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人の命は「石鹸玉」
【スキ御礼】鑑賞*しばらくは人の高さを石鹸玉
十六世紀の西欧の絵画では、シャボン玉が人の命の儚さの象徴として描かれています。
これは、古代ローマの諺「人間は泡沫である」homo bulla、「人間の命ほど壊れやすく、束の間で、空虚なものはない」という人生観に基づいたものだとされています。
それを表す実際の絵画をご紹介できないままでしたが、Nao Masunaga さんが、イタリア ペルージャのウンブリア国立絵画館で催されたシャボン玉をテーマにした特別展のレポートの中で紹介されています。
紹介されている作品のタイトルからもシャボン玉に託された人生観、世界観が伝わってきます。Nao Masunaga さんの記事から抄出しますと、
フランドルの画家ヤン・ブリューゲル(子)(Jan Brueghel il Giovane; 1601-1678)による『人間の生の儚さ』(La Vanità della vita umana)(1631)。
オランダの画家カレル・デュジャルダン(Karel Dujardin; 1622-78)作「シャボン玉を吹く少年」(Boy Blowing Soap Bubbles. Allegory on the Transitoriness and the Brevity of Life; 1663)。
オーストリア生まれの画家イグナツィオ・シュテルン(通称ステッラ)(Ignazio Stern(Stella);1679-1748)作『シャボン玉を吹く子供(虚無)』(Putto che fa bolle di sapone (Vanitas)(1730)。
フィレンツェ生まれの画家ジュゼッペ・ゾッキ(Giuseppe Zocchi)の絵を基にした貴石博物館(Galleria dei Lavori in Pietre Dure)の『風の寓意』(Allegoria dell'Aria)。
近世のものでは、
無名の風刺画家が描いた『ナポレオンの侵略』(Le conquiste di Napoleone;Napoleone gioca insieme al figlio con le bolle di sapone; 1814-15)。
これに描かれたシャボン玉には、ナポレオンによって侵略された地域の名が一つ一つに書かれていて、これはナポレオンの権力の脆さ、儚さが象徴されているというのです。
貴重な作品画像のご紹介に感謝です。
(岡田 耕)
*参考文献
森洋子『シャボン玉の図像学』未来社1999年
写真/カレル・デュジャルダン「シャボン玉を吹く少年」imgurl:https://assets.st-note.com/production/uploads/images/11612212/rectangle_large_type_2_32b91d1589e557f4186fdfdcef37c7cb.jpeg?width=800 - 検索 (bing.com)