サピエンス小話《寺田道場》 第11日目
森村講師:
「『人間原理』という論理があります。どんな内容かと言いますと、
『この宇宙の環境、物理法則が人間に適しているのは、そうで
なければ人間が宇宙を観測したり、認識したり出来ないから』
というものです。
ところで、電線にスズメが止まっているのをよく見かけます。
スズメが感電して焼き鳥になって落ちてくることはありません。
そのようにうまい具合に物理法則が出来ていますが、それを
『鳥原理』と言うことはありません。
チンパンジーとホモ・サピエンスとの間で大きく違う点は
なにか。道具を使うということなら、いろいろな動物がいます。
道具を作るカラスもいるようです。今後、道具を使う、作る
動物がどんどん見つかるかもしれません。
何が大きく違うのか。
『妄想力』ですかね。サピエンス全史では『想像力』という
もうちよっとお上品な言葉を使っていますが。それにサピエンス
全史では『虚構(fiction)』という言葉も使っています。
ずいぶん昔になってしましましたが、岸田秀の『唯幻論』と
いうものがありました。でも、『幻想(fantasy)』というと
ゲームや小説みたいなイメージがあります。なんとなく虚構の
方がカッコいいかなと思います。
『妄想力』。ピラミッドなんてものは、余程誇大妄想がなければ
作らないと思います。その誇大妄想を伝える手段、共有できる
能力が備わっていないと無理でしょう。
それより前の時代には洞窟壁画というものがあります。
芸術というよりは、妄想なのではないかと私は思っています。
ネアンデルタール人も洞窟壁画を残しているようです。
妄想力に大きな違いはあったのでしょうか。
『純粋』なネアンデルタール人は絶滅しましたが、遺伝子や
文化的影響を一部、ホモ・サピエンスが引き継いでいるようです。
ホモ・サピエンスの方が優秀だったから、生き残ったのでしょうか。
案外、厄介なウイルスをうつしたことが原因かもしれません。
ホモ・サピエンスは昔も『密集』していたのかもしれません。」
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