歳時記を旅する53〔敗戦忌〕後*浦上の黒きマリアや晩夏光
磯村 光生
(平成十八・十九年作、『千枚田』)
長崎の浦上教会は原爆により壊滅したが、マリア像の頭の部分だけが後に発見された。頬と髪も焼け焦げ、ガラス製だった眼球は溶けて黒い空洞になっている。
昭和三十三年、長崎に転勤になった兜太は、当時の付近の様子を、「全壊の浦上天主堂があり、顔だけの天子像が瓦礫のなかで空を見ていました。」と述懐している。(同著)
句は、夏も終わりの原爆忌の前、強い日差しが生む影と、マリア像の目の黒さが、重い。
(俳句雑誌『風友』令和六年八月号「風の軌跡ー重次俳句の系譜ー」)
(岡田 耕)
☆「被爆マリア」の画像に関する情報を 俺だけマンデラエフェクト(,,゚Д゚) さんが記事にされています。
ご紹介します。