
先生、吐きそうです
そういって、ある日の朝、1時間目が始まってすぐの時間帯に子どもが来室しました。
「朝早くから吐き気とは…」
「朝ごはん?何が原因?」
養護教諭は、訴えられた症状から、考えうる原因を瞬時に判断されていると思います。そして、体温、問診、聴診、触診、あらゆる手段を使って対応をしていると思います。
それでも、何が原因で症状が出ているのか分からないときありませんか?
どこを調べても異常がないというのか、、、
今回の子どももその一人でした。
吐きそうだけど、実際に吐くわけではなくて
体のどこかに異常があったわけでもなくて
そこで、こんな質問をしてみました。
「朝から、予想もしてないことが起こって、腹がたったことはなかった??」と。
すると、すぐに「あった!!!」と答えてくれました。
この質問の意図は
吐きそうという症状は、予想もしてないことが起きたとき、苛立ったり、不快な気持ちになっているときに起こりやすいからです。
(※他にも捉え方があると思いますが)
何があったのかを聞いてみると
朝早くに登校したあと、教室で本を読もうとしていたら、近くの席の子の机の上に水ノリが置いてあって、それを誰かが倒して、水ノリが出てきて、もう教室内で子どもたちがパニックになり、騒がしくなり、読もうとしていた本をゆっくり読めず仕舞いになり、チャイムがなり授業が始まってしまった。
その子にとったら本を読もうとしていた時間をクラスメイトたちから奪われてしまったのです
「あら、そんなことがあったんだね。」
大人からしたら
誰の机?なんで水ノリ置いてるねん!なんで溢れる置き方してんねん!と、まぁいろんなところにツッコミたくもなるお話ですよね。笑
そして、「そんなことで。」「いつでも読めるじゃん」と思いがちですが、自分がしようとしていた時間を奪われる気持ちは大人でもあると思います。腹が立ちませんか?その子も同じ気持ちだというところをくみ取ってあげてください。
話をしていると、「先生、僕、教室に戻ってもいいですか?」と言ってきたのです。
「いいけど、症状は?」
「もうなくなった!」
そう言ってその子は元気よく教室へと戻っていきました。
しんどいと来ていた子どもたちが、自ら教室へ戻るわ!と言って保健室をあとにする。
そして、休み時間、遊びに行くついでに保健室へよってきてくれて「もう大丈夫なりました!」と声をかけにきてくれて、元気に運動場へと走り出していく子どもの姿。
こうして、一人の子どもがこの日もまた元気な姿に戻ってくれました。