チャッターアイランド vol.1

 『チャッターアイランド』(仮)はDJ/プロデューサーのokadadaとDJ/ライターのshakkeがしゃべったことを記録する、という趣旨のテキスト/音声コンテンツです。


ほんまこれなんなん?

shakke まだ10分くらいしかしゃべってないのに、けっこうブーストかけてますね。
okadada ほんまこれなんなん? 前回でこれなんなん? って話をしてしまったがゆえに、いきなり普通にいつもしゃべってる感じになってんねん。なんですか、これ。
shakke これは岡田さんとわたしが放談……好き放題しゃべって、それをテキストにしてっていう。で、音声は有料とかにして、聴きたいひとは聴けるようにしようかと思って。まぁ初回はお試しで全部公開して、2回目以降はそういうシステムにしてもいいかなって思ってます。
okadada それやったら、このオープニングはもう最悪ですよ。
shakke ハハハハ!
okadada この10分で“うるっさいわ、こいつら”ってなってるひとばっかですよ。
shakke でも、いきなり我々のデフォルトを突きつけるっていうね。ここから振るい落としがあり、残ったひとだけが……。
okadada 振るい落としてどうする? つかめ、まずは! つかむのちに振るい落とせ!
shakke そういうのはずかしいじゃん、やっぱ。
okadada まぁまぁまぁ、たしかにそういうことでやってもしょうがないというか。我々がしゃべるのをダラダラ配信するとしても、芸人さんとかみたいにちょっとした日常の笑いを提供しようと思ってやってるわけではないじゃないですか、はっきり言って。
shakke そうそうそう。
okadada 需要があるからとかじゃなくて、単純に普段しゃべってることを残しとくのはおもしろいし、聴いたひとがおもしろいと思ってくれる、プラス、参考になるっていうか“それは自分はちゃうねんなぁ”とかがあれば、それもおもしろいみたいなところでやってるので。我々がそんな……芸人然とした感じで“今週のフリートーク、なんかあります?”みたいなん……うわぁ、イヤや! ほんで絶対おもしろくないし。
shakke いちおうやっとく? “岡田さん、今週なんかありました?”みたいなやつ。
okadada ハハハハ。これ、どれくらいのペースで録ってくかしらないですけど、これからこのコロナ状態でなんもあるわけないんで。だからこういう観念的な話に終始させていただきます。
shakke そして最終的な結論は毎回いっしょってパターンもありえるからね。
okadada それは悪い癖ですね、ぼくは特に。最終的に全部おなじ話に持っていく。
shakke “まぁひとそれぞれだよね”みたいなね。
okadada そりゃモテんわって思いますけどね。


“岡田さんはメタ人間”と言われるのはあのへんにルーツがあるぞと

okadada みんな、ほんまの意味であんまりしゃべらへんことってないねんなって。
shakke ああ~。岡田さんは特殊なのかなぁ。
okadada まぁ、そもそもしゃべらないひとはいるじゃないっすか、世のなかには。
shakke しゃべんなくても全然大丈夫なひとね。
okadada しゃべんのは好きやけど……
shakke しゃべんなくても大丈夫っていう。
okadada というか、ひとを誘うっていう習慣がなさすぎる。
shakke それはよく言いますよね。
okadada なんなんすかねぇ。こわいんすかねぇ。
shakke ハハハハハ!
okadada 学生時代にハブられてた経験がオレをそうさせましたね。
shakke え、それはじめて聞いたよ。
okadada ウソぉ、言うたって。中学校のころ、1年くらい、もともと仲よかったヤツとめっちゃケンカして。サッカー部のけっこうノリのいい、クラスの中心になるようなヤツとつかみ合いのケンカになって。そいつとしゃべれなくなっちゃって。そしたら、ほかのヤツとはしゃべれても、遊びには行けないじゃないですか。集団で遊んでるし。
shakke あぁ、そいつもいるし。
okadada そうそうそう。だからハブられたっていうか、いれないっていう。オレはそこで性格が反転したんで。それはたまに思いますね。ひとを誘わなくなったのはあのケンカからだなぁって。地元がけっこう田舎で、いわゆるスクールカーストみたいなのもそこまで強くなかったんですけど、とはいえあるじゃないですか。自分も小学校はサッカー部で体も大きかったし、イケイケじゃないけど、そこまで暗い性格でもなかったんで、けっこうワイワイしてたんですよ。地味なヤツではなかった。そこから中学校に入って。小学校と中学校ってちがうじゃないですか。感覚がちょっと大人になるというか。で、そこでオレがいじられ役になってくるわけですよ。それがすごくイヤだったんですよね。それまではそうじゃなかったから。それでいじられても反発したりするわけです。そのころは太ってたし、それもいじられたり。それが続いて、中2の途中でつかみ合いのケンカになったっていうのがあったんですよ。で、そのあとひとりで遊ぶことが増えた。そのタイミングで音楽が好きになったりもして。
shakke なるほど。ひとり遊びの楽しさにも気づいちゃって。
okadada そう。で、1~2年くらいして仲直りしたんですよ、たまたま。そこから、こういう言い方はあれかもしれないですけど、自分がツッコミのほうになってたんです。要は笑いがちょっと取れるようになってた。
shakke うんうん。
okadada それがなんなのかっていま考えると、要はめっちゃ主観人間やったんですよ、そこまでは。いじられる側じゃないっすか、それって。合ってなかったんですよね。まわりのみんなはだんだん客観視できてくる……いわゆるメタ認知ができてくるわけですよ、おとなになるにつれて。そんで、自分がそれができてなかったから“アイツちがくね?”みたくなって、いじられてたんですよね。それがイヤだった。で、その集団から離れてひとり遊びしたり、映画を観だしたりして、そこから一気にね……。
shakke 周囲に追いついた?
okadada うん。しかも極メタ人間にそこで変わっちゃってて。明らかに自分のしゃべってる感じがちがいましたもん、中1のときの感覚と中3のときの感覚は全然ちがう。
shakke そんなに体感としてあったんだ?
okadada ありましたねぇ。そこからは不可逆でしたね。
shakke すごいね。ちょうどいいとこにも戻れないもんね。
okadada そうですね。あとで考えたら、自分の性格が変わったのって、そこが大きかった気がするなぁ。いろんなできごとがあるけど、いま自分がよく言われる“岡田さんはほんとにメタ人間”みたく言われるのは、あのへんにルーツがあるぞと。
shakke ハハハハハ。
okadada いじられてたのがイヤでサッカー部のメイングループから離反した結果として。

