チャッターアイランド vol.5

『チャッターアイランド』はDJ/プロデューサーのokadadaとDJ/ライターのshakkeがしゃべったことを記録する、という趣旨のテキスト/音声コンテンツです。毎月1回、月末の配信を予定してます。今回はウェブメディアFNMNL編集長のWardaaこと和田哲郎氏をお迎えしてお送りします。


30代からのスキンケア


shakke 今日は和田さんのプライベートも掘っていきましょうよ。だってだって、近況を訊いても結局仕事の話に終始しちゃうじゃないっすか。プライベートがどんな感じかっていうのもさ、訊いていかないと。どう、最近?
Wardaa プライベートはね......スキンケアをがんばってる。
okadada おおぉ!
shakke スキンケアってどうすんの?
Wardaa 洗顔とかの流れをがんばる。
shakke 流れ......?
Wardaa 洗顔して、化粧水つけて、クリームつけて、みたいな。
okadada それは最近なんすか?
Wardaa 最近、最近。
okadada これまではあんましてこなかった?
Wardaa 洗顔くらいはしてたけど、化粧水つけるとこんなに変わるんだっていう。
okadada どうですか?
Wardaa いや、いいんですよ、すごく。やっぱさ、36歳とかになると肉体的にさ......まぁ、筋トレとかすれば違うんだろうけど。でも“まだよくなれるんだ”みたいなさ。お手軽セルフケアみたいなことでも如実に変化が出るから。
okadada いいっすね。てっきり衰えていくのを止めたいって方向かと思ったら、ポジティブに伸び代があるって捉えられるのはいいっすね。
Wardaa やってれば絶対よくなるからね。
shakke ハハハハハハハハ! 今日なにかしらのスキンケア商品を売りつけられるんかな?
okadada でもね、シャケちゃん。オレはけっこう前からしてるんですよ。
shakke マジで?
okadada 20代後半くらいから化粧水つけてるんですよ。っていうのは、たまに“肌きれいですね”って言われたりするんですけど、そもそもめっちゃ荒れるんです。たまに1日シャワー浴びなかったりすると、鼻の横の皮膚がポロポロはがれるっていう。それは汚いなっていうのがあって、それを友達に言ったら“保湿じゃない?”って言われて。それからお風呂の後に化粧水つけるようになったら止まったんで。それ以来、安い化粧水でもつけるようにしております、わたし。
shakke おいおいおい......。
okadada 和田さんを糾弾する流れになると思いきやでしたね。おまえの方やぞ!
shakke やってないのオレだけパターンか......。とはいえ、自分はそんなに肌が荒れやすいとかもないからなぁ。まぁ使ってる洗顔が相性いいと思うんだけど。それはあるんじゃない? ビオレ使ってるんだけど。だからたまにひとの洗顔借りたりすると全然違うね。肌が慣れてんのかしらんけど。
okadada 和田さんはなにを使ってるんですか。
shakke フフフフフ......。これ、アフェリエイト入れようか。
okadada ハハハハハ。
Wardaa 化粧水がけっこう大事っぽくて、自分はエリクシール? 普通にドラッグストアで売ってるやつ。それとメラノCCってやつがあって。それをつけると調子いいですね。
okadada え、2種類? なんの2種類?
Wardaa 化粧水。
okadada すげえ。その発想は全然なかったっすね。すげえ。
shakke ね。化粧水なんて1種類で十分だと思ってたよね。
okadada ちなみにそれは教えてもらったんですか?
Wardaa 教えてもらいました。彼女に。
shakke へえ、すげえ。


