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筑波大学情報学群情報科学類の紹介

前置き

去る今年の8月に大学主催のオープンキャンパスで学類について紹介する機会がありました。情報科学類のオープンキャンパスに関する情報は、以下を参考にしてください。

以下がその際に発表した資料なのですが、せっかくなので文字起こし兼いくつかの追加情報を加えてまとめたいと思います。

目的

この記事の目的は 筑波大学情報学群情報科学類(以降、情報科学類と表記します)をこれから受験しようとしている人、あるいはその関係者の方々に対して、

  1. 情報科学類が自分に向いているのか最低限判断できる情報を提供する

  2. 情報科学類に興味を持ったときにどのような情報をみると良いのか伝える

    1. 特に(ものによってはアクセスしにくい)一次情報への導線になる

ことです。もちろん現地に行ったり、実際の説明会に参加するに越したことはないのですが、それが難しい方々も多くいらっしゃると思うので、この記事がその際にお役に立てば幸いです。

入試

自分にとっては4年も前のことなのでこの記事では特には触れません。受験を考えている方々は一次情報を参考にしてください。筑波大学の入試情報の多くはアドミッションセンターのサイトから確認できます。

なお、受験当日の雰囲気を知りたい場合などにおいて受験体験記、合格体験記は非常に有益です。以下にいくつか紹介させて頂きます。(全て公募推薦、AC入試のものですが。。)

※ いくつかのものは公開から時間が経っており、入試形態などが異なる場合があります。年度によっては新型コロナウイルスによる影響を受けている可能性もあります。

カリキュラム

公式サイトでは以下のリンクから確認できます。

いわゆる「情報科学」「コンピュータサイエンス」と呼ばれる学部として、一般的な授業が履修可能です。特筆すべきこととしては、卒業のためにいわゆる文系科目が6単位以上必要なこと、1, 2年次に体育が必修であることなどでしょうか。(これは情報科学類というよりは筑波大学の特徴という方が適切かもしれません)
また、情報科学の専門的な科目に関しては、Computing Curricula と呼ばれるカリキュラム標準が全世界レベルで存在するため、各大学ごとにカリキュラムに大きな差異はないのではないでしょうか。。(つまり「情報系の学部に進みたい!!」と思っている高校生は、どの大学に行くかよりも情報科学、情報工学の学位を取得できるかどうかを重要視した方が良いと思います)

その上で、情報科学類特有の授業としては、「情報特別演習」という1~3年次にプチ研究ができる授業や、「主専攻実験」という興味のあるテーマについて学期を通して実験する授業などが挙げられます。興味を持った方はこれらの授業名でググってみてください。

忙しさ・生活

バイト、サークルなどへの時間の割き方は個人によって様々なので、大学の授業 + 課題(+α)に絞った話をします。
大学の授業、課題にかかる時間は個人によって大きく異なり、特にプログラミング関連の科目では、同じ課題でも5~10分で終わらせる人がいれば5~10時間かかる人もいます。とはいえ全ての科目がプログラミング関連なわけでもないので、やる気(と相談できる相手)があれば単位を取得する分には問題ないことが多いです。
また、他の学類と比較した上での印象ですが、情報科学類は忙しくない部類の学類だと思います。これは

  • 「〇〇字以上のレポート」の類のとにかく時間がかかる課題はほとんどない

  • パソコンとネットワーク環境があれば大抵なんとかなるので、場所・時間の制約がほとんどない

あたりの要素が大きい気がします。特に後者のメリットが非常に大きく、「実験機材や環境の都合上、大学・研究室にn時間いる必要がある」ことが基本的にありません。
とはいえパソコン嫌いだと苦しい4年間になることは間違いないので、その適性は入学前に見極めた方が良いかもしれません。

なお参考までに、情報科学類では公式サイトから在学生の統計情報を確認することができます。

ここから分かる客観的な事実として、全学生数のうち10%程度が留年しています。もちろん原因は人によって様々な上、この数字をどう捉えるかによりますが、大学の忙しさ・大変さと一定の正の相関はあるのではないでしょうか。他大学、他学類と比較する際の一つの指標になるかもしれません。

各種データ(https://www.coins.tsukuba.ac.jp/data/ より引用)

(余談ですが)関連する話として、入学時点でプログラミング経験が豊富な方々は、大学の授業・課題を速攻で終わらせ、時給n千円のエンジニアバイトで大金を稼いでいる印象があります。プログラミング関連の能力が複利で効いてくるのは間違いないので、当たり前ですができるに越したことはないと思います。。

環境

計算機(ぱそこん)

学類としては3部屋の計算機室を有するコンピューティング環境、また学類の所有ではないですが、関連施設として 計算科学技術センター (スパコンを有している施設)が挙げられます。
情報科学類の持っているコンピューティング環境は以下から確認できます。(大半は認証が必要なページですが。。)興味のある方は確認してみてください。

