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女性用風俗を頼んでみた。

いつかの夏、
女性用風俗を頼んでみた。
興味本位だった。


その頃のわたしは、ギャラ飲み嬢。
「嬢」と言うにはおこがましい年齢だが。
参加日数のわりに、それなりに稼いでいた。
(下記記事参照)

ゲストとお話するなかで、
「女性用風俗とか頼んだことある?」
という会話になった。

「なんなん、それ。ない!笑」
と言いつつ、その存在自体は知っていた。


なぜなら夫とは
長年のセックスレス。

むしろ、子どもの人数=行為の数。

交際2週間で妊娠し、25歳で結婚。
1年半おきに3人の子を産んだので、
色々と察するものがあるだろう。


眠れない夜にひっそりと検索し、
「ふうん、こういうものがあるんだ」
などと眺めていたが、
「お金払ってまでしたくないな」
というのが率直な感想だった。



「あれって、どんな人が呼ぶんだろ」
「任せて!じゃあ、わたし呼んでみる!」
「まじで?」
「うん、感想教えるわ!」

そんな感じで、
最初で最後となるであろう
女性用風俗のセラピストを頼むことにした。

自分の欲望の処理としては乗り気でなかったが、
話のネタになると分かれば、もはや興味しかない。



決めたからには即行動、
それが私のポリシー。

その日の帰宅後すぐに、
サイトを開き、
セラピストを選ぶ。


顔写真は、顔の一部が隠れているので
雰囲気は分かるものの
「いやあ、この人かっこよさそうだけど、めちゃくちゃ鼻の下伸びてたらどうしよう」だとか
「さんまさん並みに出っ歯かもしれない」
などと思うと、なかなか決まらない。

そこで、各セラピストに対する口コミや評価をそのサイトしかり掲示板で探し、
念入りにリサーチした。


そしてちゃっかり、一番評判の良かったセラピストを予約。
どの口コミにも「長身イケメン!」と書かれており、
正直ワクワクが止まらない。

もちろん下調べも完璧で、
体験談を読んだり動画を見て、
試験前のごとく勉強した。


たしか90分コースだったはず。
「90分間もセラピーしてくれるんや!すご!手が痛くならないのかな。笑」

そんなLINEをゲストに送る。



当日。

仕事終わりに会社から待ち合わせ場所へ向かう。

大体の女性はホテルなどの近くで待ち合わせて
セラピるようだが、
日々の飲酒のせいで頭がボケていた私は、
食事処を用意していた。

楽しみが加速しすぎて、
本来の目的を忘れていたのだ。

ゲストにどんな話を提供できるか、
どんな面白いことが起こるか。

それが楽しみで仕方なかった。



数十分後。

わたしとセラピストは
囲炉裏を囲んで鮎の塩焼きを食べていた。


「串に刺さってると、なぜか更においしく感じますよね」
「いやあ、これは日本酒に合うな!」

お酒と炉端焼きに舌鼓を打ち、
他愛もない会話をする。



あっという間に90分が経過した。

(ま、まずい…まったりおいしいご飯を食べていただけだ…)
(せっかくなら、何かセラピストらしいことをしてもらいたい…!)


さすがに慌てた私は、
店前で別れる際、一番気になっていたことを聞いてみた。

「手、疲れないんですか?」
「長かったら疲れます!笑」


彼は爽やかな笑顔でそう答えてくれた。



そうだよな…!!!!!
なんて当たり前のことを聞いてしまったんだ!


後日。
ゲストには、含みをもたせた笑顔で
「楽しかったよ」
とだけ伝えておいた。



さいごに。

やはり私にはこういうものが向いていないことが分かった。
いくらイケメンであろうが、
全くと言っていいほどトキメキを感じない。

トキメキを感じなければ当然、
触られたいなどとも思わない。

イケメンとのご飯はおいしい。

途中で薄々気付いていた。
「好きな人と一緒なら、お酒を飲むとくっつきたくなるのに」
と。


だから私はもう二度と、
女性用風俗を頼むことがないだろう。












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