人生最後のモッシュ

okadada こないだ最近の日本のラッパーのアルバムをバーって聴いてて、自分らが10代のときってこんなに“オレら”って言ってたっけみたいな気持ちになったんですよ。
shakke ああ。
okadada “オレら”バイブスみたいなんめっちゃあるじゃないですか。なんか自分がニトロ(NITRO MICROPHONE UNDERGROUND)とか聴いてたときってこんな感じだったかなとか思って、逆にそっち聴き直しましたね。
shakke でもニトロとかはさ、個人主義の集まりみたいなことで、あんま“オレら”って感じはせんよね。
okadada この“オレら”ってのはいつぐらいからなんでしょうね。
Wardaa でもやっぱいまのトレンドで言うとさ、A$AP MobとかさOdd Future的なもの......まぁ、このふたつも微妙に違うけど、コレクティブみたいなものへの憧れみたいなものをすごく感じるんよね。
okadada そもそも2010年代ってそういう感じあるじゃないですか。DJでもチームが流行るみたいな感じもあったし。
Wardaa それこそSoulectionみたいもんだったりね。
okadada そうそうそう。なんか当時のひとたちが“オレら”っていうときって、ほんまにそのチームのことを言ってたわけじゃないですか。でもトラップ系のラッパーの言う“オレら”って、聴いてるリスナーまで含めた意味での“オレら”になってるっていうか。
shakke なんなら世代とかまとめて言ってるパターンもあるよね。
okadada それって分析的にはおもしろいなって思うんですよ。“そうなってんねや、いま”って気持ちと、“もう絶対オレはそこに含まれてないやん”って気持ちとふたつある。“それ、オレの話じゃないんや”っていう感じになるじゃないですか。これはたぶん自分が若いとき聴いてもそう思ったと思うんで。
shakke そうね。それは岡田さん性って感じよ。
okadada “オレたちってこうじゃない?”って言われたときに“ちょっと自分は違うんで”っていうとこがある。
shakke フフフ。
okadada うん。これが年齢なのかなぁみたいなことをね、なんか考えてました。
shakke でも、自分はいまだに若いラッパーとかが“オレら”って言ってるときに自分も入っちゃってるけどね。
Wardaa すげえなぁ。
shakke でも、だからといっていっしょにステージで暴れるみたいなマインドではないけど。“もしかしたらオレのことも言ってくれてるのかな”くらいのニュアンス。いや、でも若いひとがこれ聴いたら“きつっ!”って思ってるかもしれんけど。
Wardaa ハハハハハ。
okadada キッズ性みたいなことですねぇ......。
shakke 岡田さんは昔からけっこう達観してたと思うんで。だって“キッズ憧れ”みたいなものもないでしょう?
okadada “キッズ憧れ”っていうのは、自分にとっては“殉教者憧れ”とおなじですね。
Wardaa Lil’ Peepとかに憧れる、みたいな。
okadada そうそう。心酔して同一化するっていうこと自体があんまりいままでなかったんでね。これはハッキリ言って半分は嘲り、半分は尊敬みたいな感じなんですよ。アイドルオタクに対する興味とかもそうやし。
shakke できるもんならなってみたい?
okadada うん、そういう気持ちと、“いや、怖くない?”っていう気持ちと......。
shakke 逆に多感な時期にさ、いまの若いラッパーみたいなひとたちが出てきて、それをカッコいいと思ってたら、いまの岡田さんの性格はなかったかもですね。
okadada それはあります。でも和田さんもそんなになくないすか?
Wardaa キッズ性はね、たぶんあんまりないんだと思うんだけど、たまにタガが外れちゃうときが自分でもあると思ってて。
shakke ちょうど自分と岡田さんのあいだくらいに和田さんって感じよな。
okadada じゃあ、和田さんが直近で“ハマっちゃったな”みたいな、キッズ性みたいなことは?
Wardaa 最近は職業柄もあるかもしんないけど、あんまり持たないようにしてるかなぁ。
shakke あんまり入れ込まないっていうかね。
Wardaa うん。最後にキッズらしさを発揮したのはたぶんアレだね。Boiler Roomだね。
shakke あぁ! KOHHとかSkeptaとかが出たマンハッタンレコードでやった回。自分も遊びに行ってて、でも和田さんのモッシュ、暴れっぷりがすごかった記憶がありますね。もしかしてあれが人生最後のモッシュかな?
Wardaa もう人生最後のモッシュだよね。4年前とかだっけ。
okadada 人生最後のモッシュ......。
一同 ハハハハハハハハハハ!
shakke すごい切ないな!
Wardaa でも今後なくない?
shakke いまだにモッシュあったら混ざっちゃうかな。そこまでの、いわゆるハードコアなモッシュじゃなければ全然入りたいなと思ってるけどね。
okadada オレ、最後のモッシュはアレや。K/A/T/O MASSACREの周年でyounGSoundsが出てて。去年かな。そのときのyounGSoundsのライブめっちゃよかったんですけど、場所が狭いから自然とぶつかってくるじゃないですか。それにムカついて。
shakke ハハハハハ。
okadada それでほんまに30秒ぐらいだけ、殴りかからんばかりの勢いでモッシュしたっていうのが最後でしたね。
shakke 自分は去年Jin DoggがWWW XでGEZANとかと対バンしたときが最後かな。その日はフロア使ってのライブで、めちゃめちゃモッシュしたなぁ。怪我したもんな。
okadada 人生最後のモッシュ......。
Wardaa フフフフフ......。
shakke フフフフフ......。
okadada “人生最後のモッシュ”って短編小説はどうですかね。泣ける気配しますよ、これは。
shakke ハハハハハ。
Wardaa なんか刻み込まれてる感じあるよねぇ。
shakke 自分で人生の楔を打って、なにかをあきらめたひとのねぇ。
Wardaa 檻に入っていった感じあるもんねぇ。
okadada “お父さんのモッシュ”とかね。
Wardaa ハハハハハ!
shakke “ぼくの好きなモッシュ”。なんでもいいんかいっていうね。
okadada ハハハハハ!
shakke で、“限りなく透明に近いモッシュ”でしょ。しょうもねえ! でもさ、まだモッシュするっしょ?
okadada ギリまだ考えられますけどね。そんなに激しいのじゃなければ。
shakke 全然ありそうよ。
Wardaa あるかな?
shakke やっぱりね、みんなね、心のどっかにキッズがまだいるっていうことですよ。
Wardaa でもそれをモッシュとして表現しなくてよくない?
okadada まぁたしかに......。
shakke いや、でもさ、モッシュってさ“よし、モッシュやんぞ”とかじゃなくってさ、体が勝手に動いちゃうみたいなところあるじゃないっすか。だからそれはもう心のなかにモッシュキッズがいるとしか言えないっすよ、やっぱり。


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