地元おかざきのギフト取材レポート No.16「ファナビス」
室長の岡田です。
「地元おかざきのギフト」取材レポート、本日は「ファナビス」さんを紹介させていただきます。
ファナビスさんは、「がら紡」で紡がれた糸を用いた布製品を販売しているつくり手さんで、親子で経営をされています。
「がら紡」ってみなさんご存知ですか?
私も取材するまで、聞いたことがありませんでした。
ざっくりとした理解ですが、
大河ドラマ「青天を衝け」に出てきた富岡製糸場などの西洋式の製糸とは異なり、日本独自の紡績技術によって興った純国産の糸になります。
元々は、長野県のお坊さんによって発明されたそうですが、その名前が知れ渡ったのは1877年(明治10年)8月。
大久保利通によって東京上野で開催された「第一回内国勧業博覧会」にて最高の賞を与えられたことだそうです。これをきっかけにがら紡は全国に広がりました。
中でもここ、三河地方の人々はがら紡の動力に「水車」を使い、いち早く産業化に成功しました。多い時では千数百軒ものがら紡工場があったそうな。
(今でも岡崎市の額田エリアではその水車を見ることができます。)
しかしながら、西洋式のメリットの多い糸が盛んに使われるようになり、ガラ紡はどんどん衰退していってしまいます。
しかしながら、稲垣さんはこのがら紡に目をつけます。
西洋式には劣ると言われていたこの糸にしかない魅力を、自分ならもっと引き出せると考えたのです。
そこで開発したのが『三河布史(みかわぶし)』
ネーミングにさまざまな意味が込められたこちらの商品は、
三河地域で行われてきたがら紡の製法をそのままに、
生地の織り方『力織機(りきしょっき)』という昔ながらの動力織機で布を織り上げ、
布洗い方法は伝統の『和晒し(わざらし)』で洗い上げるそうです。
もともとの『農薬不使用綿』の特性を十二分に活かすために、化学的な薬品や合成洗剤を使用していません。
ここまでこだわってつくられる『三河布史』には稲垣さんのこんな思いが込められてきました。
稲垣さん「『がら紡』で紡ぐ糸は柔らかくて、すぐに切れてしまうから加工が難しくて、昔ながらの方法でしか加工ができないんだよね。
それだけ手間がかかってしまうけれども、「綿の風合い」がそのまま残っているのがとても魅力的だなと思ってね。
脆くて、柔らかいからこそ、人の肌に寄り添える、そんな特徴を、ぜひ多くの人に知ってもらえたらいいな」
肌と擦れ合うと、布の方が弱くて傷ついてしまうくらいに優しい『三河布史』
例えば、デリケートな赤ちゃんのおくるみや、タオルなんかで贈ると、とても喜ばれるかもしれませんね。