また、ほとんどの情報科学類の学生は一人一台以上のノートPCを所有しています。(近年の半導体不足や円安の影響もあり)価格帯は15万〜25万がボリュームゾーンといったところでしょうか。所有していない場合は入学時に購入することになると考えて良いでしょう。また、学類4年次になると研究室に配属されるのですが、多くの研究室では(高スペックな)パソコンの貸与、利用環境が整えてられています。

その他

ラウンジと呼ばれるみんなで集まって自由に使えるフリースペースや、先ほど紹介した複数のぱそこん室があったりと学類が所有する施設は比較的充実している印象です。
また、多くの研究室は大学内でも比較的キレイな建物内にあります。

ラウンジ

研究

研究室の情報などは下記リンクから確認できます。

大体なんでも揃っている気はしますが、機械学習系の研究室だけは数が足りていない話を聞きます。(ここ2年で機械学習を専門とする先生が2人ほど異動されました)
とはいえ高校生であれば、研究室に配属されるまでには今から3~4年程度の時間があるのであまり気にする必要はないかもしれません(「〇〇研究室に行きたくて入学したけど先生が定年退職されていた」類の話はたまにネットで観測します)。もっとも、3年次編入を考えており、かつ機械学習に興味がある場合は少し気になる問題かもしれません。

雰囲気

(この記事を書き始めるきっかけとなった)私から見たメ創 の言葉を借りると

人はみなさんかなり良く、全般的に穏やかで、過激な思想や物言いをする人はほとんど見掛けないです*5。おおらかで個を尊重し、全体で群れるというタイプでもないと思います。人を選べばネットミームなども大体通じます。

いなにわうどん -- うどんの話に見せかけて技術的な話をしたい(できない)私から見たメ創 より
 

という感じでしょうか。これは情報メディア創成学類に関する紹介記事の言葉でしたが情報科学類になると、端的にいえば

人を選べばネットミームなども大体通じます。

のネットミームが通じる割合が高くなるといったところでしょうか。いわゆるオタクがたくさんいます。また、同記事内には次のような文章もありました。

情報学群全般として「技術に関心が強い人々の少し選民的に寄った思想」と「そうでない人々から向けられる嫌悪」が対立する構図はうっすら成り立つと感じています。端的に書けば「ろくにコードも書かない人々が……」vs「情報オタクくん笑」みたいなことです。みんななかよくなってほしいですよね。ただメ創に限っていえばそうした対立はあまり見られないので安心です。

いなにわうどん -- うどんの話に見せかけて技術的な話をしたい(できない)私から見たメ創 より

情報科学類に関していえば、対立がどこまであるかは不明ですが、この分断は少なからず起こっているようには感じます。特に自分の世代ではコロナ禍での入学だったため、ネット上で既に繋がりを構築していた人としていない人の間で分断が起こっていたように感じました。(実際にはコロナ禍に関係なく発生している気がしますが。。)
とはいったものの、Twitter(X)のアカウントは知っているので、「あーあの人ね」のような交流が発生することもしばしばありました。情報科学類らしいですね。
技術に関心のある人たちは多くの場合何らかの形で成果を公開していたり、ネット上での活動が活発であることが多いです。興味があればはてブなどを頑張って検索してみると面白いかもしれません。
また、情報科学類ではWORDと呼ばれる学類誌を発行しており、これも多くの場合は技術に関心のある人々によって書かれています。学類の雰囲気を感じ取る参考になるかもしれません。

その他

この記事で伝えたい内容は粗方書きましたが、その他で有益かもしれない情報を簡潔に記します。

情報メディア創成学類とどう違うのか

各所で聞かれている印象があります。もっとも自分も完全な回答を持っているわけではないのですが、極めて雑なイメージとして

情報メディア創成学類 = 情報科学類 * 0.7 + 芸術専門学群 * 0.3

みたいな印象を持っています。情報科学類の中でもコンピュータの根幹を担うような部分の科目(OS、計算機アーキテクチャなど)をメディアアートやweb開発に差し替えたような印象です。

筑波大学自体の長所・短所

オープンキャンパスの際に「筑波大学/情報科学類のよくない点は何かありますか??」みたいな質問があった記憶があります。この「よくない点」としてはほとんど筑波大学の悪いところが挙げられていた記憶があります。具体的には

  • 交通の便が悪い

  • 施設の老朽化が目立つ

などが筆頭格でしょうか。特に交通の便に関しては、大学近辺から東京駅まで1.5~2hで行けるものの、逆にいうとこれくらいはかかります。交通費も片道1500円程度はかかるので、中々不便だという回答がありました。

総合学域からの移行に関して

自分の世代では総合学域は存在しなかったので、実態はよくわかりません。別の記事やサイト、体験談等を参考にしてください。
という前提の元で思うことがあるとすれば、明確に行きたい学類があるのなら、最初からそこを受けた方がいいとは思います。。

最後に

ここまで読んでいただいてありがとうございます。この文章が何らかの形で役に立てば幸いです。

本来であれば9月ごろに書きたかったのですが、気づいたら2ヶ月ほど経っていました。。(辛うじて推薦入試の前に間に合わせることができてよかったです)これから入試の時期になると思うので、受験する高校生のみなさんは頑張ってください。

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