okadada 逆になんかないっすか、そういうの。
shakke あぁ、小学生のとき、熊田さんって女の子に“高橋くん、ちょっと調子に乗りすぎ”みたいなことを言われたんだよな。それまではいわゆる陽気な性格だったんだけど……。
okadada わかるなあぁ。
shakke そこで同時に女性が怖くもなっちゃって。“女性、怖っ”ってのと“さじ加減を知れよ”みたいなのの刷り込みがあって、そこから予防線を張るように性格が規定されたっていう。
okadada なるほどね。わかる。シャケちゃんっぽいっすね。
shakke “あっ、調子って乗りすぎたらダメなんだ”っていう。
okadada なんなんですかね。こどもってイヤですね。なんであかんねんって思うじゃないっすか。ええやんって。でも当時は許せなかったんでしょうね。
shakke ね。でもそれはでかいかもなぁ。
okadada “控えめに、目立たぬように生きねば”みたいな。
shakke そうそうそうそう。
okadada 自分も似たようなもんですよ。ちょっと劇的ですけどね。胸ぐらつかみ合って“オイっ!”みたいなとこから1年くらいしゃべらなかったんで。
shakke なんて名前の友達なんですか?
okadada もりちっていう。
shakke いまだに会ったりとかする?
okadada まったくっすね。まったく会わないんすよ、地元のひとと。仲が悪いとかじゃなくて、オレが誘わないからなんですけど。
shakke 同窓会とかもない?
okadada ないですねぇ。もしかしたらあっても誘われてないのかもしれないですけど。
shakke 連絡先がわからないとかもあるかもだしね。同窓会とか行ってもらいたいけどなぁ。
okadada あったら行きたいですけどね。もう10年以上会ってないヤツばっかなんで。
shakke この録音を滋賀の同級生が聴いてればいいですね。
okadada ハハハ。同級生がこれ聴いたらおもしろいと思いますよ。“あのときそういうふうに思ってたんや”みたいな。あのときのことがオレの音楽をやる上での態度にまで影響を与えてるわけですよ、マジで。それって恨みみたいなもんでもないし。いじめられてたから見返してやるみたいなことでもないんですよね。単純にいま考えたらしかたなかったと思うし。中1のオレを“デブやな、おまえ”みたいにいじるのも“調子の乗り方もちがうぞ、おまえ”って思うのもしかたがないことだと思うんで。でも、その結果として……。
shakke こんなモンスターを生み出してしまったという。
okadada たぶんそういうところが、全然自分は納得いってないけど、シャケちゃんがよくオレを“愛を失った男”と言うことの遠因になってますよ、絶対。
shakke ハハハハハ! そうかもしれない。だって最終的に信用してないでしょ、人間を。
okadada いやいや、してるって! ほら、またこの話や。
shakke フフフフ。これもう何百回もしてる話だよね。
okadada まぁこれは一生付き合っていく話ですからね。どっちが信用してんのって話。
shakke いや、岡田さんとオレの愛の捉え方がちがう。
okadada それは全員ちがうんすもん。
shakke まぁね。でも、それでいったらオレらがマジョリティーよ。
okadada オレらってだれを内包してんの?
shakke あんまりひとくくりにしたくないけど、いわゆる一般的な愛の捉え方ってことですよ。
okadada シャケちゃん含む一般側ってこと? そっちがマジョリティー軍団ってことですか?
shakke そうそう。
okadada じゃあオレはマイノリティー軍団ってことですか?
shakke マイノリティー軍団だと思う。
okadada おかしいなぁ……。そんなことないと思うけどなぁ。
shakke いや、べつにマイノリティーでもいいんですよ、全然。全然いいんですけど、岡田さんはそれでも“愛あるけどなぁ”みたいなことを言うから、こっちも“いやいやいや”っていう。
okadada いやいやいや……。ちょっと待って。これ、配信すんの?
shakke ハハハハハ。
okadada いや、ええんやけど。
shakke 岡田さんの性格のルーツと現在の話ですよ。


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