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歳時記を旅する59〔梅〕後*梅真白荼毘の炎の地鳴めく
磯村 光生
(平成八年作、『花扇』)
大伴旅人は太宰府に着任してまもなく、同行の妻を亡くしている。
「梅花の宴」の酒宴に場違いのような山上憶良の歌「春さればまづ咲く宿の梅の花独り見つつや春日暮さむ」(巻五・八一八)は、憶良が今日の宴の主人である旅人の気持ちになり代わって詠んだ歌であると言われる。
古代の葬儀は、屍を収めた棺を一定の間、喪屋に仮に安置する、「殯(もがり)」という死者の霊魂を慰め復活を願う儀礼を行ってから埋葬した。
句の音は、火葬炉のバーナー、排気ファン、燃焼ブロワーの音だろう。
死者の蘇生も復活も諦めさせる悲しい音。
(岡田 耕)
(俳句雑誌『風友』令和六年十二月号「風の軌跡ー重次俳句の系譜ー」)
☆たかしーの さんの山上憶良のプロフィールのご紹介記事です。
わかりやすいです。「春されば・・・」の歌の説明もされています。