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もし宇宙船そのものになったとしたら《読書一服》
宇宙空間は人間が生存するのに適していない。
宇宙船に居住空間を作り、維持していく必要がある。
機械とコンピュータだけだったら、そのような空間も
手間も必要ない。その分、より多く機械やコンピュー
タを搭載することが出来る。あるいは宇宙船を小さく
することが出来る。
それから、太陽系内の他惑星まで行くとしても、
結構時間がかかる。食料もたくさん必要だ。
それに惑星に着くまでは退屈するのではないか。
冬眠技術が発達したら、冬眠すればよいかも。
あるいは三体星人みたいに脱水してしまうとか。
隣の恒星に行こうとしたら、もっと時間がかかる。
さらにたくさんの星を巡るとしたら。
たとえ移動中は冬眠しているとしても、蘇生して活動
している間は加齢が進んでいく。
もし、三度の飯より宇宙探索が好き、という人であ
れば、いっそのこと『意識をアップロード』してしま
うとか。搭載コンピュータの中にというより、宇宙船
そのものになってしまう。
ところで、宇宙船になったとしたら、どのような
感覚になるのだろうか。食欲、性欲はなさそうだ。
男性であったこと、女性であったことの名残はある
のだろうか。ただ、ひたすらストイックに宇宙の
神秘について考える。
人間だったころの記憶を付加したとしても、解釈は
できるのだろうか。生身の脳とは材質も構造も違うし、
身体感覚も違う。過去の記憶は「現在」に再生、出現
する。噴射装置、カメラやセンサ類、マジックハンド
などの「身体」は、過去の記憶をどのように再現する
のか。
そのようなものは最初から載っけず、ひたすら
宇宙探索に励む。宇宙探索オタク。