痛かったすね」
「そこでじゃ。わしに秘策がある」
「まあ脳改造以外なら聞きましょ」
「少年ライダー隊の復活じゃ」
「えー」
「小さなお友達のライダーへの忠誠心は素晴らしい。誰が見ても、こりゃあないじゃろっていう無茶な設定の新ライダーでも一ヶ月もすれば安定の視聴率、堅調な玩具売り上げ、後楽園は満員」
「いや、制作スタッフはじめ大勢が頑張った結果だって。うちと違って」
「西武沿線に育った子はいつまでもライオンズファンと言うじゃろ」
「あんた西鉄とかクラウンライターって聞いたことない?」
「子供の頃から抱え込んでおけば、彼らが大きなお友達になってから散財が期待できる。特に可処分所得が増える五十代からが回収期じゃ」
「気の長い話というより気がおかしい話だな」
「秘策もある。新規のお友達を紹介するたびに会員費のバックがあって、そのお友達がまた新規を連れて来れば(自粛」
「そう言うのなんつったっけ。えびす講じゃないやつだな」
「といってる端から、東口ロータリーでギガショッカーの駐車違反じゃ!」
「荷下ろしくらいさせてやれよ。お互い様じゃないか。と思いつつも『とうっ!』」

次回、「懐古!青年ライダー隊」へ続く。


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